ひと騒動 | かけがえのないゴルフ人生

かけがえのないゴルフ人生

DGA(日本障害者ゴルフ協会)の事務局長をしています。お給料はなし、24時間のボランティアです。たくさんの素晴らしい障害者ゴルファーからもらう勇気と元気が活動の糧。障害者ゴルフの活動と日々見たこと感じたことを綴ります。



あっという間に8月になり。

明日4日にはスウェーデンのマルメ市で開催される「2015Swedish Invitational」に出場するDGAのエース、小林茂さんと小山田雅人さんがコペンハーゲンに向けて飛び立ちます(ちなみにマルメ市はスウェーデンでもデンマークのコペンハーゲンから行くと近い)。

この大会は公式ハンデキャップ、男子は11.4、女子は16以下の精鋭が世界各国から集まる障害者ゴルフの個人戦。ヨーロッパからの参加が多いですが、日本、南アフリカ、オーストラリア、アメリカなどからも選手が出場します。

さて、この大会、今年からR&A公認の試合となり、パラリンピック正式種目入りを視野に入れて、世界選手権の個人戦にしようと目論んでいる模様。

そのためか、今年から選手の出場資格が特に厳しくなって、先週、「2人の日本人選手はクラス分けをするから試合前に医学委員との面接をします」というお知らせを貰いました。大会の委員会では初出場者や障害内容がよくわからなかったり、見直しが必要な15人をピックアップ。実際に面談して障害内容を把握しようというのです。「その時EDGAの障害評価表とメディカルレポートを持ってきてください」とのこと。

EDGAの障害評価表はこれまでも日本の選手がヨーロッパの試合に出場する時(この試合も含めて)に提出していたのですが、どちらかというと形式的なもので、現地で障害内容を確かめる面接があったり、専門家が選手のプレーを観察していたりすることはありませんでした。

ですから、日本からも障害が軽い、グレーゾーンの選手を連れて行ったことも実はあったのです。しかし、何のお咎めもなく過ぎて、そんな選手が「俺はEDGAの障害基準をクリアしている」と誤解していたこともありました。

日本では初参加の選手には必ず障害内容をチェックするクラス分け面接を行っていて、時には障害が軽い選手を総合入賞から外すことがあります。

でも、そうすると角が立つこともあるので、ヨーロッパではこれまで、特に遠方から来た選手にはその国のクラス分け委員が認めていれば出場も入賞も認めるという暗黙の了解がありました。

けれども障害者ゴルフをパラリンピックのステージに引き上げるためには障害基準は非常に大事で、特にこの大会のようにレベルの高い国際大会では出場選手の障害チェックを厳しくしようとしているのでしょう。

大賛成です。

・・・しかし。日本の2選手のEDGA障害評価表はきちんと作っていたのですが、メディカルレポートって何?

障害内容のレポートなのか、健康診断的レポートなのか、それとも2つを合わせたようなもの?

選手の出発までには余りにも時間がなく、しかも英語のものとなるとすぐに出来るというものでもありません。

どういう内容にしたら良いかを先方に問い合わせているうちについに週末に突入。

結局、障害内容の医学レポートということで、DGAのクラス分け委員長であるM先生に内容をお願いし、なんとか用意することが出来ました。

もう少し時間があれば焦ることもないのですが、その不満を大会のトーナメントディレクターに伝えると「いやー、ごめん。ギリギリまでお金集めで忙しく、連絡が遅れちゃった」とのこと。

どの国も障害者ゴルフの国際大会運営には苦労しているんだな、と人ごととは思えず、文句は言えません。