ゑびすの現店舗営業が先週でおしまいになったというお話をしましたね。
そのつながりで、もうひとつ。
こちらは昨年の末で営業を終えられた、下井草の名店こいくちやさん。
初めて行ったのがいつだったか忘れてしまいましたが、数年前は隣駅のラウンヂFからみんなで流れていったり、ゴルフ帰りのいけ爺と酌み交わしたり、酒朋熊さんとご一緒したり…あ、熊ちゃんに連れてってもらったんだっけかなぁ…、正月の川名飲みのあと、中野で店長よっちゃんとご一緒して仲良くなったり…いろいろなことがあった、またたくさんお世話になったお店の一つです。
例年、巾着田で彼岸花を見た帰り道は、こちらに決まってお世話になっていましたね。
そんなお店が今年いっぱいで閉店すると聞いて、いてもたってもおられずお邪魔した夜のこと。
その前にお邪魔した時に、よっちゃんにホッピーの外だけもらえるか確認をしておりましたので、抜きッピーで乾杯を。
こちらのお店、そのホッピーの濃さ、特にナカお代わりの盛りの良さが有名で、あの酒のプロ熊さんをして、危ないホッピーと言わしめたお店です。
ましてや、シャリキンなんて金宮をシャーベット状にしたやつなんざ、かき氷かってくらいにグラスにモリモリですからね。
ヤバいヤバい…ある意味、禁酒中でよかったかも(^-^;)。
オーダーは、日替わりと定番から適度にチョイスして、しばらく鉄板劇場に見入るとしましょう。
手前のダンディなおひげが、オーナーのまっちゃん、奥の細身がてんちょよっちゃんですね。
お忙しい中、まっちゃんもクローズ前の半月ほどは毎日のように鉄板の前に立たれていたようです。
赤シャツにタオルを頭に巻いた、この勇姿がもう見られないというのは、本当に淋しく思えます。
「はい、お待たせしました」とまっちゃんがやわらかい声で差し出してくれたのは、こいくちやと言えばこれという、トマトチーズ焼き。いわゆるトマチーですね。
どうですか、このクレープシュゼットのような、あるいは乳色の海原に沈みゆく夕陽のような風景。
これ、実は閉店間際にまっちゃんが発案された新しいバージョン。通常はトマトを薄くスライスして、火を通すんですが、櫛形に包丁を入れたトマトを丸々鉄板の上で蒸し上げて、そこにチーズをたっぷりふりかけて蓋をして加熱するとこの姿に…いわばトマチーの進化系がこの一品なんです。
クローズアップしますと、このとおり。この熱が通って甘味をましたトマトが旨いんだなぁ。また胡椒の効いたチーズにタバスコを振っていただくてぇと、もうたまりませんのことよ♪
さらには紅ショウガ肉巻き、これまた紅の塩気がお肉の脂につつまれて美味しいんですよね。抜きッピーも進むてもんです。
添えられたオニオンスライスがまたいいんだわ、口の中さっぱりしましてね♪
焼きキャベツ。これねポン酢をかけてもいいんですけど、実はそのままが美味しいの。
もうキャベツの甘味をそのまま味わえる感じ。これだけでも鉄板酒場に来たって感じがしますよね。
しかも、これ110円なんですよ~。
大概のメニューは280円、安いものは110円という値段構成もこいくちやさんの魅力であり、本当にお世話になりました。
魚系もあるんですよ、これカジキマグロのハラミだったかなぁ。
タレにつけこまれたお魚さんのクニュっと弾力のある食感が面白かったですねぇ。
定番以外に日替わりが10品位並ぶ…これよっちゃん考えるの苦労してたみたいですけど、そういう楽しさもありましたね。
振り返れば、見上げる純白の暖簾。
この凛々しい姿も今日限りか…と思うと、なんとなく目頭熱くなったりしてね。
ちなみに表では小雨がパラついてまして、その確認のために振り返ったんです。
そういや、このカウンターでヘムちゃん、ふぢもとさんとラブラブしてやがったな~(^-^;
でもって、最後ですからとこちらの名物メニューながら、いただいたことのなかった一品をいただいてみましょう。
これなんだと思います?
見た目からはわからないでしょう?
実はハムカツなんです。メニュー名はハムカツチーズ焼き。いわゆるハムの間にトロンとしたチーズが挟み込まれてるあれではなく、鉄板酒場らしくハムカツをチーズで焼きこんでいる。鉄板の上でピザ状にカリカリになったチーズとハムカツのコントラスト、これありですねぇ。
なるほど名物になるわけだわ。
さよならは別れの言葉じゃなくて…と歌ったのは薬師丸ひろ子さんですが、再び会うための遠い約束を胸に刻んで、こいくちやで僕が一番好きなメニューで〆ましょう。
ミッチー、煮込みライスだよ!
もう、この甘じょうゆの煮込みが食べられないのが本当に残念。この煮込みのかかったごはんが最高に、本当に最高に旨かった…
気のせいか、塩気が効いていたのは涙が交じっていたからなのか。
そんな夢のような時間はあっという間…最後、遅れて入ってらした常連さんは、blogマイリトルタウンの本読みおやじさん。「お久しぶりです」なんてご挨拶をいたしまして、お世話になったお店にさよならするとしましょう。
最後、まっちゃんからは「またどこかの居酒屋で…」と声をかけてもらい、よっちゃんにも「たまには飲もう」と声をかけまして、お店を後にしました。
美味しくて、安くて、そしてよく酔えて…お店とも、仲間とも集えるお店、西武新宿線沿線で、おそらくは釧路食堂、秋元屋さんと並ぶ僕の根城の一つが、こうして幕を閉じました。
伝えたい言葉はひとつだけ、お店に感謝、ご一緒してくれた人に感謝…幸せなひと時をありがとう。
そして、また会いましょう…。ありがとうございました。
こいくちや 2013年12月30日閉店