シャリシャリとグラスが啼く -米山(赤羽) | 丁稚烏龍帳

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today,detch stood live on the earth,too…



赤羽の藤棚丸鍵水産をあとに、赤羽一番街を縦貫してめざすは線路沿い。
赤羽駅から川口方面に歩いていくと、歩道の上に藤棚が。見事な紫色ですね。
今年は天神さんに二回足を運びましたが、最初は少し早く二回目は盛り過ぎで、タイムリーな藤がここで見られるとは嬉しいですね。
藤棚の向こうには、煤けた壁が歴史を物語る建物が、大きな看板にめいっぱい大書された米山の文字。赤羽北の関所
そう、ここが赤羽のもつの名店、米山でございます。
はじめてそれと知らずに探し当てた時は、この店構えにもの凄く惹かれて、でもこれって何屋さんだろう?と頭をひねったものでした。


確か開店時間が15分とか45分とか、半端な時間だったよなぁという曖昧な記憶を頼りに、遅れてはなるまいと店の前にはせ参じたのは45分。ん、まだ空いてない…けど、年配のご夫婦がもう待っているふうだなぁ。
とりあえず、並びだすまではとあたりの質屋のウィンドウをのぞいたり、道向こうのお寺を拝みにいったりとあたりをうろちょろ。
六時前に若者二人連れがお店の前に立ちました。ん、そろそろ並びますかねとお一人さんのあと、四番目に並びます。すると、先ほどのご夫婦がその次に。聞けば、鳩ヶ谷からお越しになったとのことで、普段は八起の常連さんなんだそうですが、米山は初チャレンジとのことです。「ご主人怖いんだって~?」と不安がるご夫婦に、そんなことないと思いますよとお返しして、大常連熊さんや親分に及ぶべくもないですが、いくつか食べたことのあるものお話をぽつぽつしているうちに、噂をすれば影、あの歩き方は親分だよねと、親分、熊さん、紫の字さんのご一行がご到着です。
このお三方のあとも、さらに列は続き、開店時刻には店内は一杯+お三方はテラス席という満席状態。あらら、相変わらずすごい人気だね。

シャリッピー
L字カウンターの付け根部分、焼き台の前に腰掛けて、注文は当然シャリシャリのホッピーから参ります。
いつものマルっと頭にタオル巻きの大将が一升瓶を棒で突きながら、しゃりしゃりに凍った焼酎をグラスに注いでくれます。グラスの半ばまで入ったシャーベット。その様子を眺めるだに、いつも長旅の起点はここからだったよなぁと、近い過去を振り返ります。新逗子に行ったり、金沢八景から金沢文庫まで歩いたり、今日は気をつけなきゃと、いつものように心しながらホッピーを注ぎます。そして一口、濃いねぇ、どうも。そしてうまいねぇ、どうも。


さて、おかみさんが僕達の後ろ、焼き台に立たれたところで、食べ物は何にしましょうかね。

お隣のお二人さん、先ほどの僕のお話のとおりに半焼きのレバ、ハツとオーダーされてますね、恐縮してしまいます。襖や梁に貼り出された短冊を眺めまわして、ふと目に留まったのが、やっぱり半焼きメニュー。こちらの名物、おかみさんの腕の冴えですからね、やっぱり外せませんよね半焼きは。ところが、今回見つけた半焼きは様子が違う、曰く「半焼きレバニラ」?串焼きじゃないんですねぇ、これ行きましょ~!


一通りの注文を鉛筆で書き終えて、大将に渡します。
半焼きレバニラ

焼き台のおかあさんにこれまたいつものように、「おい、半焼きでレバ15本、ハツ12本」…って、すごい量だね、相変わらず。そして、おいって呼びかけがまた二人ならではの掛け合いだねぇ。僕らの頭上越しに丼の受け渡しのやり取りが何度かあって…焼けた串は、対象が出した丼に入れられお母さんから渡されます。それがお客に配られるって寸法。一しきりのタイミングで、「おい、レバニラ」と差し出した丼にレバ串が三本か四本くらい入ってたんじゃないかな?

見ていると、丼の中で串を外して、それを置くの焼き台スペースにもって行きます。そして、まもなくフライパンから立ち上る炎。そして、あっという間に出てきたこちら。これが、半焼きレバニラです。
一口口にすれば、うまい!濃厚なタレもよければ、それに負けないレバもすごい。そして、何よりレバがレアなのが素晴らしい!これは、最近レバニラづいてるけど、随一だわ~。この逸品で幸せ気分でしょう~。ほくほくです。


スタミナといふ

続いて、焼きあがるのはスタミナ。半焼きがこの店の看板であるとすれば、もう一つの看板といえるのが、このスタミナ。

実は、m蔵さん=つくねマニヤにこのスタミナを食べさせたくて、赤羽まで足を運んだのです。かつて評したのが、「日本一スパイシーなつくね」。焼き上がり、熱々のところを口にすると、胡椒を中心にしたスパイスの香りと、豚肉の旨味が口の中一杯に広がります。その状態で、黒ホッピーをぐいっ!…これが米山だっ!と一人いいねいいねとつぶやいてしまいます。

お隣の御夫婦もm蔵さんも気にいられた様子。よかったわ。しかし、これ、ホッピーにあわせるアテとしては、最上じゃないですかね?これだけでハナから締めまで通したい気になっちゃいますよ。


半焼きタン気づくと空のグラスをカウンターに、黒ホッピーをいただきます。

棒で突くシャリシャリとして音が耳に心地よく、そして渡されたホッピーをグラスの中に注ぐ時にグラスが囁くようにシャリっと啼く…風情ですねぇ。いい心持です。

表の皆さんも心地よく夜風にあたっているようです、お、熊さんが大将の間を見て次の一品をオーダーするようですよ。なに、「半焼きのタン?」タンも半焼きにできるんか~!そらそうだよね、こちらの仕入れのレベルだったらむしろ当然か。

失礼して真似させていただきますよ~。こちらも二本お願いします!ほどなく出てくる、この二本。ニンニクとネギを添えられて、こちらをまぶしていただきます。うーむ、うなっちゃうねぇ。ハツよりもなお肉の旨味があって、噛み締めるほどに肉汁があふれる噛み応え。いい一品をありがとうございます、熊さん。


たまねぎあへ
 お肉続きですから、口の中を改めるためのおしんこ。これがまた、美味しい。まるまる出てくる蕪の酸味が舌を新しくしてくれます。さて、いつの間にかホッピーも四杯目(笑)…まあ、いろいろあったのさね。

 〆の一品はたまねぎあへですね。大将、たまねぎあへは、何とあへるんですか?と初心者質問。「おぅ、かしらだよ!」と気さくに答えてくれるのが嬉しいです。しかし、怖いって噂はどこから出たのやら?無作法して怒られることはありますけど、それにしたって怖い怒り方じゃないと思うんだけどなぁ…。ま、感じ方は人それぞれということで、最後の一品をいただきましょうか。

焼き上げられたカシラ塩と、玉ねぎを皿の上で軽く混ぜ合わせて、爽やかでいてこくがあるって、どこかのビールのコマーシャルフレーズかって位に、フレッシュ感と旨味が両立している一皿です。うーん、これもまたいいなぁ。

 しばらく来なかった北の関、やっぱりいいお店はあるもんですね。また折をみてお邪魔しますね。

どうも、大将、お母さん、ご馳走様でした。表のお三方に挨拶をして、駅まで帰る帰り道、駅を越えて赤提灯にすいこまれたのは、赤羽の魔力にも似て…。


でも、無事にお花茶屋から歩いて帰り着きましたので、あしからず(苦笑)。