3.整理フェーズ
前回までに、準備フェーズ⇒導入フェーズと学んできました。
今回は、整理フェーズについて一緒に学びましょう。
導入フェーズで論議(意見―質問ー)の繰り返しの中で、沢山の問題やアイデアが出てきました。そして質問によって、問題やアイデアが深められ、多様な視点・視座からの検討がなされました。
いよいよこれらを整理・整頓する局面にきました。この段階での基本ステップには
3つのスキルがあります。
(1)論点のポイントを可視化するスキル、(2) 論点のポイントを理解するスキル、(3)論点のポイントを図表にまとめるスキルが、それです。
(1)論点のポイントを可視化するスキル
グループワークに、記録者がいる場合と、いない場合がありますが、記録者がいれば、その記録者に論点を整理していただき、さらにメンバーに補足していいただきます。記録者がいないときは、メンバー各自にメモを取っていただき、そのメモをホワイトボードに羅列してもらいます。
可視化と整理の時間短縮のために、セッション(課題)ごとに色分けされた大き目の貼れるメモ用紙を配布する場合があります。さらに補足することがあれば補足してもらいます。
最近は、タブレットPC、電子白板など、会議に適した道具がたくさんあるので、それらを持ち寄って情報の可視化や整理時間を短縮することも可能です。
(2)論点のポイントを理解するスキル、
主題に沿った論議を促進することが、ファシリテーターに要求されますね。主題の理解が不足すると論点がかみ合わず、不要な拡散・混乱を招きます。論議を本線に戻すこともファシリテーターの役割です。
特にビジネスコーチングのファシリテーターは、ロジカルシンキング(論理的思考=道筋の明らかな思考と行動)のスキルが最低限求められます。
ロジカルシンキングの特徴は、課題の設定から実行可能な解決策の発見・考案、さらに実際の行動の管理と目標達成という成果を実現するための基本的な思考と情動と行動に責任を持つということだと思います。
ロジカルシンキングには、4つのスタンスがあることが知られています。
①仮説思考、②ゼロベース思考、③ポジティブ思考、④フレームワーク思考、がそれです。
ここでは、ごく簡単な説明に留めますので、ご関心ある方は、関係図書でさらに深く学んでください。
①仮説思考とは、限定条件の中で考えられる仮説(仮の結論)をもとに思考・行動することです。。その仮説を立てて検証し、課題の解決策を導きます。仮説が間違っていれば、新たな仮説を立てて検証するという思考方法のことです。思いつきではなく、仮説を立てて行動した方が、資源や時間を効率的に使うことができます。
②ゼロベース思考とは、先入観や既成概念・や常識を取り払い、白紙に戻して最善の解決策を見つけ出そうという考え方です。環境変化の激しい現代では、ゼロベース思考により、発想・思考がより広がり、これまでに考えもつかなかった解決法を見つけ出せる可能性があります。
③ポジティブ思考とは、「きっとより良いに解決法があるはずだ」という前向きな考え方です。
特に、ビジネスでは、環境は刻々と変化します。限られた時間の中で絶対とか、ベストの答えはなく、よりベターな解決策を見出すという思考が大事です。
④フレームワーク思考とは、あらかじめフレームワークすなわち論議や思考方法の「枠組み」を作り、使って考え論議することで、効率よく、またロスをできるだけ少なくしようと考えることです。
フレームワークを活用することで、考える時間の効率化を図ることもできます。ただし、一般的なフレームワークを使う場合は、今考えている事象に対して適切なフレームワークなのだろうか?ということを常にチェックする必要があります。
(3)論点のポイントを図表にまとめるスキル
作図・作表は,論点を整理するためにとても効果的であることは言うまでもありません。プレゼンテーションのスキル同様に、ファシリテーションスキルとしても図表を活用したいものです。
図表にするのは、論点やアイデアの関連性,位置関係がよくわかるようになりからです。
統計、計算、フローチャート、階層化、ステップ、レベル、分類、順位など、いろいろな図表を作ってみることで、整理から整頓の段階に移行することができます。さらに着想や発想が広がることもあります。
私がもう一つ整理の段階で加えておきたいことは、ファリシテーションのフィードバック(振り返り、内省、スキルアップ)のために、クライエント様やメンバーに許可をいただいて、ボイスレコーダや、ビデオカメラに記録する場合もあります。これはコーチのフードバック学習のためです。もちろん厳格な守秘義務があることは言うまでもありません。