制服がブログの進行を邪魔している | Commentarii de AKB Ameba版

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 「見逃した君たちへ」DVD大杉。

 ええと、まだ制服の話が終わらない。

 制服の機能についてまとめます。
 制服には「美しさを隠そうとする」機能があると書いた。
 それはつまり、色味やデザインは基本地味ってこと。
 わかりやすく言うと、「葬式に着ていける」コスチューム。ね。中高生って喪服の代わりに制服でお葬式行くでしょ。ついで言うと、「葬式に着ていける」ってことは「ちゃんとしている」ってことでもあります。「ちゃんとしてる」って言うのは、「それを着て、公の場に出てもOKという社会的合意ができてる」ってこと。

 もう一つ、これまであんまり言わなかったけど、制服って「おそろい」でなきゃいけない。
 制服のある学校の生徒は、基本おそろいの格好をしている。当たり前と言えば当たり前だけど、これが制服の本質。
 英語で「uniform」っていうのは、uni-(ひとつの)form(かたち)ってことだもの。ひとつに統一された形ってことは当然「おそろい」ってことだ。

 つまり、「地味でちゃんとしてて、おそろい」であるのが制服。
 
 で、AKBの「制服」を見ると、まず「地味じゃない」。だって「桜の花びらたち」のジャケ写みたいな格好じゃ葬式行けないよね。

 そして「ちゃんとしてない」。特に「制服が邪魔をする」以降に目につくようになった、裾を半分だけ出してるように見えるアシンメトリックなブラウスは、すごーく「ちゃんとしてない」というか「しだらない」印象が強い。

 そういやちょっと前に裾出しシャツでブツギを醸したオリンピック選手がいたっけね。
 そうそう、この人
 あんときゃ大騒ぎだったよねえ。もっともボーダーって基本あんなカッコだもんね。あれがボーダーの「おそろい」と考えればフツウなんだが、「ちゃんと」してなきゃいけないことになっているオリンピック選手団の制服であんなアレンジをしちゃったから、「だらしない」って怒られたんだね。
 もともとはスゴイ選手なのに可哀相でしたね。

 AKBの「制服」のもうひとつの特徴は「おそろいじゃない」。
 最初のころはおそろいだったんだよ。でも気がつくとメンバーごとにばらつくようになった。
 「PARTY」公演の「制服」は、「地味じゃない」けど、それなりに「ちゃんとしてる」し、「おそろい」だった。A2、K2のころからちょっと個人ごとのばらつきがあるようになったようです。

 A2(B2、KII1)でいうと、「背中から抱きしめて」からの3連コンボ。金ピカで「制服」というのとはちょっと違うかも知れないけど、おそろいのコスチューム。での襟とか袖の縁取りの色が赤、青、緑の3種類あった。

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 K2では、しょっぱな3曲の「制服」。珍しくとっても制服らしいコスチュームで、ローファーを履いている。でもよくみると、ネクタイが3種類。赤、紺、ピンク。
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 K2の公演タイトル曲でもある「青春ガールズ」は、前にも書いたけど、ベストを脱ぎネクタイを緩めるというとっても象徴的な所作が冒頭にある。
 「君が着ている制服の束縛をちょっと緩めようぜ」みたいなメッセージ。その制服が、ほんのちょっとだけど「おそろい」じゃない、ってのはまあよくできた(たぶんそんなに意識していたとは思わないが)演出でした。

 A3でも、実は頭3曲が「制服」を着ている。どれも直接学園メタファーとは無関係な曲なんだが。で、よく見るとやっぱりタイの色が違っていて、完全な「おそろい」ではない。

 そしてこの「制服が邪魔をする」(の話だったんだよな、もともとは。忘れてたよ)。
 アシメで「ちゃんと」してないブラウスにネクタイ組とリボン組にわかれてるので、やっぱり完全に「おそろい」ではない。

 その後も「地味でなくちゃんとしもていなくて、おそろいですらない」というAKBの「制服」は徐々に進化していく。それがぎりぎり制服のように見える、という一線は残したまま。

 これを「制服の脱構築」「制服のポストモダン」と呼ばずして何と呼ぼう(いや単に「変な制服」って呼びゃいいんですけどね)。

 うわ、我ながら言い回しが20世紀っぽくて赤面してしまうのだが、でもホントに「脱構築」「ポストモダン」なんだもん。

 そういや秋元副学長を擁する京都造形美術大大学院院長は、かつてのポストモダニズムの旗手、浅田彰大センセイじゃないですか。
 微妙にかすってるよね。

 さて、その「制服」の進化形のひとつを、2011年現在、僕らはA6の「制服レジスタンス」に見ることができる。当ブログ的にはものすごーいフライングゲットなんですけどね。
 チープで過剰な装飾、アシンメトリックなカット、3人3様のデザインとディテール。すげーな。
 それでも見ようと思えば、制服に見えないこともない。

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 何というか、これはもう制服に似せて最も「反制服的な制服」と言うしかないでしょ。まさに「制服(に対する、内部に留まって抵抗するという言葉の本来の意味に照らし合わせて誠に正統的な)レジスタンス」。
 
 なんでAKBの「制服」はこんな特異な進化を遂げたのだろう?
 いろいろ考えているんだけど、今ひとつまとまらない。

 ただひとつ言えることは、おかげさまで、まだぎりぎり板野さんもまだ「制服」を着ることができるってことかしら。麻里子様はちょっと…。

 そう、制服らしからぬ「制服」を採用することは、結果として現在の主力である1990~91年生まれ組が、AKBから離脱するのを防ぐ役割を担ってるとは言えますね。

 というわけで、「制服」に関するゴタクを、TOKYO DOME CITY HALL 2011第19公演(「PARTYがはじまるよ」)を見ながら書いてました。
 篠田やぱるさん、秋元(オ)はおろか、CinDyや佐藤があの「制服」を着て「PARTY」を歌う姿は、往事を知る人(と昔の公演DVDを舐めるように見てるおかしな人)にとっては感涙ものでありました。

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「見逃した」余談:モップコールってはじめて聞いちゃった。
余談2:ぱるさんの自己紹介MCのとき、「はるなちゃんコール」が欲しかったなあ。当日ご本人は映画館で見てたそうです。演出の一貫でご招待してもよかったんじゃないかしらね。ムズカシイことはよくわかんないんだけど(と童貞面)。