「演技史」について。 | でびノート☆彡

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映画監督/演技講師 小林でび の「演技」に関するブログです。

絵を描く人って、かならず近代絵画史とかって学ぶじゃないですか。

 

美術学校とかで年代別に、印象派とか象徴主義とかキュビズムとかシュール・レアリズムとか。自分がどんなタイプの絵を描くとしても、美術史を一通り理解して、先人たちの試行錯誤の破壊と創造の歴史の土台の上に、現代の自分たちが取り組むべきことを積み上げてゆきますよね。

美術史、文学史、音楽史、みんなそうです。比較的歴史の浅いヒップホップ音楽とかですらオールドスクール、ニュースクール、ギャングスタ、サウスヒップホップとか進化の歴史が研究されていて、新しいアーティストは歴史をちゃんと学習してリスペクトしたうえで新しい音楽を創っているわけですから。

 

ところがなぜか・・・「映画の演技の歴史」ってのが無いんですよ。

 

「舞台演劇の歴史」は古代から20世紀くらいまではあるんです。あともちろん「映画史」はあるんです。ところがその映画に映っている俳優の演技が時代と共に変化し続けているその歴史について研究してる人もいなければ、書かれた本も見当たらないんです。すくなくとも日本には。

 

 

書店の映画・演劇コーナーに行くと「演技法」に関する本はたくさんあります。メソードとか、マイズナーテクニックとか、でもそれは個々の演技法に関する本で、それらすべてを俯瞰した「映画の演技の歴史」の本って1冊も出版されてないんですね。たぶん研究されてないんだと思います。

で、僕はその「映画の演技の歴史」ってヤツがどうしても知りたかったので、5年くらい前から趣味として独自に研究を始めたんです。

 

たとえば小津安二郎とか黒澤明とかマルクス兄弟の映画を観ると、俳優たちは我々が今やっている演技とはまったく違う方法で演じているじゃないですか。

それが第2次世界大戦が終わって、ヌーヴェルヴァーグとかアメリカンニューシネマの時代になるとまた演技が違ってきてますよね。メソード演技をする俳優が現われたりして。

で、1980年代にはいるとまたガラッと演技法が変わるんです。メソード演技が一掃されて、スタローンとかシュワルツェネッガーとかエディー・マーフィーがやったような新しい演技が大流行するんです。

で時代はバブルがはじけて1995年前後に、また演技がガラッと更新されます。ここから演技の流行が正反対の2つの演技法に分かれるんです。で、2010年代に入るとその2つがひとつの方法に合流します。・・・で今日に至ると。

 

あるんです「映画の演技の歴史」は。

 

 

「この演技ってどうやって演じてるんだろう?」ってのを気にして映画を観ていると、こういう「演技法の変化の歴史」の流れが見えてきたんです。そこまでわかったら、なんでそういう演技法の変化が生まれたのか知りたくなるじゃないですか! そしてもうひとつ・・・

 

最新の演技法ってどんな技術をつかって演じられてるのか知りたくなるじゃないですか!

 

『ダークナイト』や『バードマン(あるいは無知がもたらす予期せぬ奇跡)』や『リリーのすべて』や『ありがとう、トニ・エルドマン』『ブレードランナー2049』とかここ数年の映画で見られるようになった奇跡のような演技の数々の仕組みを!

 

で、夢中になってひとりでたくさんの映画を何度も観たり比較しながら観たりしながらただただひたすらノートにメモを取りまくって、「映画の演技法の歴史」について研究を続けてきたんです。この5年間ホント楽しかった(笑)

で、わかった内容を自分が講師をしている演技ワークショップにフィードバックして検証をしたりして、今ではどの時代のどの演技法がどんな方法で演じられているのかについて、かなり具体的な部分までわかってきました。

なのでそろそろ、その「映画の演技の歴史」と「最新の演技法の技術」について少しづつ書いてゆこうと思って、このブログを再開したんです。

ちょっと頑張って書いてみようかなかと思ってます。

 

 

そして今週木曜日、3月8日にENBUゼミナールさんで、まさにこの「演技法の変化の歴史」について3時間の演技ワークショップを、前半「演技史の講義」で後半「最新の2010年代式演技法を体験」という2部構成でやらせていただく予定です。

「映画の演技の歴史」を知ることの重要さをENBUゼミナールさんが面白がってくださって、それで今回のワークショップにつながりました。ありがたや。

まだ若干、定員まで約2名余裕があるみたいなので、ご興味のある方はお早めに。

http://enbuzemi.co.jp/workshop/2010s_filmacting

 

<演技法の変化の歴史を知ることで、今やるべき演技が見えてくる>です。