通常、生徒が利用する通学路のほかに通称「アベック通り」と呼ばれた道路がある。
優斗は、辞書で調べてみるまで、アベックがフランス語のカップルと言う意味だとは知らなかった。
校門を出て左に行くと通常の通学路で、右に向かうとアベック通りになる。アベック通りは、通常の通学路と平行に走っていて、駅に近づくと少し遠回りになるような形態をしていた。それだけ、二人で歩く時間が少し長くなるのである。当然、カップルが主に利用している。
優斗は、一度、興味本位に一人で歩いてみたが、噂通りカップルが何組か歩いているだけだったので恥ずかしくなり、途中から折れて“一般生徒”が利用する通学路に戻って帰ったことがあった。
優斗も早くアベック通りを歩ける“身分”になりたいなと憧れを持つようになっていた。
ある日の帰り道、前を往く後姿が吉本に似ているなと駆け寄って一緒に帰ろうかと思うと、そのすぐ後からひとりの女子が追いついた。二人は、校門を出ると右に曲がったのである。
翌日、橋口に訊いてみた。
「吉本って、誰かとつきあってる?」
「ああ、佐藤だね」
「え?佐藤って、うちのクラスの佐藤しおり?」
「そうだよ、知らなかった?」
「え?いつから」
「いつ頃からかな、もうしばらく前かな」
そういえば、このところ一緒に帰っていたメンバーに吉本が居なかったことに気づいた。
「そうだったんだあ」
「え?なんで?どうした?」
「いや、そうだったんだあ」
優斗は少なからずショックを覚えていた。自分が知らなかったことも含め、あの吉本があのツンデレの佐藤とねえ・・。でも、よく考えればお似合いなのかもと思えた。クラスで最初のカップル誕生である。
優斗の気持ちは、ショックからいつしか羨望へと変わっていった。
自分も早く彼女が欲しいな・・・。
思わず教室を見渡しながら、自分は誰が好きなんだ?と自問してみたが、気の多い優斗にはすぐに答えは出せなかった。
фффффффффф
対向車が右折のウィンカーを出していたのでこのすきに自分も右折しようとしたら、対向車は右折せずに直進してきた。危くぶつかるところだった。他人のウィンカーは信じちゃいけないと思う今日この頃である。
さて、本日取り上げるアルバムは、HOWLIN’ WOLFの『THE REAL FOLK BLUES』(1966年)である。
このアルバム、ウルフの3枚目のアルバムになるが、1956年から1965年にかけてシカゴで録音されたシングル曲が収録されているコンピレーション・アルバムになるらしい。
それもあってか、他のミュージシャンがカバーしているお馴染みの曲もあったり、バックにブラスが入ったりと特徴的な曲が多く飽きさせない。
個性的な濁声で唸るところは正に“野獣”。本物のブルースはこうだと言わんばかりである。バックを務めるお馴染みのヒューバート・サムリンのギターも時に切り込み、時に優しくウルフのボーカルを支えている。
Howlin' Wolf- Killing Floor - YouTube
