ノルサランヘ~君を愛してる~

第32夜【"物語"の終焉】


自室へとたどり着いた彼女。緊張が切れたのか、部屋に入ると、深い眠りについた。しかし、夜中に目を覚ます。そして、事件を思い返していた。

『…ラビ…』
私は少しでも、ラビの力になれたのかな?…結局、"ダグ"を破壊したのはラビだった…その後のは、予想外だったけど////

両思いになれたことに赤面する彼女。しかし、あることを思い出した。

あっ、でも明日には巻き戻しの街に行っちゃうんだった。私も一緒に行けないのかなぁ?

そんな思いを巡らしていると…

パンッ

『え?(汗)』
何今の?…頭の中で聞こえたような…

パンッ、…パン…!

その奇妙な音は鳴り続け、次第に彼女を苦しめた。
『なん、なの?…頭、痛い…(汗)』

パンッ!!!

それは、今まで以上の大きな音で鳴り響いた。すると、彼女の意識が遠退く。彼女の意思とは関係なく、彼女の体は歩き出した。そして、行き着いた場所は…初めて彼女が発見された大聖堂だった…。
そして、二人の愛を誓った場所。
正気を取り戻した彼女は、状況が飲み込めず、動揺する。
『どうして…ここに…?』
何が起きているの?(汗)

そんな彼女の脳裏に、"ある"風景が浮かぶ。


その頃、ラビは一人、自室で物思いに耽っていた。

「結城…明日も会えるのに、逢いたいさ…」
淋しいって、可笑しいよな…俺…さっきまで一緒だったじゃん(苦笑)
「俺みたいに不安定な奴が、本当の愛って奴を見つけるなんてな」
いつか来る別れの時、俺は…アイツの涙を、拭き取る側でいたいさ…誰よりも普通でいて、誰よりも近い俺でっ。だけど、誰にも引き裂かれたりしないさぁ、絶対!!
「・・・・あぁ~…、辛気くさいのは止めさ!…これからのことを考えるさっ」
そう言うと、部屋を出る。そして、ラビもまた、大聖堂に足を踏み入れたのだった。


時は少しさかのぼり、先に大聖堂に居た彼女。頭を抱えてしゃがみ込んでいた。

『そ、んな…ユウキ…?』
彼女が知った事実は、あのユウキ・ハグロがエクソシストになっている未来。人魚伝説の任務は、アレンだけで調査し、ユウキがエクソシストとして覚醒する未来を視たのだ。
前に、彼女が…この世界は作者が一度は考えたパラレルワールド…と言っていたのを覚えているだろうか?
それはまさしく、的を射ていた。つまり、ここは複数のパラレルが絡み合い、交差している。彼女が来たせいで、様々な未来がなくなっては再構築され、平行世界が増えていったのだ。そして…それが明かされた今、このパラレルの修正が行われる…彼女の帰還という修正が。
『嫌だ…嫌だよ…やっと、本気で好きになれたのにっ。大好きだって気づけたのに…もう逢えなくなるなんて…』
涙を頬に伝わせながら、十字架を仰ぎ見る。

いつまでも、傍に居たかったよ。ラビ…最後に逢いたかった…

彼女には、光のカーテンのようなモノが、棚引くのが見え始めていた。それはきっと、戻る為の入口。そこから、光の粒子が飛び、彼女を包んだ。それが弾けるとまた、脳裏を横切る風景。それは、ここに来る前の忘れていた出来事だった。漫画を手に、ベッドの上で寝そべる彼女。漫画の内容は、ラビが何かを探しているモノだった。けれど、今の彼女にはわかる。ラビが探し当てた宝玉のような藍色の玉は、彼女の対アクマ武器を、ピコにした姿だった。そして、それを探していた部屋が彼女の自室。しかし、ラビはそのことには気づいていなかった。

嫌だっ。こんなこと、思い出したくなかった!

彼女は、泣きながら、その場にうずくまる。

私がホントの世界に帰った時、私に関する記憶は全て…消える…
『これじゃまるで…』
ラビが、いつだったか教えてくれた…
「藍色って、幻影のシンボルになる色なんさぁ」
茶番じゃない。何もかもが幻なの?

彼女はただただ、うなだれた。そこにちょうど、ラビがやって来る。
「結城?…どうしたんさ?…怪我の具合が万全じゃないんだし、休んでた方が…つーか、今も痛いんさ?…座ってるけど(汗)」

『ラビ…私、私っ(泣)』
最後に、逢えたっ。逢いたかったよぉ…ラビ…
「ど、どうしたんさ!?」
顔を上げた彼女に、ラビは駆け寄った。
『私ね、もう帰らなきゃいけないみたいなのっ』

「どういうことさ!?(汗)」

『私にも、よくわからないけど…迎えが来ちゃったみたい…ラビ、ごめ・・・・あぁ!!!!(汗)』
突然、頭を抱える彼女。ラビは彼女の顔を覗き込んだ。
「結城!?しっかりするさ!(汗)」
彼女には、頭痛と共に、ある風景が浮かんでくる。

…砂時計…どうして部屋に、異の砂時計が!?(汗)それに…ラビ?…眼帯をつけてなかった

続けざまに浮かぶ風景。

チョカ アルダ・・・?・・あぁ、やっとわかったよ、ユウキ。あなたが言っていた意味が…
「大丈夫さ?(汗)」

『うん…さっきから頭痛がしてたんだけど…もう大丈夫みたい。それより、ラビにやって欲しいことがあるの…私が"消えた"後に…』
ラビに"あること"を約束させた彼女。ラビは、彼女のことを強く抱き締めた。彼女も、抱き返す。

どの世界に産まれても、あなたを見つけ愛する。この憧れの異世界に居た私、ユウキ・ハグロのように。だから…あなたも、私を見つけてね…(微笑)

そう微笑みながら…


しかし、時は過ぎていく。

『ラビ…時間みたい…』
そう呟いた彼女の体は、また光の粒子に包まれていた。今度は弾けない。彼女はラビと距離を取り、光るカーテンの前へ移動した。それについて来るラビ。
「俺はっ、お前じゃない誰かじゃ、ダメなんさ!」
ラビが来る前に、彼女の体は浮いていた…カーテンの真ん前まで…。彼女は、ラビに向かって頷き…
『バイバイ…ラビ…私も、あなたじゃないと嫌だよ(苦笑)』
光を背にした彼女の口が、声もなく動く…またね、ラビ。愛してる…。ラビは、口の動きで、それを理解する。その瞬間、空間に吸い込まれるように、跡形もなく消え失せた。
「結城ーーーーー!!!」
伸ばした手は届く訳もなく、ラビはガクリと膝をつく。
「…結城…結城っ、クソッ、急すぎさ!心の準備すらさせてくれないんさ?それに…やっと、"本当の俺"を伝えられたのにっ!…またねなんて…」
いや、こうなることは、初めからわかってたんさ。だから、他の奴より素の俺で接して居られた。そして…好きになったんさ…誰よりも、俺のことをわかってる、お前をっ。結城…俺はホントにお前のことを…

キィ…

急に、どこからともなく、そんな音が響いた。すると、ラビは顔を上げ、瞬きを繰り返す。そして…
「あ、れ?…俺なんで、こんなところに居るんさ?いや…」
誰かと一緒に居た…その子は・・・・わからない。どういうことさ?夢?(汗)…でも確かに俺は、彼女を愛してた。誰よりも一緒に居たいほど。傍に居てくれるだけでいいくらいに。俺は…こんなに愛してたのに…その顔すら思い出せないのか?…この…切なくて苦しい気持ちはいったいなんなんさ?・・・・・涙さえ出ないさぁ…哀しいはずなのに…

そんな時、白いリボンが床に落ちた。
「これは…」
ダグのっ!そうだ、俺はダグを!(汗)

ギリッと歯を喰い縛る。しかし、思ったほど胸が苦しくないことに気づいた。

俺はダグよりも、居たかどうだかも、誰だかもわからない奴の方が、苦しいなんて…俺、どうしちゃったんさ…?

ラビは、ただただ考えた。居たかどうかもわからない彼女のことを。そして…
「そうだ…行かなきゃっ。"約束"したんさ…」


そう呟くと立ち上がる。そして、ある場所へと向かったのだった。二人は二度と逢えないのか?ヘブラスカの"予言"が、関係しているのでした。


第32夜 END

ノルサランヘ~君を愛してる~

第31夜【互いの想い】


ダグが、どうしてアクマになってしまったのか。彼女が、見てきたかのように知っていた理由を話した。そして、ダグのことを変えたかったことも。

『この世界でダグに会った時から、こうなることはわかってた…だから、変えたかったのに…』
結局、ラビの火判で破壊…何も変わらなかったんだ…
「そうか。お前は知ってたから、俺の行く任務内容を気にしてたんだな…一緒に行ければ、ダグとコレットがこんなことになる前に、止められたはずだったから…(あの時、言いに行ってればっ)」

『ごめん…なさい…』

「なんでお前が謝るんさ?…お前は、頑張ってたさぁ。…未来をしゃべれなかったから、一人で、どうにかしようとしてたんだろ?(苦笑)」
ラビの優しさが、嬉しくもあり…辛かった…。ラビだって、辛いはずだから。
『ホントに、ごめんっ(泣)』
彼女は、涙を堪えることが出来ず、ラビを背に走り出した。
「…ソニョ!?(びっくり)」
それを、ラビは追いかける。しかし、ラビの制止を振り切って、彼女は廊下を走り続けた。彼女が簡単に追い付かれないのは、小回りを効かせて逃げているから。教団内を熟知しているからこそ、出来ることだ。他の人に会わないのは、事件が解決したことを知らない為、出歩いていないから。
「ソニョ!待つさっ、ソニョ!!」
止まれる訳ないじゃない…こんな顔、ラビに見られたくない…私まで、こんなに苦しくなるなんて(泣)
「なぁ!お前が何を思って逃げてるかはわかんないさっ。だけど、これだけは言わせてくれっ!…俺のことをたくさん考えてくれて、ありがとうさぁ!!すげー嬉しいさっ!…俺はっ、お前のそんなとこが、目が離せないっ」
ほらっ、食堂でも言ったさっと、ラビは彼女に向けて叫んだ。ラビの言葉に、胸が暖まるのを感じる彼女。しかし、彼女は止まらなかった。そう、彼女の涙の訳には、もう一つある。彼女は、小説版のラビと同じ心情になっていたのだ…気づかない間に…。"ダグ"のことに、ショックを受けている。ラビの為にとやって来たけれど、その時になると、影響が強かった。


ラビは、彼女を追いかけながら語りかけ続ける。

「ソニョ、紐飾りをあげた時を覚えてるか?…お前に会いたかったって言葉、ホントは嘘じゃなかったんさっ。ホントに会いたかった!…あの時は、誤魔化しちゃったけどっ(汗)」
急に、なに言って(汗)
「ダグのことは…確かにショックだったさ…だけどっ、俺は、お前の悲しんでる姿の方が、何倍も辛いさぁ!」
ラビ?…私…

ラビの言葉に、驚く彼女。更に言うラビの言葉は、誰が予想できただろうか?
「俺は、お前のことが・・・・好きさぁ。・・・・愛してる、誰よりもっ」
え・・・・ウ・・ソ・・?

聞き間違いじゃないかという驚きのまま、大聖堂へと走り込んだ彼女。驚いたせいか、走る速度が遅くなっていたらしく、途中で腕を捕まれ、抱き寄せられた。そして、無理矢理、奪うようにキスをされる。それは、数秒のはずなのに、長く感じられた。強張っていた体の力が、抜けていくのを感じる。そして、お互いの唇が離れた。
「・・・・なんで…泣くんさ?…俺じゃ、そんなに嫌か?」
彼女は、瞳に涙を溜めながら、首を横に振る。
『違う…違うの…』
私なんか…
「じゃあ、なんなんさ?」

『私もラビのことが好き…ここに来るずっと前から大好きで…ここに来て、話したり触れあって、それは愛してるに変わった。だけど…私はいつか、元の世界に帰んなきゃいけない。…それにラビ?…あなたはブックマンの後継者。何者にもとらわれない傍観者じゃないといけないんだよ?…ブックマンに怒られるだけじゃ済まされないよ、きっと』

「んなこと、わかってるさ…だけど…お前のことは、傍観者で居たくなかった。確かに、お前は元の世界に帰っちまうかもしんないさぁ…けど…それまではずっと、傍に居たいんさ」

『ラビ…ありがとう(微笑)…でも、私には何もないんだよ?…ここじゃ、ホントの名前だって意味がない…実体のないゴースト。それでもいいの?』

「いいもなにも、お前はここに居るさ。愛してるのは、お前の名前とかじゃない。今、目の前に居るお前自身さぁ(にっ)」

『ラビ・・・・じゃぁ、じゃあさ、私のナムピョンになってくれる?』

「おいおい、そこはちゃんと【夫】って言えよ(苦笑)」

『えへへ…(照)』
彼女の頭を撫でていたラビが、急に…
「あっ!…俺ら、ちょうどいいとこに居るさ♪」

『え?(キョトン)』
ラビが指差した方を見上げると、大聖堂の十字架と女神像が目に入る。すると、ラビの声が、上から降ってきた。
「俺は…ここで誓うさ…お前を愛し続けると。例え、離ればなれになったとしてもさぁ(にっ)」

『ラビ・・・・・私も。どんなに離れても、ずっとずーっと、ラビのこと、好きでいるからね♪』

「はは……パンダジジイには秘密さ(ニヤ)」

『そだね(笑)』
笑い合う二人。それから…
「そうそう。思ったんだけど、この赤い紐飾りを、俺らの誓いの証にしようぜ♪」

『うん、いいと思う。これは、私達のエンゲージリングの代わりだね(にっ)』
赤い紐飾りは、ラビが彼女の為に、彼女に逢う為に、買ってきた物。二人にとっては、うってつけだ。互いに、指輪をしていたら、ブックマンにバレてしまうから。
「決まりさぁ。この紐飾りに賭けて、愛を誓うさ(微笑)」

『私も、誓います(にこり)』
ラビは急に、真剣な顔になり…
「ソニョ・・・・」
彼女の"仮の"名前を呼ぶ。すると…
『結城だよ(微笑)』

「え?(キョトン)」

『羽黒 結城…羽と黒で羽黒…髪を結うの結うとお城の城で結城。これが、私のホントの名前…ラビだけには、知っていてほしい…』

「結城…いい名前さ…」

『ありがとう』
二人は、互いに微笑んだ。それから見つめ合う二人。そして…
「サランヘ(愛してる)、結城」

『ネ(はい)…サランヘヨ(愛してます)…(微笑)』


十字架の前で、甘い口づけを交わした。二人の愛を、神に誓うかのように。そう、未来は、ある意味で変わった。
このあと、二人は事件の報告に向かう。そして、彼女は医務室に寄り、自室へと帰った。さて、彼女が、この世界に来た"本当の理由"はなんなのか?既に、果たされているのでした。


第31夜 END

ノルサランヘ~君を愛してる~

第30夜【ダグとコレット】


少々、時間はさかのぼり、彼女と別れたラビ。自室へと向かっていた。その途中で、コムイと会い、アレンの話を聞く。それから、ダグが帰って来たことも知らされた。

「あっ、そういえば…もうソニョくんには会ったのかい?…君が帰って来るのを待ってたみたいだよ(にこり)」

「おう、さっきまで一緒に居たさぁ~…てかさ、コムイ!…あんま、ソニョに無茶させんなよっ。体の調子が悪いみたいなんだからさぁ(ムス)」

「そのことに関しては、申し訳ないと思っているよ。彼女しか居なかったにせよ、傷が治ってからにするべきだった。無事に帰って来たからいいものの…彼女の身を危険にさらしてしまった…」

「わかればいいさぁ」
ラビのいつにない態度を見て、コムイは、なんだか微笑ましい気分になった。
「ラビは、彼女のことが心配で仕方ないんだね(ボソッ)あっ…そういえば…ソニョくんが、ダグも入れて、三人で街に行くとか言っていたから…彼とも仲が良くなっていたみたいだよ(にこり)」

「へぇ~…さっきは、何も言ってなかったさぁ。…まぁ、三人で街っていうのもいいさ♪…てか、コレットのことも聞きたいし…」

「何それ?(キョトン)」

「いや、こっちの話(ニヤニヤ)」
そんなこんなで、コムイと別れ、自室に帰ったラビ。ベッドに寝転んで、任務のことを思い出していた。
「ダグの奴、ちゃんとリボン渡せたかなぁ~」
コレットも、嬉しそうだったし、うまく行くといいさ♪…あぁ…でも、うまくってちょっと違うか?ん~・・・・まっ、いっか。それにしても、ソニョの奴、ダグといつ、街の話するほど仲良くなったんさぁ
「つーか俺はのけ者さ?」
どっちも、そんなこと言ってなかったさ(ムス)

少しむくれるラビ。しかし、その時…。


ここは、うって変わって、レベル2と交戦中の彼女。にやりと笑うドビーは、ゆらゆらと揺れながら飛んでいた。しかし、そんなとこ見ている余裕はない。

『速いっ(汗)』
…わかってたけど…私じゃ、目で追えないっ

鎧だから重くて遅いなどという発想は通用しないほど、このレベル2は素早い。彼女がギリギリ交わせているのは、対アクマ武器のお陰だ。なぜなら、イノセンスが彼女の動きをサポートし、無意識に腕を動かして、対アクマ武器で受け止めているからだ。キンキンと鉄のぶつかる音が、広い廊下に響く。そして、騎士の鉄槍と彼女の槍が組み合った。

くっ(汗)・・・・やっぱ、力押しじゃ勝てないっ。かといって、避けるのにも限界が…どうすれば…(汗)それに、私までこんな気持ちになるなんて…

彼女は、レベル2を見つめながら呟いた。
『ダグ…ごめんね…ホントは、あなたを助けたかったんだよ』
私は、コレットだって、助けられたのに

彼女の言葉でドビーはゆらゆらと揺れるのを止めた。レベル2も動きを止め、彼女から距離を取る。
「なに言ってんだお前?」
ドビーを睨み付け…
『あんたさえいなければっ、ダグは!』

「フンッ、いけないことだって知っていながら、みんな繰り返すんだ。俺が居なくたって、どんな奴でも、すがり付いてくんだよ」

『そんなこと、わからないでしょっ!?』

「わかるさっ!馬鹿な人間達を大勢、見てきたからなぁ!(笑)コイツだって…」
ドビーが悠長に語る。彼女の中には怒りが込み上げていた。話したのは、ほんの些細なことだったけど…小説を読んで、憎めないダグが好きだった…優しすぎるダグが。だから、ダグを悪く言うのが許せない。会った瞬間に、破壊して置けばよかったと思った程に、怒りに燃えていた。
「ホント、馬鹿だよ。ファインダーのくせして…『断罪ノ槍(ロンギヌス)!!!!!!(怒)』
彼女の変化に気づいていれば、交わせたかもしれない。ドビーは、空気の圧力により、弾け飛んだ。
『…今なら、"あの時"のラビの気持ちが、痛いほどわかるよ…(ボソッ)』
小説で、ラビがドビーを破壊したところを思い出していた。ラビの本質を見抜いていたダグ。だからこそ、今のラビがいると言っていいと、彼女は思っている。今回の任務で、ラビは一層、優しさを増した。親しくなった者を、"破壊"しなくてはいけないこの状況…教団に来たばかりのラビなら、苦にならなかったであろう状況…親しくなった苦しみをじかに受けてしまう現在。それを知っていたからこそ、彼女は初めから未来を変えたかった。
『…コレット…私があなたを、苦しみから解放してあげるからね』
とても幼くて幸の薄かった少女…それがやっと、ダグのお陰で幸せになるはずだったのに…無下に殺され、終いには呼び戻された。そして、人を殺す醜さに苦しみ、レベル2まで成長してしまう。コレットには、なんの罪もないのに…優しい良い子なのに…。いや、わかってるんだ彼女だって…みんな、ただの物語の登場人物だってことくらい…。だけど、大好きになっちゃったんだから仕方ないじゃない。好きな人達を助けたい、彼女はそう思ったのだ。


彼女は気持ちを新たに、レベル2に立ち向かう。囚われたコレットの魂を救う為に…ラビの為に…。

コイツは、素早すぎて断罪ノ槍(ロンギヌス)は当たらない…それなら…!

レベル2から間合いを取り
『海王ノ矛(ポセイドン・ザ・ジャベリン)!!』
レベル2は、追尾してくる水槍を避けつつ、向かって来た。彼女も玉々(ギョクギョク)で避ける。隙をつき、断罪ノ槍(ロンギヌス)を放つが、弾かれてしまった。

クソッ、威力が足りないのか?

攻撃を避けながら、海王ノ矛(ポセイドン・ザ・ジャベリン)を再び放つ。すると、今度は、数発当たった。しかし、傷一つ付いていない。

そんなっ!こんなに強くなったのに…私じゃ、ダメなのか…?(汗)

彼女の動揺を見抜いたのか、瞬時に彼女の背後に回り、突進して来た。彼女は避けきれず、前に怪我をした場所を、再び強打される。

うっ(汗)…治ったはずなのに…ダメ、イタイッ

腕の痛みでへたり込んでしまう彼女。傷は完全に完治していなかったようだ。レベル2は、そこにまたしても突進しようと走って来る。

や、ヤバいっ!今度こそ、避けきれない(汗)

そう思った瞬間…
「劫火灰燼(ごうかかいじん)…火判!」
背後から声が聞こえ、彼女の横を炎の竜がすり抜けていった。それは、騎士姿のレベル2を襲い、消し飛ばす。破壊されたレベル2が居た場所には…白いリボン…。
「…っ!?(びっくり)そ、そのリボンはっ、ダグがコレットにやるはずだった!・・・・まさかっ!!(汗)」
後ろを振り向きながら、彼女は言う。
『そう…だよ…ラビ。あれは、ダグの皮を被った、コレットだったの』
あぁ…私は結局、未来を変えることが出来なかった…反対に、助けられちゃったよ
「なんで、そんなことになってるんさ?(汗)」


この瞬間が過ぎたことで、真実を話すことが出来る彼女。彼女はラビに、未来を変えたかったことを話すのだった。本当に、未来は変わらなかったのか?そんなことはないのでした。


第30夜 END