春雨じゃ、濡れて参ろう(下)~リトルショップ・オブ・ホラーコラム~ | black kairitu

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デス師匠のweb連載Season3。毎月1日更新。コラム、レビュー、レポート、詩、ショートショート、日記など。増刊号、号外、休刊あり。

 「春雨じゃ、濡れて参ろう(上)」の続きである。 
 濃厚の宴は、最近庭を工事している柿薔薇邸で行われた。私も、「そば→ぞうすい」を食した後、向かった。
 いきなりだが、柿薔薇お母様の第一声はこれであった。
 「米を一升炊いたけど、大丈夫よね」
 何がどう大丈夫なのか。大丈夫も大丈夫、十分すぎますよお母さん!
 
 焼肉をほおばりながら、ふと私は思った。
 「久々に、コパタケの自転車でドリフトする音が聞きたいな」
 すると、コパタケは二つ返事で了承し、漆黒の闇である窓の外を見つめながら、皆で聞き耳をたてた。

 「ズルー!」
 
 風流!一本!
 何が一本なのかわからないが、とにかく一本だ。
 ひとしきり食を楽しんだ後は、なぜか「笑ってはいけない柿薔薇家」に突入。皆それぞれに何気ないボケをし、笑ったものは尻を叩かれるという例のやつだ。
 そんなことを自然にはじめる高校生がいるのか。
 
 私も、必死であったので記憶が曖昧であるが、河合が新書をもってきて、「これ、新書です」と言うだけというギャグにハラワタが吹くという一連の流れに笑ってしまったことと、ハラワタのZARD芸をなぜかよく覚えている。
 ZARD芸とは、ハラワタの十八番の芸である。今年の3月、17歳のハラワタがZARDを好きということが面白かったという理由だけで、ZARDの曲を歌わせたらこれがいけたのである。ちなみに、先週、車で走っていると、線路沿いを歩く見慣れた後姿が目に入った。ハラワタだ。耳にはイヤホン。間違いない。ZARDだ。あいつは、ZARDを聞いていたのだ。きっと。

 そして、宴もたけなわとなり、はじまったのが「シスターAYAKA嬢の踊る!AYAKA御殿」。AYAKA嬢の質問に皆が答えていくというものだ。今回のテーマは、「あ、これはやらかしてしまったな」というエピソード。これも、なかなかに面白かった。フクダの話のオチが、超ド級だったことは確かだと思う。ただ、衝撃的すぎて、思い出せない。これは、フロイトのいう抑圧というやつか。
 一通りトークを回し、解散。
 だが、ほとんどのメンバーが帰宅した後、なぜだかいつのまにか、AYAKA嬢とハーバラ中尉、フクダの最近の悩みを聞いていた。何の会?
 疲れていた柿薔薇皇帝が寝ている横で。すまない、皇帝。
 そのとき、ハラワタ中将は、筋トレをしていた。なぜならば、コンタクトを収納するケースや液体などのセットを持ってきていなかったから寝られないからだ。それは、もしや地獄という状態ではないのか。
 その筋トレがまた凄い。
 「手をグーパーグーパーさせて握力を鍛える」
 原始的!限りなく原始的!
 
 こうして夜は更けていった。

 最後に、ある言葉を記したい。柿薔薇邸で晩飯をご馳走になりながら、皇帝と2人で「金八先生」の最終回を徹底的に弄りたおすほど、私は説教や格言がそんなに好きではない。だが、素晴らしい言葉や説法は、少ないが確実にあるのだ。
 今回の体育祭前々日、皇帝からメールがあり、応援の最初に語る言葉がほしいとのことであった。去年、劇団ヒルバラ第1回公演「戦争と平和」において、私はサカノヨシヒコにトルストイの言葉を朗々と語らせた。今回は、アメリカの写真家で芸術家で、ダダイスト&シュル・レアリストのマン・レイの言葉だ。あれしかない。そして、見事に皇帝は語りあげてくれていた。
 
 その言葉を、すべての弟子と読者の皆さんに捧げたい。

 「歴史に門を閉ざすことは出来ない。
  歴史は戸を蹴破っても進入してくるからだ。
  時流に乗らなければならない。
  いや、それ以上に歴史を先取りしなければならない。
  ゆっくり歩いていてはいけない。
  走って歴史を迎えに行け。」

 まだ見ぬ、芸の果てに何があるのか。我々が迎えに行かなければならない。
 
 「ねえ、お父さん、お父さん」

 
都市伝説。お父さんを探す女子高生。その女子高生は、お父さんを探している。だから、お父さんじゃない人をお父さん呼ばわりするそうだ。

 ホラーコラム!
 
 「ねえ、お父さん、お父さん。お父さんっ!」

 ナガタが危ない。私が確認できた事実は、これだけだ。

 この直後、ナガタは携帯のアドレスをかえた。

 
 ホラーコラム!