ON AIR!!生徒会 ~第10話「二桁突入ってことでON AIR!された理由 その2」~
「っは!」
ガバッと起き上がり俺は目が覚める。
「俺は一体なにしていたんだ」
「なにもしてませんよ」
「ええ、何もしてないわよ」
会長と御堂さんは俺から目を逸らして答える。
「確かタイガの資料を読んだあと何かあった気がしたんだけど……」
「タイガの資料にあった技がどんなのか試して気絶したのよ」
「そうだっけか」
「そうですよ」
何か誤魔化された気がするが言われてみるとそんな気もする。
「ほら、続きしないの?」
会長は俺に資料を渡す。俺は何か腑に落ちないが取り合えず資料を受け取り作業に戻ることにした。
「これは秋西のか」
『恋愛モノ希望』タイトルにはそう書いてある。中身を見るとタイトルは希望するものではなくて小説になっていた。
「へえ、優ちゃんもなかなか良いもの書くわね」
「そうですね」
会長と御堂さんは俺の横から資料を覗き込んでいた。
「でもここまで完成させてあるなら自分で書くのが一番なんじゃないか?」
「それもそうよね」
きっちりとした恋愛小説をアンケートの資料として出した秋西、これを俺にどうしろと言うんだ。
「とりあえず感想を書いておいたらどうですか?」
「そうだな。そうするか」
俺は資料を横に置き今度じっくり読ませてもらうことにした。
「次は荒木君のだな」
「荒木君のは薄いわね」
「『スポコン命』って書いてますね」
荒木君の資料は今まで読んだ中で一番まともなアンケートの返答だった。
「なになに、『小説書くならやっぱりスポコンでしょ。必要な資料はまとめておいたからよろしく』か」
会長は荒木君が別に用意した資料を御堂さんと読んでいる。俺も横から失礼して覗き込んでみた。
「『新しいスポコンものとして俺はカバディを推薦する』ですって」
「カバディだって?」
「なぜカバディなんでしょうか」
「カバディって確かに新しいがどうやって書けばいいんだ」
「そうよね」
「あんまり読む気でないですよ」
俺たちは資料を読む手を止めて話す。会長は何かを考えているようで、御堂さんはカバディってどんなのでしたっけとルールが書かれた資料を読む。
「カバディってさ確か相手のコートに攻めるとき『カバディ、カバディ』って言い続けるんだよな」
「そのようですよ。しかも息継ぎしたら駄目だそうです。さらに言うと不明瞭だったりしてもアウトって書いてます。」
御堂さんは資料を見ながら俺に詳しく教えてくれる。
「ねえ、二人とも。もしカバディの試合を小説にしたらどうなると思う?」
「そうですねえ」
「ちょっと考えてみるわ」
俺たちはカバディを題材に小説を考えてみる。見えてくるのは本一ページのほとんどに書かれる『カバディ』の文字。ルールがある以上『カバディ』をたくさん書かなければならない事は確かだ。
「シュールだな」
「ある意味面白いかもね」
「でもそれっていいんですか?」
『いいんじゃない?』
俺と会長は声をそろえて言う。が、やはり『カバディ』という文字を並べるのは何か気がひけてくる。
「あんまり同じ言葉は書きたくないよな」
「意図的に繰り返すのは良いけど、『カバディ』は何か違うわね」
俺たちは溜息をつく。これどうしようかな、せっかく資料を用意してくれてるし題材も新しいといえば新しい。けれど問題はルールとどんなスポーツかわかるが実際に見たことがないことだ。
「これは今度ネタに使うとするよ」
「それがいいわね」
俺は会長と御堂さんから荒木君の資料を受け取り丁寧にファイルに入れる。これはもう完全保存になるだろうが保存というよりも封印となるだろう。……きっと。
俺の頭の中には『カバディカバディカバディ』といい続けながらカバディを楽しそうにする荒木君がいた。
当分頭の中から『カバディ』の文字は抜けないだろう。

