和田アキ子、又吉の小説“難癖”発言に批判殺到「何様?」「テレビに映ると不愉快」
又吉の火花は読んでいないし、これから先も読むことはないと思うので、本自体の批評しない。私が本を買うのは、好きな作家か、あらすじを呼んで興味を持ったか、調べたいものがあるから、といったところだ。
火花はあらすじ以前に芸人の物語というだけで、疎遠する。
芸人は好きだし、バラエティー番組も、最近は減ったが見ている。芸人のプライベートは特に面白い。芸人を主人公にした物語で、本物の芸人を越える面白さがあるとは思えない。だから読まない。
問題なのは、又吉フィーバーであり、又吉を取り巻く空気の気持ち悪さである。
和田アキ子が、火花を純文学ではないといった。それについて、読んでいないので私には分からないが、その記事に対するコメントが以下である。
【和田アキ子の歌に何も感じない人の方が多いですよ。】
【しょっぱい野郎。
何も感じなかった事をわざわざ言うなって感じ。
あんたのアルバム聴いたけど何も感じなかった
なんて言われたらどう思う?ってことだ。】
彼らは、気の効いた皮肉を返せたと自賛しているのかもしれないが、とても恥ずかしいコメントであり、鼻で笑われても仕方のないレベルだ。
それはこの記事のなかで、和田アキ子に、ネガティブなことを言うな、と見当違いな批判をしている業界関係者とも通じる。
それが純文学ではないといわれたのなら、いえいえ、ここがこうなっているから、純文学ですよ、と返すのが反論である。
「何様?」だの「テレビに映ると不愉快」だのが、反論だとでもいうのか?
一方では、皮肉を返し、一方では、水をさすなと話をすりかえる。それはつまるところ、和田アキ子の言う「純文学ではない」という批評に反論できないからだ。的を射ているのだ。彼らは一生懸命皮肉を搾り出しながら、結局のところ、和田の正当性を補強しているだけでしかない。なんともまぬけな話である。
反論ができないのなら、黙ればいいのに、皮肉を返す。ネガティブなことを言うな、などという。
これが、気持ちの悪い空気を生んでいる。
又吉に対する、ちょっとした批判、非難を一切許さぬ空気。又吉が何か言われたら、よってたかって袋叩きにしてやる。それは反論ではないため、中身は空っぽだ。
彼らはなぜ、そんなにも一生懸命になって、そんな空気を作り上げているのか?
コメントを一つ一つ吟味するに、彼らは普段、本を読んでいないのだと思う。あまりにも中身がないからだ。
又吉の火花は、たぶん、面白いのだろう。純文学かどうかは関係なく。普段、本を読んでいない人が、読んでみて面白いと思った。しかもそれが芥川賞をとった。すごいと思った。感動があった。
そこに、異論が挟まれた。
感動が台無しにされたと思ったのではないだろうか。
彼らは又吉が好きではないのだ。自分が好きなのだ。自分を肯定したいのだ。普段本を読まないが、この本を手に入れたことでなんだか勝ち誇ることができた。
ここまで感動させてくれた又吉を攻撃するなんて、ひどい。
そう思って反撃するが、それは結局のところ、又吉を擁護しているのではなく、擁護をしている自分はなんていいことをしているんだう、と、自分自身にひたっているだけなのだ。
いわゆるメサイア・コンプレックスだろう。
ちなみに、私は又吉を芸人として面白いと思ったことは一度もない。ピースの漫才も、コントも、又吉が作っていると思うが、つまらない。はっきり言って、綾部のほうが面白い。綾部は性的に問題のある男だが……。
【長い出版不況の今、純文学で100万部を売れる作家は皆無です。(中略)又吉の芥川賞受賞は業界全体にとっても希望の光です。盛り上がっているところに、個人的な、しかもネガティブな感想を生放送で言う必要があったのか、疑問です】
百万部売れた作品だから批判するなという。
笑わせる。
それでは、水嶋なんたらのかげろうだかかげりゅうだかの本も、批判できなくなる。
ヒットは希望の光とか言うが、定期的に本屋大賞などで爆発的ヒットする作品が出ていながら、年々、本は売れなくなっている。ヒット作品をブームで買った人の多くが、次のヒット作品が出るまで本を買わないからだろう。この人たちは本が読みたいのではなく、流行に乗っかりたいだけだと思う。ヒットした作品を持っていることが、ステータスだと勘違いしているのだ。
今回の又吉の本もそうだろう。本を読んでいないので、断定するのは避けるべきかもしれないが、作られたブームがあるのは否めない。そして、普段は本を読まない人が、ブームに乗っかる。そんな彼らに希望を見出し、依存するような受賞や仕組みをつくったって、年に一冊か二冊、爆発的にヒットする作品は出てくるが、ほかの本はほとんど死に絶えるだけではないのか。こんなふざけたことが繰り返されることで、中間層がどんどん離れていく。ここでも二極化が進み、爆発的にヒットする本と、死屍累々の大多数の本に分かれる。本当に本が好きな人を無視し、話題性を優先することは、出版業界が自ら首を締め付けるだけだ。
それとも、これは出版業界の戦略なのか?
不況にあえぐ出版業界は、その対抗策を講じることができないため、とりあえず、その場しのぎとはいえ、爆発的ヒット作品を生み出すプロデュース業に打って出た、ということなのだろうか。
どちらにしても、このままでは未来はないだけだろう。
普段本を読まずに、ブームにつられて手に取った又吉の本が面白いと思い、これに異論があるとヒステリックに反撃している人たちへ。
そんな暇があったら、新しい本を手に取ることをお勧めする。
書店にある本というのは、たいていが、面白くできているのだから。もちろん、はずれもある。