【連載・第4回】インカレ決勝、奪われた日本一
――私情が生んだ、もう一つの悲劇
大学4年生の最後インカレ決勝。勝てば何十年ぶりかの優勝という、歴史的な舞台。相手は関西の強豪・D大学でした。
私たちは勢いに乗り、2セットを連取。3セット目もリードしていたその時、不運が起きました。私たちのクイックの要であるSが、
着地で足を激しく捻挫してしまったのです。
動揺する私たちに、ネット越しに相手のエースが
大阪弁でヤジを飛ばしてきました。
「試合はこれからじゃい! どうじゃ!」
その非情な言葉に、私たちは一瞬たじろぎました。
しかし、本当の混乱は自分たちのベンチで起きていたのです。
誰もが、共に練習を重ねてきたエース控えの1年後輩Yが入ると思っていました。
しかし、ベンチのHコーチが監督に提言し、
送り出したのは、同級生のFでした。
Fは私の大切な仲間です。でも、彼はバレーの練習よりも
事務方としての貢献が大きく、
この大舞台に急に放り出される準備はできていませんでした。
案の定チームの連携は崩れました。練習していたYが入っていれば、勝てる可能性は十分にあったはずです。
理解できない交代に混乱したまま3セット目を落とすと、
そこからは成す術なく連敗し、優勝の夢は消えました。
後で知ったのは、FはHコーチが受け持つゼミの教え子だったということ。
Hコーチは「自分の教え子を晴れ舞台に出してやりたい」という私情で、準備不足のFに重すぎる荷を背負わせ、
一方で必死に準備してきたYの出番を奪ったのです。
負けた責任は、私たち選手にあります。
でも、仲間であるFを困惑させ、後輩のYを絶望させ、
チームの努力を私情で踏みにじったHコーチのやり方だけは、
どうしても許せませんでした。
