6月になると制服も衣替えになる。
衣替えと言っても、男女とも上着の着用が強要されないだけのことである。実際暑くなるので上着は着なくなる。男子はワイシャツにズボン、女子はブラウスにスカートである。東野高校の女子制服は、プリーツのないスカートのため尻のラインが出る。上着のブレザーを着なければ、なおさら強調されるのである。
優斗に限らず、男子生徒はこの時期になるとどこか落ち着きがなくなる。なぜなら、ブラウスからブラジャーのストラップやアンダーがうっすらと透けて見えるからである。
「竹村、今日は紫だぜ」
誰かが白以外のものをつけてくると、すぐ男子の話題に上った。特に、竹村麻子は大人びた容姿をしていて、常に男子の目を引く存在であった。
優斗は、そんな竹村に興味がないわけではなかったが、なぜそんな色のものを身に着けてくるのか理解できなかった。白じゃだめなの?(どこかの政治家が言ったとか言わないとか) 絶対、白がいいと思うんだけどなと、勝手なことを考えていた。
放課後になると教室と階段やトイレなどの掃除を行うのが生徒の日課になっている。
どのクラスも数人で班を作り、交替で行うのである。階段やトイレなどの共有スペースは隣の6組と分担して行っていた。
今日は、優斗は階段の掃き掃除をしていた。
階段の踊り場で壁の隅から内側(左側)へとリズムよく箒を動かしていると、箒を持つ手が何かに触れた。その瞬間、「きゃっ!」という女子の声がしたので思わず顔をあげると、そこには恥ずかしそうに股間を押さえた竹村が立っていたのである。
「え?」
優斗は、一瞬、何が起こったのか理解できずにいると竹村は顔を染めながらそのまま立ち去ってしまったのである。
何があったんだ?
右手の甲の柔らかい感触は何?竹村は股間を押さえていたけれど、竹村の大事なところに触れてしまったのか?なんで?自分が箒を動かしている狭い所をわざわざ通ろうとしたのだろうか?確信犯か?なぜ?俺を誘っているのか?
優斗は、いろいろ考えているうちに頭が混乱してきた。
「何したの?」
突然、上から声がしたので優斗は驚いて飛び上がりそうになってしまった。
声の主は、佐藤しおりだった。竹村の声が聞こえたので教室を出てきたのかもしれない。
「え?何もしてないよ」
「うそ、麻子が悲鳴あげてたじゃない」
「そんな、悲鳴なんて・・」
大袈裟な佐藤のもの言いに優斗が呆れた顔をすると、佐藤は憮然とした顔をしたまま優斗をやり過ごして階段を下りて行った。
佐藤のやつ、誤解も甚だしい。さっさと吉本と帰ればいいんだ。
そんな佐藤の後姿を見ながら、優斗は右手の甲の感触をまた思い出していた。
фффффффффф
500円の中古レコードを買った。綺麗なビニールで覆われていて気づかなかったが、破いて取り出したらびっくり。どこかの物置に積んであったものかと思うほど古くてクシャクシャのスリーブが出てくる。さらにレコードを取り出すと砂埃のようなものが床にぱらぱらと落ちてきた。案の定、レコードは傷だらけ。一応、丁寧にクリーニングしてみたがジャリジャリ、ブツブツ雑音だらけでとても聴いてられない。さすがに返品したが、中古とはいえ、こんなもの商品として売っちゃいかんでしょ。そもそも、買取しちゃいかん。時間と労力を無駄にした今日この頃である。
さて、本日取り上げるアルバムは、OTIS RUSHの『Any Place I’m Going』(1998年)である。
やっぱり、オーティス・ラッシュはいい!
ブルースを聴くきっかけにもなったブルースマンだからということもあるが、この声とこの歌唱、チョーキングを効かせたギター・ワークどれをとっても大好きである。
このアルバムは、彼の最後のスタジオ・アルバムとなった。
演奏に出来不出来があるとか、レコーディング機会にあまり恵まれなかったとか言われてきたようだが、このアルバムはグラミーの最優秀トラディショナル・ブルース・アルバム賞に輝いた記念すべき作品になった。
Otis Rush - Any Place I'm Going - YouTube
Otis Rush - I Got The Blues - YouTube
