ノルサランヘ~君を愛してる~

第31夜【互いの想い】


ダグが、どうしてアクマになってしまったのか。彼女が、見てきたかのように知っていた理由を話した。そして、ダグのことを変えたかったことも。

『この世界でダグに会った時から、こうなることはわかってた…だから、変えたかったのに…』
結局、ラビの火判で破壊…何も変わらなかったんだ…
「そうか。お前は知ってたから、俺の行く任務内容を気にしてたんだな…一緒に行ければ、ダグとコレットがこんなことになる前に、止められたはずだったから…(あの時、言いに行ってればっ)」

『ごめん…なさい…』

「なんでお前が謝るんさ?…お前は、頑張ってたさぁ。…未来をしゃべれなかったから、一人で、どうにかしようとしてたんだろ?(苦笑)」
ラビの優しさが、嬉しくもあり…辛かった…。ラビだって、辛いはずだから。
『ホントに、ごめんっ(泣)』
彼女は、涙を堪えることが出来ず、ラビを背に走り出した。
「…ソニョ!?(びっくり)」
それを、ラビは追いかける。しかし、ラビの制止を振り切って、彼女は廊下を走り続けた。彼女が簡単に追い付かれないのは、小回りを効かせて逃げているから。教団内を熟知しているからこそ、出来ることだ。他の人に会わないのは、事件が解決したことを知らない為、出歩いていないから。
「ソニョ!待つさっ、ソニョ!!」
止まれる訳ないじゃない…こんな顔、ラビに見られたくない…私まで、こんなに苦しくなるなんて(泣)
「なぁ!お前が何を思って逃げてるかはわかんないさっ。だけど、これだけは言わせてくれっ!…俺のことをたくさん考えてくれて、ありがとうさぁ!!すげー嬉しいさっ!…俺はっ、お前のそんなとこが、目が離せないっ」
ほらっ、食堂でも言ったさっと、ラビは彼女に向けて叫んだ。ラビの言葉に、胸が暖まるのを感じる彼女。しかし、彼女は止まらなかった。そう、彼女の涙の訳には、もう一つある。彼女は、小説版のラビと同じ心情になっていたのだ…気づかない間に…。"ダグ"のことに、ショックを受けている。ラビの為にとやって来たけれど、その時になると、影響が強かった。


ラビは、彼女を追いかけながら語りかけ続ける。

「ソニョ、紐飾りをあげた時を覚えてるか?…お前に会いたかったって言葉、ホントは嘘じゃなかったんさっ。ホントに会いたかった!…あの時は、誤魔化しちゃったけどっ(汗)」
急に、なに言って(汗)
「ダグのことは…確かにショックだったさ…だけどっ、俺は、お前の悲しんでる姿の方が、何倍も辛いさぁ!」
ラビ?…私…

ラビの言葉に、驚く彼女。更に言うラビの言葉は、誰が予想できただろうか?
「俺は、お前のことが・・・・好きさぁ。・・・・愛してる、誰よりもっ」
え・・・・ウ・・ソ・・?

聞き間違いじゃないかという驚きのまま、大聖堂へと走り込んだ彼女。驚いたせいか、走る速度が遅くなっていたらしく、途中で腕を捕まれ、抱き寄せられた。そして、無理矢理、奪うようにキスをされる。それは、数秒のはずなのに、長く感じられた。強張っていた体の力が、抜けていくのを感じる。そして、お互いの唇が離れた。
「・・・・なんで…泣くんさ?…俺じゃ、そんなに嫌か?」
彼女は、瞳に涙を溜めながら、首を横に振る。
『違う…違うの…』
私なんか…
「じゃあ、なんなんさ?」

『私もラビのことが好き…ここに来るずっと前から大好きで…ここに来て、話したり触れあって、それは愛してるに変わった。だけど…私はいつか、元の世界に帰んなきゃいけない。…それにラビ?…あなたはブックマンの後継者。何者にもとらわれない傍観者じゃないといけないんだよ?…ブックマンに怒られるだけじゃ済まされないよ、きっと』

「んなこと、わかってるさ…だけど…お前のことは、傍観者で居たくなかった。確かに、お前は元の世界に帰っちまうかもしんないさぁ…けど…それまではずっと、傍に居たいんさ」

『ラビ…ありがとう(微笑)…でも、私には何もないんだよ?…ここじゃ、ホントの名前だって意味がない…実体のないゴースト。それでもいいの?』

「いいもなにも、お前はここに居るさ。愛してるのは、お前の名前とかじゃない。今、目の前に居るお前自身さぁ(にっ)」

『ラビ・・・・じゃぁ、じゃあさ、私のナムピョンになってくれる?』

「おいおい、そこはちゃんと【夫】って言えよ(苦笑)」

『えへへ…(照)』
彼女の頭を撫でていたラビが、急に…
「あっ!…俺ら、ちょうどいいとこに居るさ♪」

『え?(キョトン)』
ラビが指差した方を見上げると、大聖堂の十字架と女神像が目に入る。すると、ラビの声が、上から降ってきた。
「俺は…ここで誓うさ…お前を愛し続けると。例え、離ればなれになったとしてもさぁ(にっ)」

『ラビ・・・・・私も。どんなに離れても、ずっとずーっと、ラビのこと、好きでいるからね♪』

「はは……パンダジジイには秘密さ(ニヤ)」

『そだね(笑)』
笑い合う二人。それから…
「そうそう。思ったんだけど、この赤い紐飾りを、俺らの誓いの証にしようぜ♪」

『うん、いいと思う。これは、私達のエンゲージリングの代わりだね(にっ)』
赤い紐飾りは、ラビが彼女の為に、彼女に逢う為に、買ってきた物。二人にとっては、うってつけだ。互いに、指輪をしていたら、ブックマンにバレてしまうから。
「決まりさぁ。この紐飾りに賭けて、愛を誓うさ(微笑)」

『私も、誓います(にこり)』
ラビは急に、真剣な顔になり…
「ソニョ・・・・」
彼女の"仮の"名前を呼ぶ。すると…
『結城だよ(微笑)』

「え?(キョトン)」

『羽黒 結城…羽と黒で羽黒…髪を結うの結うとお城の城で結城。これが、私のホントの名前…ラビだけには、知っていてほしい…』

「結城…いい名前さ…」

『ありがとう』
二人は、互いに微笑んだ。それから見つめ合う二人。そして…
「サランヘ(愛してる)、結城」

『ネ(はい)…サランヘヨ(愛してます)…(微笑)』


十字架の前で、甘い口づけを交わした。二人の愛を、神に誓うかのように。そう、未来は、ある意味で変わった。
このあと、二人は事件の報告に向かう。そして、彼女は医務室に寄り、自室へと帰った。さて、彼女が、この世界に来た"本当の理由"はなんなのか?既に、果たされているのでした。


第31夜 END