と言った。ちょっと虚栄心をくすぐられるような言い方だ。でも、父に降伏するのとどう違うのだろう。
「条件は部下の命を助けていただくこと」
彼は続けた。
「降伏するなら、誰も殺したりしません」
メレッサは答えた。これが『私に』と条件を付けた理由なのか? 父は降伏した相手の指導層を処刑する。私は絶対にそんなことはしたくない。私に降伏したのなら絶対に処刑はさせない。
「私に降伏するのなら、命は保証します」
メレッサは自分の決意を言った。
ミラルス王は穏やかに笑う。
「わかりました。あなたに降伏します」
彼は高貴な人を見るような眼差しでメレッサを見ている、降伏を受け入れるのは素晴らしく気分のいいものだ。メレッサは思わず笑みがこぼれた。
「では、戦闘を停止して下さい」
威厳を持って言おうとしたが、うれしくて威厳なんてどこかに吹っ飛んでしまった。
電話は切れた。
すぐに攻撃を止めなければならない。
「敵は降伏しました。戦闘を停止して下さい」
メレッサは全軍に命令した。
笑っては威厳がなくなると思って必死で笑顔を我。どこか、父の気持ちがわかるような気がした。
「姫君、おめでとうございます」
セラブ提督が声をかけてくれた、太ったお腹を突き出して満面に笑みを浮かべている。
「ありがとう」
メレッサもうれしかった。ミラルス王をこの手で降伏させたのだ。
「姫君、おめでとうございます」
ブリッジのあちこちから声が上がった。メレッサはそれに手を上げて答えた。
メレッサは降伏の処理は別の船に任せて、父の船に向かった。
父は無事だろうか、万が一の事が頭をよぎる。絶対に死んで欲しくなかった。
父の船に着いた。ひどい壊れ方をしていて、炎を吹き出している所もある。こんな小さな船に乗っているからだ。
中に入ると、煙にむせた、焦げる匂いが鼻をつく。
若い将校が彼女を待っていた。
「こちらです」