「ふふ。確かにそうね。あの吸血鬼の力も気になるしね」
あの事件から3日が経った今でもテレビなどで大きく取り上げられている。どうやら犯人に繋がる手がかりが一切なく捜査は難航しているようだ。まぁ、犯人はぼくが退治したんだけどね。
ピーンポーン
ん?誰だろう。こんなお昼に。いやお昼だからこそか。そう思いながらぼくは玄関に向かい扉を開ける。
「はーい。少しお待ちをー」
そこにいたのは宅配業者や友達などではなく(まず友達はいないんだけどね)金髪のぼくより年上そうな女性が立っていた。
「あの、えっと誰でしょうか?」
「君の名前はなにかな?」
「ですから、あなたこそ何方ですか」
「ん?あ!私?」
なぜいま振り返ったのだろうか。この場にはこの見知らぬ女性しかいないのに。
「あなた以外にこの場に誰がいるんですか...」
「だ、だよね~(苦笑)私は桂木 アイラ。それで君の名前は?吸血鬼遣いくん♪」
それを聞いた途端ぼくはすぐさま玄関を閉めようとした。だが、玄関は動かなかったのだ。この桂木さんは、触っていないのに。
ぼくは一瞬で悟ってしまった。この人と関わってはダメだこの人も吸血鬼と契約をしたんだと。しかし、その吸血鬼の姿が見当たらないのはなぜだろうか。それがわからなかった。
「ねぇ、名前、なんていうの?」
「し、東雲 亮です。もう帰ってください」
ぼくは声を震わせながらそう言うと桂木さんは
「そう、アキラくんね。ありがとう。それじゃバイバ~イ」
と言いぼくの家の前から去っていった。それと同時に、さっきまで動かなかった玄関が動くようになったのだ。ぼくは玄関を閉め自分の部屋に戻る。
「誰だったんだー?」
「知らない女性だった」
「おいおいなんで知らない女性がお前の家を知ってるんだよ」
「わかんないよ。だけどその人が吸血鬼と契約しているということだけはわかった」
「なに?それは本当か?」
「うん。だってぼくが吸血鬼遣いだってわかったんだ。もしくは知っていた。だけど吸血鬼は見当たらなかった」
「それはおかしいぜ?」
「え?なんで」
「だって吸血鬼と契約を結んだら一心同体みたいなもんになるって言っただろ?だから行動も一緒にしなければいけないんだよ。お前の勘違いじゃないのか?」
とルカは笑いながら言ってくる。
「そっか。きっとそうだね」
ぼくもそれに対して笑って返した。
かなり話が変わるが暁はどうしているのだろうか。捜査が難航っていうことはまだ捕まってないと思うんだけどね。
--------時を同じくして
「ねぇ、マリノスー。あの子どうだった?」
「そうねぇ...。大した力は持ってなさそうなんだけどねぇ。吸血鬼を見ることできなかったし、なんとも言えないわ」
「そっかぁ。まぁやりあうことになっても私たちが勝つよね!」
「えぇ。もちろん」
それにしても今日は平和だなぁ。平和なのが当たり前なんだけどね、あの事件の後だと、とっても新鮮なんだよ。ルカは寝ているしぼくも今日は寝てすごそうかな。
ピーンポーン
はぁ...。また誰か来た...。さっきの桂木さんかな?だとしたらなんのために...。
と考えながら玄関を開ける。
しかしそこに居たのは桂木さんではなく、暁だった。
「や、やあ」
「なんで君がここにいるんだい?それよりなんでぼくの家を知っている」
ぼくの頭には今、「なんで」しかない。
なんでこいつがここにいる。なんでぼくの家を知っている。なんであんなにぎこちないのだ。なんでボロボロなんだ。
「あ、え、えっとついていったらアキラがこの家に入って行ってたから」
まさかのストーキングであった。
「はぁ...。なんで喋り方はぎこちないし服はボロボロなんだよ。自分の家は?」
「家は、ない...。孤児院で育ったから。だけどそこもこの間飛び出して来てしまったし」
なるほど。そういうことだったのか。これは悪いことを聞いてしまった。
「じゃあ、家に入りなよ。ルカもいるけど。服とかは貸すから」
「ありがと」
そう言うと暁を家に招き入れた。