DBTベビー雌雄判別法:的中率100%を目指して ② | ダイヤモンドガメに魅せられて Fascinating Diamondback Terrapin

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アメリカ合衆国の汽水域に生息しているダイヤモンドバックテラピンの魅力を紹介します。

放映中のテレビアニメ鬼滅の刃「遊郭編」にも鬼舞辻無惨(きぶつじ むざん)の記憶として登場する継国縁壱(つぎくに よりいち)。始まりの呼吸の使い手で、無惨でさえも敵わないほどの最強の鬼狩り剣士である。縁壱は、非の打ち所がない人格者であり、誰にでも剣技や呼吸を教えたという。

機は熟した。ダイヤモンドバックテラピン(DBT)業界の活性化と後継者育成のために、アメリカブリーダーでも究められなかったDBTベビーの雌雄判別法を公開しよう。

 

 

まずは前回の解答です。

 

個体A、B、Cはオスです。

メスは個体Dだけでした。

思いのほか多くの方からご連絡頂きましたが、正解者はおりませんでした。

 

頭が三角形で頭幅もある個体Cをメスと思われた方が多かったと思います。

実は私も昨年の夏、本個体が1歳になるまで、ずっと100%メスだと信じて将来の産卵を楽しみに飼育していました。

 

個体Cがオスと決定してから、上の4匹のオルナータDBTを毎日比較してオスとメスの特徴を探していました。

 

ご承知の通り、甲長10 cm前後になれば、尾の形状、総排泄腔の位置で雌雄判別は容易ですが、それ以下のサイズでも成長が始まったDBTベビーであれば、頭部の形状から雌雄の判別は可能となります。

 

それでは個体C(オス)と個体D(メス)の頭部、どこに違いがあるのか分かりますか?

 

個体C(右)、個体D(左)

 

ヒントは野生動物の目の付き方について考えてみて下さい。

ライオンなどの肉食動物は、視野は狭くなりますが両目で獲物との距離感をつかめるので、目は顔の前についています。

これに対して、シマウマなどの草食動物の目は、顔の横に付いています。

目が横にあると、片目ですが周囲を見渡せるので視野が広くなり、敵や餌を見つけやすくなります。

 

この考え方はDBTにも当てはまり、成長に伴って顕著になっていきます。

DBT頭部の模式図で詳しく説明していきましょう。

 

 

●DBT雌雄判別のための3チェックポイント

① 目の向き(模式図中の①の線)

野生動物と同じで、メスのDBTは産卵のために沢山餌を捕食し、天敵の接近も素早く感知できないといけません。

そのために視野を広くする必要があり、メスはオスに比して、左右の目が縦に平行に付く傾向があります。

これに対してオスの目は、鼻のライン方向を向きます。

 

② 顎の発達による目の位置(模式図中の②の箇所)

やはりこれも産卵のためですが、DBTのメスはオスより餌を多く摂食しなければならないので、成長と伴に顎が発達してきます。

メスの顎は成長と伴に横に広がってきますので、頭部を真上から見た場合、メスの目の付いている位置は、鼻・顎のラインより確実に内側(目は頭部に埋め込まれた形)になります。

このメスの形態学的特徴は、亜種、血統に関係なく成長したメスでは絶対的な特徴となります。

 

これに対して、オスは顎の発達がメスほどではないので、頭部を真上から見た場合、オスの目は鼻先に向かって頭部の表面に付いているように見えます。

 

③ 鼻の形状(模式図中の③の箇所)

DBTのオスは、メスに比して顎の発達が悪く頭幅が狭いので、鼻先から顎にかけて流線形で鼻が突き出して見えます。

成長が始まった甲長3 cm後半のベビーで、鼻から目・顎のラインが鋭角三角形になっている個体がいますが、このような個体は高い確率でオスです。

 

以上が、DBT頭部に現れる雌雄の形態学的特徴で、成長につれてより明確になってきます。

しかし、これらの特徴はオスの尾が太く伸びてくるより前から現れてきますので、尾の形状で雌雄が決定する以前に、3つのチェックポイントを駆使すればDBTベビーの雌雄判別が可能となります。

もちろん、最低限の経験は積まないといけません。

 

3つのチェックポイントを良く見極められない方は、DBTの頭部を真上からだけでなく、画像のように斜め上から覗き込むように見て下さい。

 

個体Cオス(右)、個体Dメス(左)

 

オスは鼻先が尖っていて、鼻・目・顎のラインが三角形に見えます。

メスは顎、頬に丸みがあり、目が顎より内側に位置しているのが良くわかるかと思います。

ご参考までに。

 

次回、本雌雄判別法を他亜種、ベビーサイズへ適用していきます。

つづく