私はバス停へ一人で歩いた。
ふいに見上げた空。
青空にぽっかりと浮かぶ、一つの灰色の雲。
「変なの…。」
私の視界は地上に戻る。
その時…!
ガシャァァァァンッ!
私から50mぐらい離れた場所で起きた事故。
トラックが歩道に突っ込み、電柱が倒れかけていた。
興味本位か心配してか、周りには人が次々と集まってきた。
私も行こうかと思ったけど…
巻き込まれたくないし、とりあえず家へ向かう。
救急車が3台程、サイレンを鳴らしながら街を駆け抜けた。
「ただいまー…。」
あれ?誰も…いないの?
テレビをつけると、地元のニュース番組でさっきの事故が報道されていた。
『今回の事故で一人が死亡二人が重症を…』
“死亡”?
『亡くなられたのは、歩道を歩いていたと見られる唐沢…』プチッ。
「ただいま。」
あ、お母さん…。
でも今、唐沢って…言ったよね?
少なくとも私の周りに『唐沢』は、うちの家しかいない。
私は今後ろにいるお母さんと、お母さんによって切られてしまったテレビを交互に見た。
「おかあ…さん…?どこにいたの…?」
お母さんは確か今日はパートの仕事は休みだったはず。
私の思考回路はショート寸前だった。
「…お母さんの友達の家よ?」
何かあったの?というように答えるお母さん。
でも、こんなに悲しそうに微笑むお母さんはあまり見たことがない。
だって、基本的にお母さんはいつも笑っていたもん。
しかも、とびっきりの笑顔。
お母さんのその笑顔で、幼いころから私は安心できた。
でも今日のお母さんはいつもと違う。
気のせい?…ううん。違う。
何かあったんだよね。お母さん…。
翌日、私は学校で剣悟に相談してみることにした。
「剣悟。」 「ん?おぉ、しお。どうかした?」
優しい瞳(め)。思わずキュンとする私。
…じゃなくて、今日は相談したいんだった。
「あのさ、つい昨日まで超笑顔だった人が、ある日突然すっごく悲しそう
に笑った時ってやっぱり何かあったのかなぁ?」
「…それって誰のこと?」 「え…?」
剣悟が突然真剣な顔になって…私の心がざわつきだす。
「…私のお母さん。なんで…?」
剣悟は驚くような、信じられないような…そんな顔をした。
「…しお。昨日のニュース、見なかった?しおの母さん、『唐沢美香さん』…でしょ?」
「…そうだよ?」
やだ…。
まだ知りたくない…!
でも、知らないと進めない…。
「…落ち着いて聞いて。しおのお母さんは…昨日の事故で…亡くなってる。」
うそ…。
今なんて言った?
事故?亡くなった?
…おかあ…さんが?
でも、そんなはずない!
だって…。
「私、昨日の夜お母さんに…会ったよ?」
目を見開く剣悟。
「ほんとに?でも…俺今日、しおの家行く。てか行っていい?」
こうして剣悟が私の家に来る事になった。
“お母さんは…死んでしまったの?”
そんな私の疑惑を確かめるために…。
To Be Continued.