でびノート☆彡

でびノート☆彡

映画監督/演技講師 小林でび の「演技」に関するブログです。

 

最近テレビでやたらと芦田愛菜さんをいろんなCMを見ませんかw?

タウンワーク、ワイモバイル、伊右衛門、ECC、遊戯王ラッシュデュエル、スペーシア・・・で、どれも演技が凄いんですよね。

 

CMの演技ってじつはここ2~3年間くらいでガラッと変化してきるんですよ。「商品を良く見せる演技」もしくは「商品のイメージを演じる演技」から、「その商品があるライフスタイルを演じる演技」へ。

芦田さんはその最先端をスーパーカーみたいな高性能の身体と心で演じていて、そのスピードとリアリティに周囲のタレントさんたちがまったくついて行けてない感を感じますw。そんな芦田さんのCMでの演技を見てゆきましょう!

 

 

「CMの芦田愛菜すごいな!」とぶっ飛んだのがこのタウンワークのCM。とにかく演技の秒単位の情報量が凄い!

 

木村さんに「タウンワークって何?」って聞かれたあとの一瞬目線を落とす演技・・・あのちょっとした瞼の動きで人物の心の中で起きているすべてを表現してしまっている!CMでこんな演技を見れるなんて!

 

キムタクと言えば「相手をケアする演技」をさせたら右に出るものはいないくらいのコミュニケーション演技の達人的な俳優さんなわけですが、芦田さんも全く負けてないんですよね。その目線を落とす小さな小さな芝居で形勢を完全に逆転してますから。さっきまで芦田さんが木村さんに前のめりに話しかけていたのに、その芦田さんの目線の芝居以降、今度は木村さんが前のめりで芦田さんに話しかけてる・・・完全に芦田さんのペースに変わっちゃってますから。

 

この目線の演技ってようするに「あ、ヤバい話題ふっちゃった。めんどくさ」っていう芝居で、それってこのCMの木村さんにとって一番やって欲しくない演技なんですよねw。コレもっと大げさに演じる方法はいくらでもあるんですけど、この演技の小ささが木村さんにとって逆に「発見してしまった感」があって、一番心をかき乱されるんですよ。上手い(笑)

 

つまり芦田愛菜さんのあの小さな小さな瞼の芝居で、このCMの木村さんと芦田さんという2人の人物のこの職場でどういう力関係なのか?とかその人間関係の歴史、そして木村さんとはどういう人物なのか?芦田さんとはどういう人物なのか?という莫大な情報力がすべて表現されてしまっているんですよね。しかも面倒くさい職場で働く女性や男性にとっての「あるある」がつまってて、笑えるんですw。

 

この芝居としての情報量の圧倒的な多さ・・・この目線の芝居が無い15秒Bのつるんとした印象に対して、15秒Aと30秒は見ててよりザワッと来るんですよねw。視聴者が感じる人間関係の複雑さの情報量がぜんぜん多いんです、内容同じなのに。「うわー面倒くさい」って、だからこのCM見ててドキドキするんです(笑)。これぞ芝居の面白さ!ですよねー。

 

 

爆発する笑顔w・・・これだけ個性的な顔が並ぶ中で、どうして芦田さんの笑顔がこんなにも飛び出て見えるのか。心に焼き付くのか。

それは芦田さんが「笑顔に火がつく瞬間」をカット内で見せているからです。

 

他の演者さんたちもずっと笑顔なんですよ。ハッピーな世界観のCMなので。でも彼らの笑顔はずっと顔に貼りついているんです。要するに演技的には「よーいスタート」かかるまえに笑顔が準備されて、カット頭にはすでにマックスになっている。でも芦田さんの笑顔はカットの中で爆発するんです。

これよく昔は「よーいスタートかかる前に気持ち作って!」って言われたもんですが、それって今となってはちょっと古い演出なんですね。それじゃあ顔に貼りついた笑顔しか撮影できないから。モンタージュ全盛の90年代的な発想なんですよ。

 

芦田さんはカット頭では20%くらいの笑顔なんですよね。それがカメラが回り始めてからどんどん加速していって、ベストのタイミングでマックスになる。この間約0.5秒。まるでスーパーカーみたいな加速性能で感情がマックスまで上がり切るんです。

だから芦田さんのCMの演技ってどれを見ても笑顔が貼りついてないんです。つねに変化していて、ベストなタイミングで笑顔が爆発してる・・・だから強い印象が残るんです。

 

そしてどのCMを見ても、芦田さんって表情が常に変化し続けているんです。これっておそらく芦田さんが表情を極力作らないようにしているからで、そのカット内で自然に表情が生まれるように、カット内で心に火をつける対象を見つけ出している。相手の演技だとか表情だとかせりふだとか、このCMであれば音楽や歌詞もそうですよね。それに反応することでガーン!と一気に加速してるんだと思います。

 

いやホント、スーパーカーみたいな高性能の身体と心だと思います。

 

 

これも梅沢さんの表情の発生ポイントがカットの開始前なのに対して、芦田さんの表情の発生ポイントはカット内にあって、笑顔が加速する瞬間がカメラに撮られていますよね。

結果、梅沢さんの表情は顔に貼りつき(でもすばらしい表情です!)、芦田さんの表情はくるくると変化し続けてラストまで魅力を放ち続けています。その表情に魅力される梅沢富美雄という設定なので、すごく大切な演技ですよね。

 

芦田さんって「キメ顔」っていう発想ないんですよね。表情はつねに変化し続けて、そしてベストのタイミングでマックスの表情が爆発する。

コレ、動画で魅力的に写るためのポイントだと思います。

 

 

これは2年ほど前のCMですけど、好きなんですよね。

なんなんでしょ?このすごくわかりやすい、大げさなのに、でもギリギリ作り物っぽくない魅力的な表情w。

 

いや「リアルな演技!」ではないですよ、もちろんw。でも佐藤二朗さん一家の娘ならこんな感じもありうるなって感じのコミュニケーションじゃないですか。極端なことをしてるけどちゃんと地に足はついているっていう・・・このCMでの芦田さんと佐藤二朗さん、この演技には「親子としてのリアリティ」があるんですよねー。こんな家族の食卓楽しいなあと思わされてしまう。 ちなみにボクはそれでつい鍋キューブ買って食べちゃいましたからねー、まんまと(笑)。美味しかったですw。

 

あとこのCMの芦田さん、心の中で感じてることを表情に出す演技が素晴らしいですよね。これ、ここ数年の芦田さんの新しい得意技になっているように感じます。去年公開された映画『星の子』でも芦田さん演じる主人公の、口には出せない切ない本心が延々と表情で語られていましたから。全部伝わってくる。これもまた演技の情報量の多さなんですよねー。

 

 

さて、そんな感じで芦田愛菜さん出演のCMをいくつか紹介しました。いかがでしたか?リアルなものから超デフォルメ掛かりまくりのものまで、彼女のスーパーカー並みの高性能な身体と心から繰り出されるスーパーな演技、その凄さを感じていただけましたでしょうか?

 

CMって昔は主役は明らかに「商品」だったんですが、いま主役なのは「その商品があるライフスタイル」なんですね。ワイモバイルのバカボンのCMなんか商品であるはずのスマホすら出てこないですからね(笑)

かつてはその「商品」を手に持って美男美女が「イエ~イ」ってやってればよかったとこあるんですけど、今はその「イエ~イ」の解像度がグーン!と上がってしまって「ライフスタイル」までしっかり演じなければならないところまで来てしまった。なのでその人物個人としての役作りや、家族4人だったらその家族がちゃんと家族として暮らしている感じのリアリティが必要になってきてる感があるんですよね。だから親子のCMのオーディションでは数年前から本物の親子を募集するオーディションが増えてたりするわけで。

 

鍋キューブのCMでの芦田さんと佐藤二朗さんの親子、リアリティありましたよね。

そんな風にCMの芝居にもしっかりとした役作りが必要になった今、芦田さんや役所広司さんみたいに、しっかりした人物の役作りをベースに演じて、しかも1秒以内のショットの中でバーンとハジケられて、リアリティも出せて、観客を魅了できる俳優さんがひっぱりだこになるのは時代の必然って感じですよね。

芦田さんのCM、まだまだ新作が続くでしょう。いや~楽しみです。きっとまた商品買っちゃうなあ(笑)。

 

小林でび <でびノート☆彡>