時代はキャラメルピンクヘッドを欲する ③ | ダイヤモンドガメに魅せられて Fascinating Diamondback Terrapin

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アメリカ合衆国の汽水域に生息しているダイヤモンドバックテラピンの魅力を紹介します。

昨年、私が、前回ご紹介したスーパーレアピンクヘッドを、世界のダイヤモンドバックテラピン(DBT)情報サイト「Diamondback Terrapins」に投稿した時の話である。

 

 

アメリカDBTブリーダー達から「この個体は、キャラメルピンク似のアルビノに近い個体ですね」というコメントを頂いた。この時は、私自身、まだオルナータDBTのレアピンクヘッドを、ヘテロアルビノ(Het Albino)だと信じていたので「本個体は、今まで見たピンクヘッドの中で、一番透明感がある、アルビノに近い個体です」と返答したのだが・・・、失言であった。この個体こそが、オルナータDBTレアピンクヘッドのクオリティーを上げていった時に到達する究極のモルフ、キャラメルピンクヘッド(キャラメルピンクテラピン)なのである。

 

さあ、ここまで2回に渡ってお話してきました、オルナータDBTレアピンクヘッドの究極のモルフとレアピンクヘッドの正体について、核心に迫っていきましょう。

 

まず、上の導入の話でも出てきました、アメリカDBTブリーダーならびに私の意図しているキャラメルピンクとは、2000年前後に一世を風靡したミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)のミューテーションの中で最も高い人気を誇ったモルフ、“キャラメルピンクスライダー(別名:アルティメットパラドクス)”のことです。

 

キャラメルピンクスライダー(クリーパーNo.37, p18掲載)

 

このクリーパー掲載のキャラメルピンクスライダー(右のアダルト個体)と、汽水屋が産出した究極のオルナータDBTレアピンクヘッド(下画像)とを見比べてみて下さい。

 

 

キャラメルピンクヘッド(キャラメルピンクテラピン)

 

どうですか、この両者、頭部、四肢の色素が抜けてピンク色に見え、甲羅がキャラメル色を呈し、遺伝的な表現型が良く似ている事が分かるかと思います。

 

このように、表現型の特徴がキャラメルピンクスライダーに極めて似ていることから、このようなレアピンクヘッドは、キャラメルピンクスライダーのテラピンバージョン、すなわち“キャラメルピンクテラピン”と言えるのではないかと考えています。

 

ご承知の通り、“キャラメルピンクスライダー(アルティメットパラドクス)”という呼び方は品種名(商品名)であり、生態学や遺伝学的な変異種を特定した名称ではありません。

それでは、キャラメルピンクスライダーとは、変異種的には何に相当するのでしょうか?

 

キャラメルピンクスライダーについては、アルビノ関連の変異種と思っている方も多いかと思いますが、実はパーシャル(不完全な)リューシスティック(白変種)と考えられています(クリーパーNo.37, p70)。

 

従って、キャラメルピンクスライダーのテラピンバージョンである“キャラメルピンクテラピン”はもとよりオルナータDBTレアピンクヘッドの実体は、不完全なリューシスティック、と考えるのが妥当かと思います。

 

オルナータDBT リューシスティック

 

DBTブリーダーをやっているとしばしば遭遇するのですが、孵化直後から数日間はレアピンクヘッドであったオルナータDBTが、突然、白く変色することがあります。

アルビノ個体では、このような現象は起こりません。

 

ピンクヘッドとホワイトヘッドが、表裏一体であることこそ、オルナータDBTレアピンクヘッドが、リューシスティック関連のモルフであることを支持する現象だと考えています。

 

なお、従来、リューシスティック(白変種)は突然変異によって誕生した希少種と考えられていましたが、現在では、リューシスティックに関わる遺伝情報は、生物にとって正常かつ基本的なものと考えられています(Wikipedia白変種より)。

すなわち、オルナータDBTレアピンクヘッドはレアものでありながら、遺伝子的にはノーマル個体となんら変わらない、ということです。

そこが、オルナータDBTレアピンクヘッドの最大の魅力かもしれませんね ウインク