7時12分の初恋5 | Commentarii de AKB Ameba版

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Tags:片思い、School days

 いろいろあったけど何もなかったような顔で「7時12分」の話の都築りかちゅう

 A4のスタジオレコーディング盤ヘビロテで聞いてます。でもコールの無い「7時12分」を聞いてると、やっぱりココロの中で「あつあつあつあつ」って言っちゃいますね。

 この曲において「あつあつ…」コールが、「ちょーぜつカワイイ」に代わっていったのが2009年頃だった、というのが前々回の結論。

 ところで、「あつあつあつあつ」のような、メンバーの名前の2音節を繰り返すコールが打たれる曲は他にも幾つかありました。
 たとえばA2「会いたかった」公演の5曲目、「ガラスのI LOVE YOU」。
 この曲ではコールはどうなってるんでしょう。

 これもまたアイドルらしさ全開の一曲。
 歌うのはオリジナルのA公演では高橋、中西、板野、成田の4人。 
 頭サビの後短い間奏が入って第1スタンザAメロ、前半を高橋、後半を中西が歌い分けています。
 公演DVDでの様子を見てみましょう。

  ひまわりが咲くと/どきどきするね

 の後、高橋に対するコール「みなみ!」。

 続いて

  君の隣を歩くだけで/舞い上がる

 「だけで」の「でー」に被って名前2音節コール、「りなりなりなりな・りなちゃん」。
 実に揃っています。
 
 「ガラスのI lOVE YOU」は、「7時12分」よりも歌われる機会が多い曲でした。その後いろんな場面で歌われた「ガラス」で、中西ポジションに対するコールはどうだったのでしょう。
 
 2006年11月、日本青年館でのファーストコンサート。中西に対し当然「りなりなりなりな」コールが打たれていました。
 2日目のシャッフル公演、中西ポジは河西でした。ここのコールも、キレイに揃った「ともともともとも・ともちゃん(ともみ?)」。これは「よく訓練された」と言っていいレベルでしょう。

 その後も、この曲の中西ポジをいろんな人が歌いました。
 
 2007年10月、Team Bの2番目の公演として「会いたかった」が開幕。
 B2の「ガラス」は、菊地、仲川、多田、平嶋が歌いました。まだ彩香だった菊地のカワイイこと。渡辺と並んでエース格だったのがよっくわかります。
 歌い出しはその菊地。中西ポジは仲川で、コールは、公演DVDは聞き取りにくいのだけれど、どうやら「はるはるはるはる・はる(ちゃん?)」。

 2008年1月、初めてのリクエストアワーで「ガラス」は第12位と上位にランキングされていました。この時のメンバーは、AとBの折衷で、高橋、仲川、多田、成田。
 歌い出しはTeam A代表高橋、中西ポジはTeam B代表の仲川。コールは「はるはるはるはる・はるごん」とはっきり聞き取れます。

 2009年1月のリクエストアワー、「ガラス」は62位でした。中西ポジは北原里英。ここでのコールも、「りえりえりえりえ・りえちゃん」。

 2009年4月のNHKホールでのコンサート「神公演予定」の「ガラス」。中西ポジはあっちゃん、もちろんコールは「あつあつあつあつ・あっちゃん」でした。この時は歌い出しがえれぴょん、残りが柏木と宮崎って豪華メンバーでした。
 
 ここまで見ると、「7時12分」同様「ガラス」でも2009年初頭までは名前2音節コールが続いていたことがわかります。

 そして2010年のリクアワ。
 「ガラスのI LOVE YOU」は第88位で、「7時12分」同様翌年以降のリクアワにはランクインしなくなります。
 この時の中西ポジは今をときめくぱるること島崎遥香。でも当時は前年の9月にオーディションに合格し、11月にシアターデビューしたばっかりの研究生でした。
 他の3人も当時研究生だった島田、竹内、石黒。アイドル色の強いこの曲、研究生に向いていると判断されたのかもしれません。余談ですがこの時の島田、ちょっとカワイイじゃん。

 で、この時のコール。 本寸法だったら「ぱるぱるぱるぱる・ぱるる」であるはずなのですが、「ちょーぜつカワイイ・ぱるる」。
 今はともかく、当時の島崎は「ちょーぜつ」と呼ぶのはちょっとねえ、と言った風情。そのせいだかどうか、「ちょーぜつカワイイ」の声はわずか数人からしか発せられていないようでした。

 ということで、「7時12分の初恋」だけではなく、「ガラスのI LOVE YOU」でも2009年に「名前2音節コール」が「ちょーぜつカワイイ」コールに変わって行ったことがわかります。

 「名前」のコールから「ちょーぜつカワイイ」への遷移が起こった2009年。

 2008年はレコード会社との契約切れやら何やらでごたごたしていましたが、「大声ダイヤモンド」で心機一転、2009年最初の「10年桜」でついにシングルCDの売り上げ10万枚を突破しました。
 第1回「総選挙」やら「組閣」やらニューヨークやパリでのライブやら初のオリコン1位やら「いいとも」出演やら紅白出場やらがあった年です。
 後に僕がヤラれることになる「言い訳Maybe」も2009年でした。

 こうみると2009年って、AKBが間違い無くティッピングポイントを迎えた年だったんでしょう。
 これまでシアターに足を運んで彼女たちを支えていたファンに加えて、新規のファンがどっと増える、最初の年でした。そのファンの多くは恐らくシアターを体験することなくファンになっていった人々だったもの思われます(その少し後にAKBにはまった僕自身もその中に入ります)。

 また、これは直接関係があるかわかりませんが、2009年は大量のメンバー、研究生がAKBを去った年でもあります。前年の2008年にも1期生がまとめて4人辞めるなどあったのですが、2009年は解雇ありセレクション審査不合格あり「辞退」ありで30名がいなくなりました。
 これから見ても、この年、AKB自体が「変わろう・変えよう」とした、もしくは「変わっちゃった」年だったと言えるでしょう。

 さて「名前2音節コール」は、メンバーの名前が2音節で呼びやすければいいのですが、そうじゃ無い場合、たとえばあっちゃんの「あつ」なんか事前にお約束ができていなければうまく行かないことが予想できます。
 「この曲のこの部分では『あつあつ』で名前を呼ぶんだよ」、というお約束が徹底してはじめてうまくコールできる。つまりメンバーや曲の個別性が高いコールということができます。
 こういうお約束の多くはシアターで培われたものでしょう。

 それに対して「ちょーぜつカワイイ」は、お約束を知らなくても、メンバーが誰でも曲が何でも、タイミングさえあっていれば誰でもコールすることができます。個別性は低い代わりに、とても汎用性が高い、と言えるでしょう。
 しかも「ちょーぜつカワイイ」なんて日常生活ではまあ使わない言葉で、ちょっとジャルゴン(隠語)的な匂いもします。新たにファンになった層が、軽くヲタ気分を味わうには最適なコールだったのかも知れません。

 ということで「ちょーぜつカワイイ」がコールされるようになったのは、AKBとAKBを取り巻く環境が変化したのが原因のひとつなのでしょう。そこには「シアターの発信力」が相対的に低下している状況が関わっているようです。
 
 とまあ、穏やかに結論めいたことを書いて、この項オシマイにしようと思ったんですが、悪い癖。
 「ガラスのI LOVE YOU」ってAKBだけじゃなく、けっこう支店でも歌われてるよね。
 支店での状況も調べた方がいいんじゃね?

 うわっまた出た。
 もう「7時12分」と全然関係ねーじゃん。