ミステリー de ON AIR!!生徒会 ~第三幕「足で捜査は基本中の基本」~
紅茶の準備をしながら俺は二人の様子を探る。
俺は中学時代に何度か心霊がらみの事件に関わったことがあった。そのときの人の様子と二人の今、会長を前にしての様子を比べるとどうも腑に落ちない点があった。
「こっくりさんをしたのは確か先週の土曜日です。」と琴さんが反応する。
「ということは今日から数えると、え~っと。今日が木曜日だから、五日くらい前ね。」「そのくらいです。」
受け答えをしているのは琴さんで茜さんはというと黙ったままだった。
「次の質問ね。こっくりさんをやろうと言い出した人と企画した日を教えて。」会長は冷静にさかのぼるように聞く。
「そうですね。う~んと、確か今月に入ってから雪音が言い出したんだったと思います。」「そう、それであってる?茜さん。」会長は突然、茜さんに話を振る。「え、っあ。はい、そうだったと思います。」
「そう。」会長は考える振りをしてこちらをチラッと見る。俺は二人に気がつかないように小さく頷いた。
「じゃあ、本題に入っていくわね。」会長はいつになく本気の目で相手、二人の目を見る。二人は会長の雰囲気が変わったのに驚くと同時に緊張が増したようだ。会長のあの目を真正面から見るのは俺でも怖い。
「これから聞くことに一つでも嘘をついては駄目よ。より早く解決したいと思うなら正直に答えること、いいわね。」
有無を言わせないような圧力。会長が相手を問いただすときの本気。大体のやつはこれで正直に話すのだが切羽詰まったやつほど言い訳やごまかしをする。まぁそこら辺の判断は俺まかせということだろう。
「こっくりさんをしたときの様子を教えてもらえる?」
「はい。」琴さんはあの本気モードの会長を目の前にしても平然とでもないが自然に答える。
「当初、私達は私と真樹と雪音、茜の四人でこっくりさんをする予定でした。」
「ええ。それで?」
「茜が当日になって雪音のほうにメールで今日用事があって来れないと連絡してきたそうです。」
「そのメールはみんなで確認したの?」
「いえ、雪音はくだらない嘘をつかないほうですし、茜も塾や家の用事で結構遊びを断っていた事があったのでそれで疑いはしませんでした。」
「実際、メールを確認したわけではないのね。」
「はい。」
「続けていいわよ。」
「三人でこっくりさんをすることになって、土曜日の放課後ですし部室に行って部屋を暗くしてやろうと雪音がいったので私達も賛成して部室に行きました。」
「どこの部室かしら?」
「雪音がオカルト研究部なのでそこの部室でです。雰囲気もありますしそういうことをするには丁度いいってことで。」
「それはそうね、続けて。」
「えーっと。雪音がこっくりさんに必要な紙と十円玉を用意していたのでそれを使ってやりはじめました。部屋はもちろん暗くして蝋燭の光で雰囲気をつくってです。それでおかしくなり始めたのは真樹がふざけてある質問をしたところからでした。」
「あなたは本当にこっくりさんですか?って聞いたのよね。」
「はい。その後こっくりさんが『いいえ』の方に十円玉を動かした途端に怖くなってきました。皆も怖がっていたようでした。それでも真樹が『あなたは誰ですか』と聞いたとき隣の部室からこちらの部屋を叩くようにどんっといきなり音がして、その音に驚いて壁の方を見たとたん蝋燭の明かりが消えたんです。」
「そこからのことは覚えてる?」
「よく覚えてないですが、皆悲鳴を上げながら逃げ出したのは覚えています。少し落ち着いた後、雪音が部長を呼んでくると言ってどこかに行った後に階段から落ちて怪我をしていました。」
「そのとき他に誰かいた?」
「いいえ、私達三人以外いませんでした。雪音が怪我をしていたので先生を私が呼びに行き、こっくりさんにやられたなんて言えないから適当に嘘をついて足を滑らせたと誤魔化しました。」
「そう。大体わかったわ。」琴さんの話を聞く限りおかしなところは特にない。まあそれは怪談話という点においてはだけど。おそらくかかわった全員に話を聞けば矛盾が出てくるはずだ。御堂さんから聞いたとはいえ微妙にずれがあるのは気になる。御堂さんの記憶が曖昧だったというのなら納得だが、御堂さんは人から聞いた話はきっちり覚えている。ということは会長を前にして真実を話したか、それとも肝心なところを話していないかのどちらかだ。
俺は会話が一段落したのを確認して会長達に紅茶を出す。
「どうぞ、ハーブティーです。気持ちが落ち着きますよ。」俺は一人ずつ順に渡して行き。
「あとお茶菓子です。」と言ってクッキーを置いて後ろに下がる。
「会長、とりあえず茜さんの方の話を聞いた後、雪音さんの入院先と真樹さんの自宅の場所聞いといてください。」俺は小声ですれ違いざまに会長に言う。会長が軽くうなづいたのを確認したので俺は少し離れたところで御堂さんを呼んで一緒に紅茶を飲みながら続きを聞くことにした。
第四幕に続く

