葛城の迷宮 -55ページ目

『インセプション』

監督:クリストファー・ノーラン
出演:レオナルド・ディカプリオ
    渡辺謙
    ジョゼフ・ゴードン=レヴィット
    マリオン・コティヤール
    エレン・ペイジ
    トム・ハーディ
    トム・ベレンジャー
    マイケル・ケイン

”この世界は現実なのか・・・!?”

絶壁のある海岸で波に打たれて目を覚ますドミニク・コブ(レオナルド・ディカプリオ)。
やがて私兵がやってきて東洋風の大きな屋敷に連れて行かれる。
そこには、サイトー(渡辺謙)という男が待っていた。
コボル社からの依頼で、サイトーのアイデアを盗み出すために、コブはこの屋敷に侵入したのだ。
金庫の中のアイデアを盗みとるコブ。
しかし、目の前では相棒のアーサー(ジョゼフ・ゴードン=レヴィット)に拳銃が突き付けられていた。
元妻のモル(マリオン・コティヤール)が、コブの計画をサイトーに伝えていたのだ。
突然崩れ始める屋敷の中で、絶体絶命の状況に追い詰められた瞬間、別の世界で椅子に座らせられていたコブがバスタブに突き落とされる。

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突然、中近東の古びたアパートで夢から目を覚ます。
この世界では、街は爆弾テロの真っ最中。
次第に爆発はアパートの方に近付いてくる。
サイトーには計画の全てが見破られており、作戦の失敗を悟るアーサー。
やがて新幹線の中で目を覚ます彼ら。
夢は二層になっており、コブたちは夢の中の夢で作戦を実行していたのだ。

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他人の夢の中に潜入してカタチになる前のアイデアを盗み出す“エクストラクト(抜き出し)”。
産業スパイたちがこの新しい犯罪分野で活躍する時代、コブは世界屈指の才能を持つ男だった。
サイトーはある計画の依頼をするため、潜入してきたコブの実力を逆に試していたのだ。
その依頼とは、ターゲットのアイデアを盗む“エクストラクト”ではなく、アイデアを潜在意識に“インセプション(植え付け)”してほしい、とのことだった。


その危険すぎる任務に反対するアーサー。
しかし、依頼の報酬はコブにとって喉から手が出るほど欲しいものだった。
コブは妻であったモルを殺害した容疑者として国際指名手配をされており、そのため家に残した子供たちと会うことができずに逃亡生活を送っていた。
この依頼に成功すれば、サイトーは指名手配を取り消しアメリカの家に帰すことを、報酬のひとつとして提示したのだ。

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この難解な依頼を成功させるため、コブはスペシャリスト達を集めてチームを結成する。
チームのリーダーであるコブと相棒のアーサー。
大学教授で義父のマイケル教授(マイケル・ケイン)から紹介された、学生のアリアドネ(エレン・ペイジ)。
彼女は計画を実行するために夢の世界を構築する、“設計士”としてチームに参加する。
夢の中で他人になりすまし、潜在意識を誘導することのできる“偽造士”イームス(トム・ハーディ)。
様々な鎮静剤を使用して、夢の世界を安定させる“調合士”ユスフ(ディリープ・ラオ)。
そして計画の成功をその目で確認するために同行するサイトーを加えた、6人で実行することに決まった。


ターゲットはサイトーのライバル企業で、フィッシャーグループの次期経営者ロバート・フィッシャー(キリアン・マーフィー)。
計画内容は、彼が相続するグループ企業を分割するというアイデアを、潜在意識の奥底に植え付けるということだった。
しかし、ロバートは潜在意識にスパイが侵入してきた場合、それに対応して意識を武装化できる訓練を施されていたのだ。
しかも、コブは死んだはずのモルに潜在意識の中で取り憑かれており、常に罪悪感に苛まれていた。

緻密に設計されたはずの計画が予想外の展開に変わり、作戦は次々と崩壊し始める・・・

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今更ながらの『インセプション』です。
今回、劇場に続いて二回目の鑑賞ということで、やっと感想を書こうかな・・・と思ったけど、もうすでにややこし~!!

レオナルド・ディカプリオ、渡辺謙共演、クリストファー・ノーラン監督、破格の製作費を懸けたSF超大作として、年に一回の映画館へ期待して観に行った人たちの感想は、

「ワケ、わからん!!」

そりゃ、そうだろう。
映画を観慣れている人たちの大半も、一回観ただけでは映画の隅々まで把握できる人は少ないんじゃないだろうか。
(かくいう僕も、冒頭からマリオン・コティヤールが出ていることに全く気付かなかった)

10年前ならこんなテーマは、テリー・ギリアムがそこそこの予算で監督して、ジョニー・デップあたりが主役で、作家性が前面に出たちょっと悪趣味な近未来作品として、マニア向けにひっそり公開していただろう。

さすが『ダークナイト』を大ヒットさせたクリストファー・ノーラン監督である。
スポンサーに話をする際、どうやってこの内容を説明して説得したのかわからないけど、見事に作家性と商業性を兼ね備えた、誰もが唸る作品に仕上がっている。
見たことのない映像、とてつもなく分かりにくいであろう脚本を、最低限理解できるまで分かりやすく演出したその手腕、非の打ちどころがないキャスティング、どこを見てもスゴイ仕事をしている。
もっとも、彼の仕掛けた細工にまだまだ気付いていないんだろうけど・・・
(なので、1回目より2回目以降に観た方が面白く感じる、稀有な作品だと思う)

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主人公のコブ役のレオナルド・ディカプリオは、あの無邪気だった少年時代から、最近では
おデコのシワまでが説得力を持った素晴らしい俳優になってくれた。
出演する映画全てをクオリティの高い作品に仕上げる演技力を身に付けて、毎回次の作品を期待させてくれる。

渡辺謙は、『バットマン・ビギンズ』の誰でもいいような役柄から、今回作品のキーとなる堂々たる存在だ。
ミステリアスでユーモアも併せ持ったサイトーというキャラクターを好演している。
(中盤、チョット存在感が薄くなるけど・・・)

相棒アーサー役を演じた、ジョゼフ・ゴードン=レヴィット。
『(500)日のサマー』では、なで肩のカーディガン男子だったのに、今回は無重力でのアクションまでこなす。
でも、スーツ姿にオールバックは、残念ながら”アリtoキリギリス”の石井正則にしか見えない。

マリオン・コティヤール、エレン・ペイジ、トム・ハーディ、マイケル・ケイン、キリアン・マーフィ、これだけの名優を余すことなく贅沢に使いきるバランス感覚が冴えわたっている。
しかし、エンドクレジットを見て一番ビックリしたのが、トム・ベレンジャー。
アンタ、『メジャーリーグ』以降にどんなことがあったんだ!?
ほぼ別人じゃねーか!!
ってくらい、映画中は全く気付かなかった。

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作戦中、”キック”と呼ばれる目覚ましの仕掛けで流れる曲は、エディット・ピアフの
”NON,JE NE REGRETTE RIEN (水に流して)”
モル役のマリオン・コティヤールが、エディット・ピアフ役の伝記映画でアカデミー主演女優賞を受賞する前から作中で使用することを決めていたらしいが、ノーラン監督のこと、実は計算されていたんじゃなかろうか。
彼なら、他にも仕掛けがあったりするのかも知れない。
イヤ、絶対そうだ、そうに決まっている!!
やっぱり、あなどれねー!!


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