小路の奥の情景 -華升(柏銀座) | 丁稚烏龍帳

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today,detch stood live on the earth,too…


(仮)白鶴小路 千葉県の渋谷とその名も高い柏市ですが、誰が言ってんだ?柏市民か?
金町乗換えすれば、我が家から30分とかからない距離にあります。
ちょいと柏に立ち寄ったこの日、折角ですから酒場を探しましょう。目指すは、柏神社脇から延びる柏銀座商店街。この日は生憎の雨の中、傘を片手にお散歩です。
左右をキョロキョロしながらいい雰囲気のお店を探します。カレーのルンビニって、千葉にあるアレかな?と思いつつ、その手前にはかのホワイト餃子柏店があります。
と、ふと振り返れば趣のある小路がありますね。白鶴の看板も雰囲気あるなぁ。こりゃ、いいねと奥を覗くと、路地の奥に一軒だけ縄のれんのかかっているお店があります。

いい佇まいだね、でもまだ提灯の灯が消えてるなぁと思いつつ、近寄って見ると屋号は「華枡」ですか。雅な感じですねぇ…ガラス戸越しに中をのぞくと人の気配なし。んー、営業時間まだかぁ、残念。

華升とぼとぼと踵を返して、裏側の風情もあるねと看板を振り仰いで撮影していると、後ろからガラガラと物音が。親父さんが灯りを入れてる~!慌てず騒がず間を取って、中に引っ込んだところで扉をガラリ、「もういいですか?」と尋ねてみると「いいですよ」と、田口計似の親父さんが優しく返してくれます。


たたきの奥に階段がある所を見ると二階席があるようですが、十畳ほどのこじんまりとした店内、向かって左手にカウンターに囲まれて厨房があり、右手に四人掛けが一つあつらえてあります。7人も並べば一杯のカウンターの入り口左手、焼き台の正面に腰掛けます。
店内をきょろきょろ見回して、チューハイ(320円)をお願いします。宝焼酎をグラスの五合ほど、冷凍庫から氷を入れて、炭酸を注いでできあがり。炭酸が一本使いきりでないのが残念ですけど、結構濃いんだなこれが。んまいですね~。


華升チューハイ チューハイをちびちびやっていると、間を図ってご主人が「何か出しましょうか」と言ってくれます。卵焼き、にら玉、山賊焼きなんていう一品料理も気になるけど、ここはメインのもつ焼きで勝負でしょう。もつは一本100円から、聞けば一本単位で注文できるとのこと。ならば、様子見の定番、レバ・シロたれに、ハツ・鳥塩で4本お願いします。
冷蔵庫からもつを取り出されますが、結構大振りでこれは期待が持てそうです。焼き台に向かいながら、子どもの事件を耳に「最近、こんな事件ばっかりですね」と話しかけてくれます。手持ち無沙汰の一人客には、心遣いがありがたい。焼き物を待ちながら、この店を見つけた経緯=通りがかって(笑)やら、柏の大衆酒場事情などをお聞きしました。駅前に古い酒場があったそうなんですが、火事で焼けてしまって、今ではこちらが柏でも古い部類になるそうです。37年となれば、もつ焼く煙に燻されて、柱や梁もいい色になるわけですよね。



タレ二本 と、たれ物から上がります。まずはシロから、パクリ。これは味わったことのない食感。ブリブリてんですかね、柔らかいガツのような感じでしょうか。独特のシロの風味がまたよし。それにも増して、タレが濃厚でいい!思わずご主人に「味噌ダレですか?」と聞いてしまいました。味噌ではなくて、長年にわたる時間の蓄積が味噌のように感じられる風味になったということです。レバタレもまた、タレとの相性抜群、レバがフレッシュな感じだとなお良いかと思いましたが、十分及第点。
続いて出てくるハツ塩があがります。これは亀有江戸っ子的な薄目のつくり。でも、塩の加減がいいですね、タレもいいけど塩もいいですぞ。鳥も肉厚で美味しいなぁ。これは、全六種制覇するしかないでしょう~ということで、チューハイをおかわりしつつ、残るナンコツとハツを塩でお願いします。



ナンコツ塩 時刻は五時半を回り、おかみさんがご登場です。テレビでは、まんてんのカツカレーの映像が流れてますが、「これは食べられないよね」とご主人…ゲフゲフ、そうですよねぇ(苦笑)。いや、僕だって全部乗せは行く気はないですよ~。
ナンコツから出てまいりますが、一言「デカッ!」。このナンコツは、僕の見た中でも最大級な気がするぞ。後日聞いたところでは豚の胸腺だそうですが、臭みもないし、コリコリの食感が素晴らしい。食べ応えばっちりです。そして圧巻は最後に出てきたタン。タンって、店によって当たり外れが結構あって、薄手のタンはあまり好きでないんですよ、固いしね。ということで、オーダーを最後にしたんですが、ここのタンは厚いよ~。ねぎ間で一串二片ですけど、三片、四片あるよりこの厚さが欲しいのよ。かみ締めればジューシィな味わいに、ご主人の絶妙な塩裁きがベストマッチ。文句なしの素晴らしさ!
ジューシィタン本当にナンコツとタンは出色です。良くぞ、この順番で頼んだなぁと感心しますよ、あたくし。次回も柏に来たら、華枡のナンコツとタンにしようっと。



小路の奥の情景 落ち着いた佇まいに、味付けの妙。これはいいお店をみつけたなぁ。
何より店から出たあとの小路の薄暗さが雰囲気だよなぁ。いつまでもこの小路が柏にありますように…。
また寄りますよ、御主人。