葛城の迷宮 -56ページ目

『愛のむきだし』

監督:園子温
出演:西島隆弘(AAA)
    満島ひかり
    渡部篤郎
    渡辺真起子
    安藤サクラ


敬虔なクリスチャンの両親のもとに生まれた本田ユウは、幸せに暮らしていたある日、母親からこう告げられる。

「お母さんはもうすぐ旅に出ます。
 ユウは大きくなったら自分だけのマリア様を見つけて、お母さんに紹介してね・・・」


まもなく母親は病気により他界してしまう。


高校生に成長したユウ(西島隆弘)は、信徒から神父へとなるために勉強に励んでいた父親テツ(渡部篤郎)と、二人きりで質素ながら幸せに暮らしていた。

念願の神父となって教会で暮らすようになり、その明るい説教が人気を博していくテツ。
ある日、テツの前に自由奔放で妖艶なカオリ(渡辺真起子)が現れる。
愛を求めるカオリに溺れていくテツは、家を借りてユウと三人で暮らすようになる。
しかしカオリは、神父として結婚を許されないテツのもとを、たった3カ月去っていく。
愛人のカオリを失ったテツは人が変わり、神父として、ユウに毎日“懺悔”を強要するようになる。

父との繋がりを失いたくないユウは、様々な罪を創作しては懺悔していた。
やがて本当の罪を犯すために、不良少年タカヒロ、ユウジ、先輩の三人と仲良くなる。
四人は神に対する一番の罪は何かと話しているうちに、
“盗撮”じゃね!?」という結論に達する。
日々鍛練を行い、やがて盗撮テクニックを極めて“盗撮王子”の異名を持つに至ったユウ。
しかも、どんな罪に対しても「赦す」と発していた父の口から、「ヘンタイ!!」と罵られる。
それを父の愛だと感じたユウは、仲間たちと共にどんどん盗撮に没頭していく。

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ある夜、真っ白のコスチュームで歩いていた三人組のミニスカートの中を撮影したユウは、盗撮がバレて警察に突き出されそうになる。
三人組のリーダー格であるコイケ(安藤サクラ)に、盗撮について問いただされ、“原罪”(アダムとイヴが最初に犯した罪)だと答えたユウは、間もなく解放される。
コイケの正体は、狂信的な信者を増やして世間を騒がせていた、新興宗教団体“ゼロ教会”の支部長だった。


仲間たちとの1ヶ月に一度の盗撮コンテストに向かっていた時、

「ユウ君、久しぶり!!元気にしてた!?」

と、声をかけられる。
なんと、この街にカオリが帰ってきたのだ。
悪い予感がしたユウは盗撮仲間とのゲームに負け、罰ゲームとして女装しナンパした女性にキスをすることになる。

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街を歩いていると、突然目の前に複数のチンピラに絡まれているセーラー服姿の少女ヨーコ(満島ひかり)を目にする。
チンピラたちは、コイケの計画によってヨーコを痛めつけるように指示されていた。
父親からの虐待によって、カート・コバーン以外の男性を憎んでいたヨーコは、チンピラたちを次々と倒していく。
女装したユウも助っ人として、ケンカに参加する。
チンピラたちを倒したヨーコは、助けてくれたユウにお礼を言って名前を尋ねる。

・・・その時、一陣の風が吹き、ヨーコのスカートを舞い上げる。

ユウは目の前のパンチラを目撃したその瞬間、ヨーコが自分の探し続けていた“マリア”だと確信し、恋に落ちる。

「私の名前は“サソリ”よ。」

とっさにそう答えてしまうユウ。
ヨーコも、女装したユウである謎の女“サソリ”に恋をしてしまう。
そしてユウの通う高校に転校してくるヨーコ。
全てはコイケの計画通りだった。


ヨーコと出会って数日後、父はカオリは再度一緒に暮らすと言い出す。
そして、サオリは前の男の子供を連れていた。
なんとその子供とはヨーコだったのだ。
ヨーコは“サソリ”に恋していたが、ユウのことは毛嫌いする。
女装をすれば愛され、兄としては嫌われるユウは混乱し、盗撮を続けていく。


その隙を付け込まれ、ゼロ教会のコイケがユウの家に入り込み、家族を崩壊させる。
マインドコントロールにより熱烈な信徒となってしまった、
自分だけの“マリア”ヨーコ。
ゼロ教会から彼女を救い出すため、
盗撮王子ユウは戦いに勃ち上がることを決意する・・・



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いつもよりあらすじが長くなってしまった・・・
当然である。
だって237分もあるんだもん。
『ベン・ハー』より長いわ!!

それに最後の言葉、はづかしい変換間違いなんじゃね?
と思うひと、実はコレがこの作品のテーマだったりするのである。
この映画の中の『愛』を感じたときに起こる現象なのだ。

イヤ、もうホントにこの作品、紹介しようかどうしようか、めっちゃ考えた。
このブログを読んでくれているひと達が、アクセル全開で引いていっちまったらどうしよう。
でも面白いから書きたいし・・・
あぁ゛ーーーっ、書いちゃおう!!

世の中の悪趣味を全部掻き集めて、オリバー激辛こてこてどろソースで味付けしたら、
こんな作品になりましたってカンジ。
それでも園子温監督作品としては、昔の『自殺サークル』なんかと較べたら、はるかに観やすくなった。
だからと言って、万人ウケは絶対にしない!!
血飛沫は飛び散る、スカートの中は覗きまくる、〇〇〇はヘシ折られて切断される。
しかも”サソリ”って・・・高校生が梶芽衣子を知ってるワケねえじゃん!!
コレが売れるような世の中だったら、もう日本は無法状態だよ、きっと。

アクションのキレもいいし、見栄の切り方もなかなか決まってる。
ただし戦隊アクションっぽいので、何となく懐かしさも込み上げる。
脚本だって何でもアリ、なぜなら時間を気にしないでいいんだから。
ヤリたかったことは何でも入れ放題!
その割にダレることなく、最後まで全速力で突き進む。

主人公ユウを演じる西島隆弘は、スーパーパフォーマンスグループ ”AAA”のメインヴォーカルらしい。
この役を演じることに躊躇いはなかったのか?後悔はしてないのか?
イトー〇ーカドーのテレビCMで見かけても、
「わわわ、この人むきだしにしてた人でわないのか!?」
としか思えねーよ、もう。
しかし盗撮テクニックは感嘆に値する、マネしないけど。

そしてヒロイン、ヨーコを演じる満島ひかり。
彼女の演技の原点がココにある。
過去にこの役を演じていたから、今どんな役のオファーが来ても全て余裕でこなせる。
ちょっとハニかんだ笑顔でチラチラ見せられたら、
「オレ、マジで好きかも・・・」
なんて思ってしまうよ!!

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そしてそして、満島ひかりを超える怪演で魅せるのが、コイケを演じる安藤サクラ。
両親である奥田瑛二と安藤和津それぞれの、
残念な部分の遺伝スイッチが入ってしまったようなルックス。
なのに、コイケというキャラクターがとっても魅力的なので、彼女の顔も見ているうちにだんだん可愛く感じて来る。
(そう感じるのは、ぼくだけらしい。友人には、絶対ありえねー!!って言われた)
それにしても、彼女と満島ひかりの共演がとても多い。
・愛のむきだし
・クヒオ大佐
・おひさま
・それでも、生きてゆく
もはやコンビか、と思うくらい出演作品がカブってる。

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渡部篤郎の聞き取りにくいセリフも健在、渡辺真起子の珍妙な美人っぽい雰囲気も面白い。
いっちゃんスゴいのは、板尾創路演じるコイケの父親のインパクト。
男なら誰もが目を背けてしまう、アノ場面。
やっちゃダメでしょ、ソレ。
マジ勘弁して下さい!!

昔、『七人の侍』を撮影した黒沢明監督が、
「洋食をお腹いっぱい食べたような満足感のある映画を撮りたかった」
という逸話を聞いたことがある。
この作品は、ゲテモノ料理のフルコースだけれど、お腹がハレツ寸前までどんどん食べさせられる。
(まぁ、デザートは始まって1時間後ぐらいに出てくるんだけどね)

タランティーノやロバート・ロドリゲスが好きなら相性バツグン!!
エドガー・ライトやピーター・ジャクソン好きにもオススメ!
三池崇史監督作品もイケるという方なら、ぜひ見てほしい!!

映画賞を総ナメとか、予告にもあった純愛の物語というフレーズを間に受けて見ちゃうと、地雷が爆発してしまう
トンデモ映画の頂点だ!!




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