静岡にまた脱米国資本ありき -銀の字(清水) | 丁稚烏龍帳

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today,detch stood live on the earth,too…


 金の字をあとに、清水市内を横断する巴川沿いに出てしばしお散歩。軽く火照ったほほに川風が心地よく、このあたりに○の字シリーズのもう一軒があったようなのですが、見当たりません。時代の流れの中で、なくなってしまったんでしょうかね。巴川沿いにも家屋の合間に古びた商店や雑居ビル、怖そうなアニさん方と昭和の風情を感じる風景が広がっています。


銀の字  そんな中、こちらは元気に営業してますよ。○の字シリーズ二軒目、銀の字さんです。ちなみに○の字シリーズと言ってますが、チェーン展開やのれん分けといったことはなく、まったくの別のお店です。


 ここは親分が一番落ち着ける酒場と絶賛してやまないお店。とたんづくりの鄙びたお店を、料理を担当するお婆ちゃんと若い女性の二人で切り盛りされています。親分につづいて暖簾をくぐり、「こんにちは~」とごあいさつ。親分は、「かえってきたよ~」なんて言ってます、やっぱり故郷なんですねえ。こじんまりとした店内、八人も入れば一杯のカウンターに四人で腰を下ろします。先客はおひとりだけ、開店直後を狙ってきた甲斐があります。

 挨拶もそこそこにすっと出されたおしぼりで手をふくと、これがキンキンに冷たい。冷蔵庫でよく冷やされているようです。暑い夏にはこういう心づくしが実にありがたいですね。思わず顔拭いてしまいます(苦笑)


名物しぞーか割  正面の壁に貼られた短冊の中から、まずはやはりお茶割ですね。ここのお茶割は、金の字よりさらに御茶分が濃くて、抹茶割のようです。お茶の苦みと爽やかさで、焼酎が包まれるよう…すーっと飲めて、危ない気がします(^^;


さて、ご注文は…お店の看板にもあるようにここはひな焼きが名物。ひな焼きと言ってもただの焼き鳥ではありません。短冊の群れの真ん中にあります、「ひなから揚げ」。これをお願いしましょう!羽とももがあるけどというお婆ちゃんに、親分が返した言葉は「お母さんに任せるよ」。ここに来て食べたもので美味しくなかったものがないと、そのとおりですね。しかも400円の価格設定がすばらしい。

 娘さんが取り出した鳥もも肉にお婆ちゃんが丁寧に塩コショウ、そして鍋に放り込んで…あら、蓋をしめちゃいましたね。あとは揚げあがりを待つばかり…いや~、俄然楽しみになってきたぁ。ちなみに、小柄なお婆ちゃん、腰も曲がってらして、カウンターの陰にすっぽり隠れてしまいます。腰を上げないと作業風景が覗けません(苦笑)

 揚げあがりを待つ間、親分がお盆は休むの?なんて声をかけると、お盆休みは特になく火曜日だけお休みとのこと…ん、明日だったら危なかったぁ~(^^;


絶品ひなから揚げ  さて、そろそろ頃合いでしょうか。お婆ちゃんが鍋の蓋を開けて、様子を見ています。鍋から最初に出されるのは、モモ肉と同じくあげられたポテト、そして素揚げにされたキャベツ。これがまたお勧めなんです、ほっくりしていて美味しいんだあ。そして、出ましたどかんと鳥ももの一本挙げ。

 ところで2人分頼んだお皿がなんで、あたしの前に二つあるのかしら…え、鳥ばらしのプロだからって(苦笑)?そりゃ手土産で半身揚げをよく持っていきますから、ばらすのは慣れてますけどね。


 鳥房の半身揚げほどのボリュームはありませんが、パリッと焼きあげられた皮目のスパイシーさとももから溢れる肉汁のジューシーさ。これも年期なんでしょうね、お兄ちゃんが一所懸命揚げてる鳥房の半身も美味しいですが、お婆ちゃんの見切りの美学というか、鍋に放り込むだけと思えた揚げ具合の絶妙さ。このパリッとした皮目の揚げ具合の見事さよ。


ポテトおかわり  しかし、ポテトがやっぱりうまいなあ…おかわり欲しいくらい…って、僕らの思いを先読みされたか、はいどうぞとお母さんが追加を出してくれます。ありがたいですね~。思わず親分が「おいしぃ」とこぼすほどにほくほくのポテトの美味しさがたまりませ~ん。お代りに頼んだ喜久酔も進むってもんです。

 しかし、このポテトは初恋屋でいう軍艦みたいなものなのでしょうね。最初に腹に入れて悪酔いを防ぐという、お店の優しさですね。うーん、本当にやさしいお店ですねぇ。


 ちなみに今日は食べませんでしたけど、こちらの焼き物も絶品ですぜお客さん。コショウが良く効いて、酒がすすむんですね~。

 こちらのひなから揚げ、都内某所と同じくクリスマスには予約でいっぱいだそうです。清水もケンタッキー要らずの町なんですね。しかし佇まいと言い、味わいといい、いつまでもあってほしいお店ですね。お婆ちゃん、どうぞお体に気をつけて…またお邪魔します!


銀の字 17:00~ 火曜定休かなぁ?






                             8月11日三軒目