【連載・第2回】始まりのセレクション
――「勝つこと」を邪魔した指導者との出会い
バレーボールというスポーツを愛していたからこそ、
私はあの人を生涯、許すことができませんでした。
大学に入る前から卒業する日まで、指導者と選手として向き合った4年間。
そこには、勝利よりも世間体を大事にする大人と、
真剣勝負に命をかけた若者の、決して相容れない戦いがありました。
今、その記録を振り返りたいと思います。
それは、私がW大学に入る前のことでした。
バレーボール部の「セレクション」という実技テストに参加しました。
当時の私にとって、人生を左右する大きな挑戦です。
テストの最後に、受験生チームと現役の大学チームで試合をすることになりました。
試合は白熱し、13対13の同点。ここで、
私は相手のエースが打ってきたスパイクを、渾身のブロックでシャットアウトしたのです。
14対13。あと1点で、受験生チームが大学生に勝てる。
その瞬間、私は確かな手応えを感じていました。
しかし、信じられないことが起きました。
相手ベンチにいたHコーチがメンバーチェンジを告げ、
今ブロックを決めたばかりの私をコートから外したのです。
コーチは「色々な選手を見たいから」と言いました。
でも、勝負の世界で、今一番波に乗っている選手を外すなんてあり得ません。
私には分かりました。コーチは、
「大学生が受験生に負けるという、カッコ悪い姿を見せたくない」と考えたのです。
自分のプライドやメンツを守るために、必死に戦っている若者の足を引っ張る。
その不誠実なやり方に、私は合格する前から強いショックを受けました。
これが、その後の4年間にわたる「戦い」の始まりでした。
(第3回「東ドイツ戦の忖度」へ続く)
