受け継がれし最強 -俊助(佐倉市田町) | 丁稚烏龍帳

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today,detch stood live on the earth,too…

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俊助  七月中はファーストドリンク無料券があるのよね、うふ♪…ということで、仕事帰りに坂道をとことこと降りていきます。向かうはお堀端の小体な店構えの焼き鳥屋さん。この場所にはかつてフレンズという焼き鳥屋さんがやはりあったのですが、諸般の事情で三年ほど前に閉店。以来、空き店舗になっていたのが、この三月に経営者を変えて新たに開店したのが、こちら「俊助」さんです。純白の提灯に藍の染め抜きの暖簾、キリッとした清冽さを感じますね。


 小さめの暖簾をくぐると、店内のつくりは変わっていないようです。78人掛けのカウンターに左手には四人掛けの小上がりが二卓。奥の座敷は少し広がったかしら?10人までの宴会に対応できるそうです。

 30代後半とお見受けした松田優作然のニヒルなマスターに、「こんにちは」と頭を下げてお邪魔します。席に着き恥ずかしげに無料券を提示しましたところ、おかみさんが快く対応してくれます。注文は生ビール(500)。出てくると同時にまずは一口…ゴキュ、ゴキュ、プハ~ッとこの一口目があるからやめられない。喉を駆け下りるビールの炭酸が、一日の仕事の澱みを浄化してくれるような気がしてきます。

 ビールで最後まで通せれば翌日残らなくていいんですが、おなかが膨れてきたり、口に苦味が残ったりし始めると、焼酎系に切り替えてしまうのですよね。3時まで飲み続けるコツを教えてください、Mr.Beer(^^)?先日テレビで見たところでは、日本酒じゃないですが塩をなめると、体内塩分濃度があがって一口目の爽快感が帰ってくるそうなんですが、3時までそれをやってたら、塩分過多になってしまいますわ(苦笑)


ハツレバ  カウンターの端に腰掛けたのですが、左手の壁に調理師免許に混ざって、キリンだったかどこかのメーカーのビールマイスターの認定証がありました。泡の仕上げもきめ細かく、丁寧に注がれているのが嬉しいですね。

 さて、注文は…と、カウンター上部に木札がずらりと、奥から焼き物、続けて刺し物、一品物、さらには「焼き鳥丼」、「スペシャル焼き鳥丼」「そぼろ丼」とご飯物類まで、目移りしてしまいそうです。しかし、この時点でもう注文は心に決まっています…いきなり焼き鳥丼だろう…って?いえいえ、ノンノン。まずは焼き物をお願いします。意外と思った諸兄への種明かしは後ほど。

 確認したところ焼き物は1本単位での注文OKとのことですので、ハツを塩で、レバをタレで、そしてたたきをタレでお願いします。(1150)


 お客さんは先に始められていた方がお一人だけということで、早々に串が焼き台に並べられます。遠目にご主人が丁寧に串を返しているのがうかがえます。そして待つことしばし、まずはハツとレバがあがってきます。

 「レアで仕上げています」というレバを一口、口にするととろりと溶けだすような口当たり。一塊食べた後を見れば一目瞭然、表の火の当たっている面は固まっていますが、中身は薄皮一枚で生のまま。これは旨い。鳥レバの甘さが口に広がります。タレが少し若い感じがしたので、次は塩で試してみますかね。
最強たたき  続いてハツ串を手に取れば、一串に七つほどのハツが連なっています。口に運べば、やわらか~い。そう、この柔らかさがこちらの身上ですよね。うーん、これだ。辛すぎず、かと言って甘くもない塩の振り具合も抜群だぞと。これはビールがすすみますねぇ。

 そして、満を持して登場する四角い塊。これがこの店の「たたき」、俗に言うつくねです。後ほど、お隣の方に「うちのおすすめです」と出されていましたが、これが食べたかったんです。そっと串を持ち上げれば、ふるふるとゼリーをすくっているかのような質感。丁寧に丁寧に口に運べば、ひき肉のざらりとした粒状感に続いて、肉汁の旨みが口の中いっぱいに爆発します。これじゃこれじゃ~、これこそが食べたかったんじゃ~い!と内心で万歳三唱を繰り返すあたくし。


 さて、種明かしです。このお店自体への訪問は初めてですが、以前の「フレンズ」には何回か足を運んでいます。そして、このフレンズのマスターの修行されたお店が、勝田台にあります「本郷」というお店です。実はこの本郷、Mr.Beerの勝田台における根城の一つでございまして、あたくしも何回となく足を運んでおりました。

 この本郷で修行されたのが、誰あろう今の「俊助」のマスターなのです。つまり三つのお店のメニューはほぼ共通していることから、行く前からメニューが決められていたというわけでございます。そんな出店の経過は開店当初からMr.Beerに聞いていたものの、何かと忙しく初訪問が今日になってしまいました。


 この本郷であたしのお気に入りだったのが、たたき、はつ、レバの三種。

なかでもこのたたきについては、青砥石松、あいちゃんよりもなお肉汁が滴り、ミツワよりもなお食感がほろりと柔らかく、中山鳥春よりもなお優しい味わいと、各店を食べ歩く中で見出した最強の一品と信じています。フレンズにも正直、たたきを食べに通っていたものね。
酎ハイ  実は本郷が店主の体調不良で店を閉じておりまして、このたたきが幻と消えかけていました。味わいたくて味わいたくて、恋焦がれてやっと訪れた俊助。そして、ここで再会できた喜びと言ったら。まさに三つの店舗で、受け継がれた最強の味わいです。

 

 そして、さらに嬉しい出会いがもうひとつ。ビールの次はチューハイ(350)に切り替えました。氷少々入りで、甘めのレモン風味の味わいです。残る半分をいただくに、さてあてはと見渡せば、やっぱり丼モノが気になるご飯党の性。

 思わず三種の丼の違いを聞いてしまいました。焼き鳥丼(600)は焼き鳥のみ、スペシャル焼き鳥丼(900)は焼き鳥以外もいろいろと…焼き台前のアクリル板工事を終えたガテン系の兄さん方にマスターが振る舞っていたのを盗み見ると、たたきにぼんじりなど、いろいろな部位が入っているみたいですよ。そして、そぼろ丼(600)は文字通り鳥そぼろといり卵の丼だそうです。



上品焼き鳥丼  ん~、迷うけど…ここはスタンダードな焼き鳥丼を試してみましょう。いきなり開店早々から三杯の丼オーダーが続き、最後のごはんだったようで、後ほど研いでいるのを見たところでは、千葉県内では美味しい米と高名な、多古米を使われているようです。

 お待ちどうさまとマスターに届けられた丼のふたを開けると、上品に薄めに敷き詰められたごはんの上に、たっぷりの刻み海苔。その上に鳥串が二本、さらに紅しょうがが乗っています。ごはんにはこれまたたっぷりとタレがまぶしかけられていて、見た目で食欲をそそりますねぇ。鳥と米とタレの香りの三位一体攻撃が、鼻腔を通して食欲中枢を刺激しまくり、oh、モーレツ!
鳥丼アップ  早速いただきます。まずはごはんから。硬めに炊き上げられたごはんは、たっぷりかけられたタレを吸い込んでもベチャッとならず、軽やかな噛み応えを楽しめます。加えて海苔の香りが加わることで、加速度は一気に重力圏を突破、魂が口から抜けていきそうです。

 さらには本命の鳥がまたふっくら柔らかい。鳥の肉汁とタレの甘味とごはんの旨さ、至福のトライアングルや~!次回は、いきなりスペシャルかな♪しかもごはん大盛でしょう~。


 やっと我が社のお膝元に、常連になりたいお店ができました。

 少し飲み物が弱い(僕的にはです、本格焼酎や地酒、ワインの揃えも充実してますヨ)ですが、あまり飲みすぎるよりも軽く夕飯を食べに行く感覚で、通ってみたいと思います。ご馳走様でした!


俊助 17時から23時 月曜定休