ようやく事態を理解し始めた。

200万/1ml
という数値の恐ろしさを…。

ブログを検索した。

同じ悩みを抱えている先輩方がいるかもしれない。

やはり沢山いた。

1500万
1200万

1000万は越えている方ばかり。

何年も授からないらしい。


あ、800万。1000万未満だ…

でも夫の4倍…。

一番夫に近い数値で、400万の方…

医師からは、いきなり顕微授精を勧められたそうだ。


200万て…
そんなに少ないの…?



脈が上がる。


いや…諦めるのはまだ早い。

一回の検査ではまだまだ分からないらしいのだ。

その時々の体調などでも随分と変動するらしく、1ヶ月後また検査に来るように言われた。

漢方の効果も確かめないと…とのこと。

また1ヶ月延びるのか…

しかし、これは長期線になりそうだ。

1ヶ月が何だ。


前向きな気持ちと、
正直、絶望的な気持ちで、
私の頭はごちゃごちゃになっていた。


夫には何て言おう。

凹ませたくないと思った。

夫には付き合い始め以来、何でも話してきた。

心掛けているわけではない。

話してしまうのだ。

そんな相手初めてで、だから誰より大切な存在だと思った。

なのに…

言えない…

1ヶ月後、再検査の結果を見てからでも遅くない。

そう思った。


また、今までは毎月毎月極端に落ち込んでいた。

あからさまに妬む発言だってしてきた。

でも…

言わなくなった。
言えなくなった。
30分後、待合室に戻り、程なくして私達は呼ばれた。

このごに及んで、まだ期待していた。

安心するために病院に来たのだと。



結果は…200万/1ml。


???

この数値が何を意味するのか分からなかった

「良かった…。200万“も”あるんじゃないか。」

と思った。



しかし、先生から聞いた言葉は意外なものだった。

「桁がね…」

???

「せめて、あとゼロが一つは欲しいところなんだけどね…」



“乏精子症”


あまりに無知だった。


確かに…
オタマジャクシは何億もいると聞いたことがある。

しかし、バケツに200万匹もオタマジャクシがいたらウヨウヨしすぎで、気持ち悪いわけで…。

私の平和ボケした脳の中では、

「何億」も「何百万」も
「いっぱい」というカテゴリーに分類されたのだ。

今思うと、この思考は、
傷つきたくないための自己防衛だったのかもしれない。


診察が終わり、会計を済ませ、処方された漢方をもらいに薬局へ向かう。


薄々ヤバイ数値と気付きながらも、
まずは夫に「200万“も”いたね♪」と話した。

夫は夫で「ゼロじゃなくて良かった」と言った。

二人とも、お気楽な所があるのは似た者同士。


家に帰っても、夫が男性不妊なんだという実感などなく、ごくごく普通に過ごした。

夫は一人の時間が好き。

まとわりつきたい気持ちをグッと押さえて、

夫の世界には踏み込まないようにする。

夫が一人で何やら趣味に没頭し始めたので、
私は男性不妊について、ネットで調べてみることにした。

「6000万未満を乏精子症
とされている」

あれ?確か医師は「4000万がどうのこうの…」と言ってたけど…

2000万未満を…と書いているものもある。

定義は曖昧なのか?


ある不妊専門の病院のHPには
「まずはタイミング療法で自然妊娠を目指す…その後人工授精…(略)…

精子濃度が1000万以下の乏精子症の方には、まず人工授精…そして体外受精…顕微授精…」

なるほど…

6000万
4000万
2000万
1000万

定義は諸説あるようだが


先生も「桁が…」と言っていた通り、最低1000万は必要ということか…


え…???
ちょっと待って…??

「1000万以下の方は…“まず”人工授精…」?


自然妊娠は望めないの!?


すっと血の気が引くのを感じた。
呼ばれるまで適当に時間を潰す。

案外早く呼ばれ、二人で診察室に入った。

おたふく風邪で、高熱から睾丸炎になった過去を話すと、淡々と何やら説明がなされる。

採取して調べてみるとのこと。


分かっていた。

男にとって非常に屈辱的な検査であると有名だ。

夫一人、部屋に誘導され、私は待合室で待つことになった。

砂を噛むような気持ちで祈るように待っていた。

祈るくらいしか私には出来ない。


…夫が帰って来た。

採取後30分程で結果は分かるそうだ。

30分外に出て、気を紛らわせた。