840円の誇り -サンセール(神戸元町) | 丁稚烏龍帳

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today,detch stood live on the earth,too…

 さてさて、皆様いかがな三連休をお過ごしでしたでしょうか。
丁稚飲酒帳-おっちゃんとネコ   南京町広場で豚饅頭を堪能したあとは、いよいよ接待ディナーのお時間ざんすよ。気合い入れて行かねば、フガー

 目指すお店は南京町広場のすぐ上にあります。長安門から入ってきた場合は、メインストリートに立つ、お隣の店のはにかんだおじさん像が目印(あくまでもお隣のお店のディスプレイです)。


 

  


丁稚飲酒帳-定食840円  広場側からは、このメニューが目印、どちらからでも二階に上がれます。

 それにしても、いかがですかビーフステーキから海鮮鉄板焼き、さらにはビーフシチューまで、これだけの種類の定食が全品840円、しかも11時から20時まで通し営業の間、いつでもオーダーできるってんですから、ありがたいことです。メニューを見ているだけで、期待が高まってきます。


 さて、いきますか…今日はおぢさん側の階段をトントントンと登って、二階のすぐ左手にありました、めざすお店のサンセール。

 重い扉をカランと開けると、夕方の店内には先客はなし、初老のコックスーツのご主人が「どちらでもお好きなところへおかけください」と迎えてくれます。


 店内は扉の正面右手側がステーキカウンター、左手(大通り)側が四人掛けのテーブル席になっています。収容人数は全部で20人ちょっとというところでしょうか、やや薄暗めの証明がムードたっぷりです。

 テーブル席に腰かけて、さてなにをオーダーしようかしらん。ちなみに接待先のm蔵様は、「神戸牛が食べたいぞよ」とのことでしたので、2800円の神戸牛フィレステーキで決まりでございます。あたくしは、折角ですから定食から一品試してみましょうかね…まあ、お財布の事情もあるんですが(^^;

 ビーフシチューも食べたいが、珍しいところで牛すじ肉カツレツをお願いします。


丁稚飲酒帳-サラダにスープ  オーダーが通ると、ほどなくしてまずは定食のサラダとスープが運ばれてきます。

 お給仕をしてくれた奥様曰く、先週のシルバーウィークから昨日まで大混雑で、お店に入りきらないような状況だったそうです。それが日曜日のしかもまだ夕飯には少し早いこの時間ですからね、ゆったりとお食事ができます。

 青いカップに入ったスープは、牛コンソメのオニオンスープでしょうか、塩気がやや強いながら、その出汁の美味しさががつんと食欲を挑発してくれます。サラダも酸味の効いたドレッシングが、これまた食欲を刺激、夕暮れ時、いやが応でも食べモードにスィッチが入りますよ~。



丁稚飲酒帳-接待ステーキ  と後ろで火柱が、どうやら先にm蔵さんのフィレステーキが焼きあがったようです。こちらはご主人にお持ちいただけます。100gということでもっと小さい切り身かと思っていたら、結構あるんですね。


 玉ねぎやキャベツなどの野菜炒めを敷き詰めた上に鎮座ましますは、天下の神戸牛様。日頃、酒場で一人だと千ベロ、二人でも三千円…なんて生活をしていますと、この三千円のステーキなんてものに縁がないもので、思わず拝んでしまいたくなります。

 鉄板が熱く焼けていますので、添えられたしょうゆベースのソースに、お肉をちょっと付けていただいちゃってよ、m蔵さん。



丁稚飲酒帳-断面は弩レア  「うまか~!」とはm蔵さんのお声。曰くふわふわで柔らかいとのことですぞ。それはこの断面を見てもわかりますわ、なんとも弩級のレアですもんね。ちなみにm蔵さんは、さらに鉄板で焼きつけて、ミディアムの味わいも味わってらっしゃいましたが。

 一切れご相伴にあずかりますと言うと、これが叫ぶのもわかるわってな、美味しさ。フワッとした食感に、噛みしめるほどにお肉の旨味があふれてくる感じ。いわゆるはずれた時の、スッカスカなお肉とは対極を為す、いつまでも噛んでいたいと思わせる味わいでした。

 これが神戸牛というものか…昔大学生の時、鳥取砂丘~桂川の畔にかけて野宿旅行をした時に、神戸に立ち寄ったのがもう15年も前。あの時、確か神戸牛を食べようという話をしたような…、でも記憶に残っていないってことは、きっと断念したんだろうなぁ。つまり記憶の範囲では初神戸牛でゴワスよ、ああありがたやありがたや。お店に感謝、牛さんに感謝です。



丁稚飲酒帳-定食セット
 さてさて、あたくしの定食もできあがったようですよ。

 運ばれてきたのを見て、まず「太ッ!」という驚きが目を楽しませてくれます。三本のすじカツ、奥に横たわっているおナスと比べていただければわかるかと思いますが、結構大きいで~。

 さらには洋食の永遠のトモダチ、スパゲチィが添えられたすじカツのお定食、さていただいてみますかね。



丁稚飲酒帳-立派なアキレス様
 すじにナイフを当ててみると、サクッとパン粉を断つ心地よい音が。どうれ一口と、お口に持っていきますてぇと、衣のサクサク感のあとに、すじ肉のトロリとした旨味が口の中に広がっていきます。

 これまたなんともうまか~、というかあたし的にはフィレより、こちらの方が好みですわ~。


 さらには上にかかったドミグラスの味わいがまたよろしい。これはご飯がススムくんだす~。

 肝心のごはんが少し水分量の多い、うちの実家タイプのごはんだったのが残念でしたが、これはそれぞれの水の量がありますからやむなしとして、ともかくもこれは文句なく旨い。

丁稚飲酒帳-サックサクのトッロトロ
 付け合わせのおナスの揚がり具合もよろしく、かつガーリックの効いたスパがまた美味しい。このクオリティで840円は、信じられない価格でありんすよ。

 そもそも神戸牛2800円というのも相当にお安い価格設定ですからね。ご夫妻に頭が下がる思いで、しかし箸は止まらず…そう、もうひとつのお勧めポイントが、こちらすじカツは切るのにナイフとフォークを出してくれましたが、基本的にお箸で食べられる洋食屋さんなんです。テーブルマナーを知らない丁稚には、こういうご配慮が嬉しいです~。


 それにしてもとまらんわ。美味しい美味しいで、一気に完食してしまいましたとさ。

 帰りしな、お会計の際にご主人からお話しされて、ちょっとびっくり…寡黙な方かと思ったら、案外話し好き(^^

 すじカツのすじもなんと神戸牛だそうで。m蔵さんへの接待のつもりが、期せずしてあたしも神戸牛の恩恵にあずかれていたのですね。

 840円という価格、ご夫婦お二人で切り盛りされているからできるとのことですが、このご時世、相当のご努力をされていると思います。でも、あくまでも明るく、お客さんに美味しいものを提供したいという思いが短いお話からも伝わってきました。なんとも誇り高い価格設定の定食、ご夫婦の人柄がしみ込んだ、清々しくも温かいお店でした。ごちそうさま、今度はどの定食をいただこうかしらん♪


 サンセール 11:30~20:30 水曜定休