ギグ・ザッシ・ゲリラ 第1章 『プレジデント』(プレジデント社) | black kairitu

black kairitu

デス師匠のweb連載Season3。毎月1日更新。コラム、レビュー、レポート、詩、ショートショート、日記など。増刊号、号外、休刊あり。

 書店において、誰が読んでいるんだろうと思う雑誌を目にすることがある。例えばそれは、『コンバット・マガジン』や『歴史群像』、『航空ファン』など意外に多い。それらの細かい検証は時間をかけてゆっくりと行っていきたい。今あげた雑誌は、ミリタリーマニアや歴史好き、航空おたくなど、その分野を愛してやまない方々が読んでいることが想像できる。今回とりあげる雑誌は、「誰が読んでいるのか」が気になる雑誌である。それが、これだ。


 『プレジデント』(プレジデント社)


 この雑誌を、図書館で見かけたとき、私は思った。


 「いったい誰が読んでいるのだろう」


 雑誌の紹介文には、こうある。

 「現代の悩めるビジネスリーダーの「問題解決のバイブル」として、是非、米国FORTUNEの日本版としてはじまりました『プレジデント』。『プレジデント』は経営者層を中心読者にビジネス総合誌として1963年創刊。2000年2月、発行サイクルを月2回刊に変更し、アグレッシブに企業経営に携わるディシジョンメーカーに向けて、質の高いビジネス情報は勿論、「自身の資質研磨」のための情報やライフスタイルまで幅広く取り上げ、現代の悩めるビジネスリーダーの「問題解決のバイブル」としてパワーアップしました。」

 ということは、この雑誌を読んでいるのは次の2者ということになる。

 ①経営者層

 ②現代の悩めるビジネスリーダー

 なかなかの読者層である。労働者層ではなく、経営者層だ。ただのビジネスマンではなく、ビジネスリーダーなのだ。しかも、悩んでいる!

 まあ、想定読者層はいいとして、問題はその毎号の特集にあるのだ。その特集のタイトルが凄い。ここ一年間のタイトルをあげてみよう。


 「いる社員、いらない社員」


 なんだか、いきなりじゃないか。厳しい現実じゃないのかい。


 「なぜ、あなたの会社は『働きがい』がないか?」


 すでに、「働きがい」がないことが前提となっている!


 「数字のナゾ、損得のカラクリ」


 そんなカラクリがあったのか!


 「年収1500万の勉強法」


 どんな勉強法なんだ! 教えてくれ。


 「24時間の鉄則」


 そんな鉄則があったのか! 頼むから教えてくれ。


 「働き方、生き方」全予測


 ただの予測ではない。全予測だ。


 「なぜ、あなたは変われないか?」


 なんだか、宗教的になってきた? ちょっと、恐いぞ。


 「病院、介護、葬式、墓」大百科


 いや、どんな大百科なんだよ! 厚さ7㎜の大百科。


 さらに、この『プレジデント』には家庭版なるものが存在するのだ。その名も。


 『プレジデントファミリー』(プレジデント社)


 紹介文にはこうある。


 「これまで「プレジデント」は、ビジネスマンの問題解決マガジンとしてそのノウハウを提供してまいりましたが、『プレジデントファミリー』では舞台を職場から家庭に移して、「子供を元気にする、親も元気になる」ための父親スキルを追求します。 かつて日本の会社には家族的風土がありましたが、今は社員個人がドライな人間関係のなかで自立して働く時代となりました。そのため家庭はビジネスマンの地盤、心の拠り所としていっそう重要度を増しています。子供の教育から妻、老親との付き合い方、家づくり、将来設計まで。これから『プレジデントファミリー』が家庭を上手にマネジメントする方策をお教えします。 」


 家庭を上手にマネジメントする方策! とは、いかに! 毎号の特集のタイトルが、やっぱり凄い。


 「天才が育つ家はどこが違うか」


 いきなりだ。やはり、いきなりだ。


 「暗記力は食事の前に上がる」


 どこ研究の、どこ情報なんだよ。それは!



 「灘ノートvs開成ノート大解剖!」


 大解剖なんかするな!


 「勉強意欲が燃え上がる法」


 勉強意欲が向上する法ではない。「燃え上がる法」だ。燃えて、上がる法なのだ!


 「娘の気持ち、息子のホンネ 丸わかり大事典」


 そんなものが丸わかりできる事典などあるのか。あったら大変なことになるのではないのか。


 混沌極まる現代社会を生き抜く術は、古典やビジネス書にはない。そう、全ては『プレジデント』にある!