SSS 「Dead Lock City」
交通量の多い大通りの車の騒音と排気ガス。
忙しなく無関心にすれ違う人々の喧騒と気配。
汚れた街に俺はいる。
高層ビルの立ち並ぶ殺風景な街並みを頭一つ分くらい高いビルの屋上から見下ろす。季節は秋だというのにここには紅葉などといったそんなものなんかありはしない。あるとすれば枯れ逝く木々とコンクリートの森だけだ。自然の風なんてものも感じない。あるのはビルの隙間風。優しくなでるなんてことの無いただの強風。
下を向いても上を向いてもあるのは灰色、鼠色。気持ちわるいたらありゃしねぇ。この街自体が見下ろされることを拒んでるかのように俺に向かって吹く風は今の俺にとってはちょうどいい。
あれを捨て、これを捨て仕分けに仕分けてすべて捨てた今の俺は自由に吹く風と同じ。向かい風が俺という風をさえぎるくらいしてくれないとつまらない。
この場に立っている意味などそもそも無いがこの風が俺の脚を止めている。
「見下ろされるのが嫌か?街―オマエ―は」
そう呟いて俺はビルの屋上の淵に座って足をだらんとぶら下げてビルで見えない地平線をたどるように街を見渡す。
コンクリートのビルはこの街を囲う獄壁のようだ。もしあれらが獄壁だとしたならば、この中にいる人間は懲役中の囚人といったところか。
決まった時間におき、決まった時間に働いて、決まった時間に寝る。規則正しい縛られた生活。
「なぁ街よ。時間は何のためにあると思う?」
誰も答えちゃくれないのは当たり前だが俺は再び問いかける。
「何のために人間は時間をつくったと思う?」
温かみの無い死んだ風が俺に向かってまた吹いてくる。それは俺をこの場から退けたいという意思のようだ。
「時間は人が自由な時間をつくるためにつくったもんだぜ?それなのになぜそれに縛られなきゃいけねぇんだ?」
「街―オマエ―の時間は死んでいるようだ。繰り返すだけの時間なんてただひっくり返り続けるだけの砂時計。終わったら元に戻しての繰り返し。始めは良くても少ししたら飽きちまうほど単純でつまらない世界だ」
毎日が同じ繰り返しなんてものはつまらない。そして意味の無いもの。実りのある繰り返しならいいが単に繰り返すだけなど無駄だ。
この街自体もう繰り返し、消耗していくことしかできない行き止まりにある。
繰り返すことが幸せなのならそれでもいい。幸せの中にあるのならそれでもいい。
「だけどなぁ、幸せの先は行き止まりしかねぇんだよ。だから、俺は不幸であったことを幸せに思うぜ。幸せのカタチは似たり寄ったりでいつかの終わりが見えてくる。だけどなぁ不幸のカタチは様々すぎるんだよ。俺みたいに何もかもを捨てたくなる世界を感じるやつもいれば、絶望してるやつだっている。そこから見出した幸せは行き止まりなんか見えねぇほどの小さな幸せから始まるんだ。先が見えないからこそこの世界は面白い」
「先の見えた繰り返す世界に俺は興味なんてわかないね」
小さく見れば多少の変化があったとしてもそこに気づかなければ無かったものと同じこと。大きく見ればそんな小さな変化なんて関係など無い。全体から見ればこの街は機械仕掛けのカラクリのように繰り返す時間の中で消耗していく存在でしかない。
ぽつりと空から水滴が俺の手に当たる。また一つまた一つと灰色の街のコンクリートを黒く湿らせていく。
「さて、そろそろ行くか」
俺は立ち上がり、嘆くかのように雨が降る街を見下ろす。
「さよならだ Dead Lock City ―行き止まりの街―、
幸せの先に行き着いた街よ」
募集企画作品 「夜空のキャンバス」あとがき
ということでテーマ募集企画第一回作品「夜空のキャンバス」
お楽しみいただけたでしょうか?
微妙だった?
まぁ俺自身やっぱり未熟なのでご愛嬌ということで(誤魔化しちゃいけないねw)
そんなわけでしてとりあえずこのままテーマ引き続き募集します!!
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SSS 「夜空のキャンバス」
昔々、とっても昔のこと。
たくさんの人が夜空に絵を描きました。
それは今でも伝わって僕らはその絵を見続けている。
やぎに子馬、ペガススに鶴。トカゲにくじら。寒空の中でまん丸お月様に並んで輝く点を結んで僕もその絵を探してみる。
夜空のキャンバスに描かれたその絵はどんな絵画よりも有名で、季節によって移り行く。
いつも僕たちの上にいて輝く星。
夜空のキャンバスに絵を描くための大切な画材。
でも、僕たちはその星たちについてどれほどのことを知っているのだろうか。
電気の消えた広い公園の広場の真ん中。
ちょっと露でしめった芝生の上に僕は寝そべってみる。
空には満点の星空。僕の秘密のキャンバス。点をなぞって線を引き、今日もまた絵を描いていく。
「星ってどうして光ってるんだろう」
そんな言葉が出てくる。理由は知っている。原理は知っている。けれども僕は悩み続ける。
わかっていてもわからないことはあるんだ。
考えながら僕は夜空に手を伸ばす。
真っ直ぐに手を伸ばして、空を掴むように手を握る。届きそうな気がしたんだ、届くはずの無い夜空に。
掴めそうな気がしたんだ、あの星たちを。
だけど、星たちに例え手が届くとしてもそこにはたしてその星はあるのだろうか。
たくさんの人がきっと忘れているし知らないこと。
僕たちが見ている星の光は、昔のその星の光であるということ。
僕たちが見ている星はもしかしたら、今ではもう無いかもしれない。
そう、僕たちが見ているのは星たちの残した記録の一つ。
僕たちはその星たちの残した光をなぞって絵を描く。
星座と呼ばれる絵を見て、僕も自分だけの星座を描く。
星が座っていた椅子の光を頼りに。
今もどこかの星の光が消えている。そして一つの絵が消えてしまうことがある。
何年、何百年、何千年、何万年。
星たちが座っていた椅子の光を頼りに僕は星に夢を見る。
今日も夜空に星たちの残した光が輝く。
その点を結んで僕は今日も絵を描こう。