は依頼を受けて | いたずら王子

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 その日の夜、出勤した阿佐美と要は、早速『資料室』にむかった。ここに入ることができるのは、各班の班長のみであったため、これは五人の中で、二人にしかできなかった。
「十年前だから……」
「あ、あそこじゃない?」
 しかし、そこには阿佐美たちが思っていたよりも多くの資料があり、二人が探しているそれを見つけるのにも、時間がかかりそうであった。
 彼女らが途方に暮れていると、後ろから声をかけられた。
「手伝おうか?」
「え……?」
振り返ると、隆介と雅史がいた。
「室橋さんから話は聞いたよ」
「俺も矢波から聞いた。協力しよう」
「ありがとうございます」
二人はBAKUが再び一つになろうとしているのを感じた。
 湧奈は、阿佐美から連絡を受けた。
『会社の資料によると、十年前の四月六日の朝にBAKUる。で、その日の夜に夢を届けに行った。この時には異常なし。次の朝、その家から、依頼者が目を覚まさないとの連絡を受けた。そしてそのすぐ後に死亡が確認された……。事件に関してはこれだけ。だけど、一つ分かったのは、BAKUの作った夢に問題はなかったってこと』
「ってことはやっぱりこの事件にはまだ……」
『何かあるみたいだね』

 次の日、湧奈たち三人は警察署に向かった。
「こんにちは」
「あ、どうも」
ちょうど悟が署から出てきたところだった。
「あれ、悟?」
修斗の声に、悟も目を見開いた。
「修斗か?」
 四人は悟について、署の一室に入った。
「悟とは、同じ大学だったんだ」
修斗が話した。
「え?……ってことは」
「ああ、」
悟は口調を変えた。
「伸羅とは、よくあちこちに遊びに行ったりしてた。……でも、まさかこんなことになるとは思わなかったよ……」
誰も何も言えず、沈黙がその部屋を覆った。