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古稀おじさん人生の並木道

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【連載・第3回】東ドイツの銀メダルと、消えた「歴史的一勝」
​――「忖度」という名の裏切り
​大学時代、忘れられない一戦がありました。
相手は、前年のミュンヘンオリンピックで銀メダルに輝いた
世界屈指の強豪、東ドイツナショナルチームです。

 

​彼らが日本代表との試合の調整のために、
W大実業高校の体育館にやってきました。
その練習相手として、私たちW大バレー部が呼ばれたのです。
​相手は世界トップクラス。胸を借りるつもりでしたが、
いざコートに立てば関係ありません。私たちは本気で勝ちにいきました。

 

​すると、驚くべきことが起きたのです。
こちらのクイック攻撃が面白いように決まり、
世界を相手に互角以上の戦いを見せました。
第1セット、スコアは13対11。あと2点で、
日本の学生チームが世界銀メダルチームからセットを奪う……。
誰もが予想しなかった歴史的な瞬間が、すぐそこまで来ていました。

 

​しかし、その時です。またしてもHコーチが動きました。
​コーチは突然、メンバーチェンジを告げました。
交代させられたのは、私と対角を組むエース。
代わりにコートに入ったのは、明らかに実力の劣るその高校の高校生でした。
​これは、勝つための作戦ではありません。
「東ドイツの面子を潰さないように、わざと負けるため」
のメンバーチェンジでした。

 

​東ドイツチームの世話役も務めていたHコーチは、
彼らに気持ちよく勝たせるために、教え子の努力をあっさりと捨てたのです。
そこから一気に逆転され、私たちは負けました。

​スポーツは、お互いが全力を尽くしてこそ価値があります。
たとえ練習試合でも、裏で勝敗を操作するような「忖度(そんたく)」は、
選手に対する最大の裏切りです。
​セレクションの時に感じた不信感は、この時、決定的な怒りに変わりました。