1月23日(水)
職業柄、遠くまで出かけることがほとんどないのです、あたくし。
職業選択の段階では、いきなり遠くまで飛ばされることがないのが魅力だったのですが、酒場巡りという趣味に出会ってからは、出張という言葉に憧れを抱くようになったのです。それほど殺人的に忙しくもなく平日も飲めるし、いざとなればお休みだっていただけるという利点はあるんですけどね。
で、極めて久々にやってきたこの日を心待ちにしていたのです。そう、今日は都内出張の日~。
で、こんな日に限って都内は今年初の大雪だじぇ。あたいを祝福してくれているようだわ~(-_-;)。
その雪も代々木でお仕事こなしてるうちにやみ、同僚と二人、渋谷までてくてくお散歩。となれば繰り出すしかないでしょう、城南の酒場方面へ!
お手軽に富士屋本店か、入れるかふくちゃんに賭けてみるかと、道すがらいろいろ考えましたが、この凍える気候では辛いものが食べたいなぁということで、乗り込む東急東横線。めざすは祐天寺でございます。
週末にお話聞いていた、親分お気に入りの立花の様子も知りたかったっていうのもあったんですがね。
祐天寺駅に降り立ち、駅左手の商店街を、左手にテツお馴染みのカレーショップナイアガラなどを見ながら、ズンズン直進。突き当りを右折してちょっと行くと、ありました立花!ふむぅ、なるほどこりゃ一見は入りづらいわぁ。まして、今日は日本酒が苦手系の同僚も一緒だから、今日は場所確認だけにしておきましょうね。
ということで、そのまま直進~、駒沢通りの目指す酒場に着くだろうと当て込んだのが大きな思い違い。あら~、出てきたところに祐天寺(お寺の方)が見えますよ。随分、中目黒の方に戻っちゃったわね~。
というのをおくびにも出さず、さもこのルートが正しいのよと言わんばかりに同僚を案内するあたくし(^^;)。
大きな赤提灯が見えてきましたよ。そう、祐天寺といえばのばんでございます。
こんにちは~と右手入り口から入って人数を告げると、左側に回るように言われます。左側は焼き台前の十席ほどのカウンターを中心にした拡張前の旧店舗側。今日こそは右側で飲めるかなと思ったのですが、右側は団体客用にキープの方針のようですね。ぎっしりのカウンター、両脇のお客さんに失礼しますと座らせていただきます。
すぐに出てくるお通し0円のぬか漬け。こいつがうまいんだ~、ということで当然のサワーをご注文。お酒が得意でなくても、ここのサワーならいけますからね。でも、薄いことはないから、それなりに注意が必要ですぜ…なんて自分に語れやと思っても後のフェスティバル。
忙しい合間をぬってお姉さんに、レバカツ二本ととんびをおねがいします。
この二品こそ、まだ中目黒に店舗があった時にあたしが惚れ込んだ二品なのであります。そんな思い出話を思い返しながら、出てきた出てきた~。月島形の隅に串の刺さった旗状レバカツ。「ハタ坊だじょ~」と写真を撮りたくなるのをグッとこらえて、いただきます。酸味のある甘めのソースの味わいに、カリッと揚がった縁の部分とふんわりした中央の厚い部分とのコントラストが秀逸ですねぇ。
続いて、あらわれましたとんびちゃん。とんびと言っても、ピーヒョロロでも、イカの口でもございません。ああ、善ちゃんでいただいたとんび串のうまかったことが偲ばれます。漢字で書くと豚尾と一目瞭然、豚のテール煮なんでございます。特徴的なのはその味付け。味噌ベースに唐辛子がガンガン入ってまして、初めて口にした時はそれこそ舌が痺れる様な衝撃を受けたものです。トロッと煮込まれた豚尾は、箸で簡単にほぐれるほど。骨の回りを口に入れてかみ締め、スープを一口、おお温まる~。
このあと焼き物も一頻りいただきまして、中をおかわりして一次会はお開きとなったのでした。
千葉県某市までの道のり遠く、同僚とはここまで。さて、あたしはどこに参りましょうか…と、年明けてまだ行ってないお店がありましたね。時刻も頃合、せっかく近くまで来てますし、ちょいとお邪魔いたしましょうか。めざすは中野へ!
7時40分過ぎの中野着。駅を背に早稲田通りに向けてズンズカズン。さて、入れるか~とお邪魔したのは石松さんでございます。お店の中は既に五分の入り、入れて良かったわ。
ご無沙汰のご挨拶をマスターに。今日はボトルの残りを空けて行きますかね。ホッピーをお願いします。
今日のお通しは、最近多いというハツ刺しではなく、いつもの豚耳。これもまた酢味噌と合ってうまいのよね。
仕込みの合間に、おっとこ前Hさんに連れて行ってもらった「ささや」のお話だとか、最近熊ちゃんあってる?とか、ゆっくりお話を楽しめる良さがここにはありますよね。ちなみに熊ちゃんにはこれから会いに行きますが(苦笑)。
お隣さんがレバ刺しをお願いしようとしたところ、マスターが眉根を寄せます。「ん~、今日はね私が好きじゃないところだから、おすすめしない」って、正直だな(^-^)。曰く鉄分が多い感じのレバなので、焼きがいいそうです。それなり当然チョイ焼きに乗るでしょう~。
切り分けを見ると確かに赤が濃いですねぇ。タレ塩一本ずつ行こうかとも思いましたが、まずは塩でね。
これがまた、チョイ焼きの加減がすばらしか~。刺しで食べてもいいんじゃないかと思うけど、炙られることで活性化したレバの風味が振り塩で引き締められて、ホッピーぐびっと行っちゃうよ~。
と、現れたのは水曜石松の男、Harryさん。この時点では既にして店内満席。あたしの後ろに立っていただいちゃいました。ボトル空けたら譲りますから、もうちょっと辛抱してください~。
年末以来のお久しぶりの挨拶をして、徳話やら今日はお膝元に行ってきたんですよってな話に花を咲かせていると、「祝さん、煮込み食べる?」とマスターがお話を振ってくれます。はいはい、うんうん、もちもちと、ワンワンニャンニャンコーナー状態でおねがいです。まだ若目だけどというけれど、十分な美味しさですよ~。
脂たっぷりのシロの食感も素晴らしいのですが、とろとろの大根、ふわふわの豆腐にもつの出汁がしみこんで…いやあ、これは絶品。これでまだ若いなら、マスターの目指してる完璧な煮込みってのはどんな代物なんでしょう…うーん、想像の範疇を越えてるなぁ(^^;)。
最後にカシラ塩でいただいて、ちょうどボトルも空きました。三杯飲んで気持ちよく。次のボトルはまた間が空いちゃうと思いますので、次来たときに入れますね。「またよろしく~」のマスターの声を背に、一路、足は新橋に~。
(ナレーション)この後、丁稚の運命は急転回していくことになる。その運命を知りうるものは、この時点では誰も…いない。
ばん 16:00~22:30 日曜・祝日定休
石松 20:00頃~始発が動くまで 不定休(日曜が多い)