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雑文と音楽

思いつきの散文や好きな音楽を

 

 北村杏子は、東野市の郊外に住んでいる。東野駅まで路線バスに乗り、駅から学校までは他の生徒と同様に徒歩で向かう。

 幼い頃に父親を亡くし、母子家庭に育った。家には母方の祖母も同居していて、女性3人で暮らしている。父親の記憶はほとんどなく、母親からの話でイメージを膨らませてきただけであった。時には、父親の大きな胸に抱かれてみたいと思うこともあった。

 母親は、地元の小学校で教諭をしている。母親の背中を見ながら育った杏子は、将来、大学に入り自分も母親のような教師になろうと思っていた。

 高校は、進学校で家から近いこともあり地元の東野学校を選んだ。高校に入るとテニス部に入部した。中学校時代からテニス部に所属していたこともあり入部したが、最初の頃は軟式と硬式の違いに戸惑った。それでも、テニスが好きで続けていた。

 同じクラスの大林加奈子とはすぐに仲良くなったが、クラスの男子にはあまり興味が湧かなかった。一度、加奈子に誘われ、優斗の演奏を聴きに行ったことがあったが、同じクラスにもこんな子がいたんだという程度の印象しか持たなかった。

 ところが、優斗が突然応援団に入部したと聞くとさすがに驚いた。あのギターを抱えて悦に入っていた男子が応援団員になろうとは夢にも思わなかったのだ。そもそも、杏子にとって、応援団の印象は決して良くはなかったからだ。

 同じクラスにも団員がいたが、小沢翔平は女好きで嫌らしい感じがしたし、田村徹は大人しいけれど何を考えているのかわからない。入学式の校歌指導の時から団員たちの印象は良くなかった。それなのに、あの優斗がそんな部に入るなんてどうかしていると思ったのである。まあ、自分とは関係がないんだから好きにしたらいいと思っていた。

 それでも、気がつくと授業中に優斗を見ているということに自分自身ハッとすることがあった。どうして、彼が気になるんだろう。自分で自分の気持ちが不思議でならなかった。休み時間もふざけ合っている男子の中に優斗の姿を探していた。いつの間にか、優斗の言動を意識するようになっていたのである。

 

 夏の合宿では、テニス部と応援部の期間が何日かかぶっていた。優斗とは、食堂ですれ違うことが何回かあったがあいさつ程度の言葉しか交わせていない。教室ではなかなかできないため、そんな機会に二人で話がしてみたいと思ったのである。

 優斗が合宿所で体調を崩し、後で誤報だと知ったが救急車で運ばれたと聞いたときには驚き、心配になって合宿所に様子を見に行った。思いのほか元気そうにしていたのでほっとした。そこでも少し話したかったけれど叶わなかった。

 2学期は、運動会や競歩大会に文化祭、野外活動など様々な催しがあって、足早に過ぎて行った。競歩大会では、加奈子に促されるようにして優斗に声をかけたが、自分の方がたくさん応援していると心の中では思っていた。ゴール後に一緒にパンを頬張ったが胸がいっぱいでほとんど話せなかった。加奈子は平気でしゃべれていいなと羨んだ。

 そう思ったとき、急に加奈子のことが気になった。加奈子はどうなのだろう。優斗に対して好意を持っていないわけはない。優斗の歌を聴きに行くときも、文化祭での演技を見に行くときも加奈子に誘われた。あのときの加奈子の眼は輝いて見えた。体育館での優斗は自分には苦しそうにしか見えなかった。もしも、加奈子が優斗に好意以上のものをもっていたとしたら、ライバルになってしまう。加奈子とそういう関係にはなりたくないと思った。

 2年生になったときも優斗と同じクラスで嬉しかったが、もう優斗のことは考えまいと勉強に集中しようと思った。

 夏休みに入ると母親の勧めで早くも夏期講習を受けた。その間だけは優斗のことを忘れることができたが、夏休みが終わり、また優斗の顔をみるとそれだけで心がざわついて抑えきれない自分がいた。

 秋が深まるにつれ、せつない気持ちは益々つのっていったのである。

 

 

 

 

 

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 新年ということもあり、今年は“優しいブロガー”を目指して、前回の投稿では「です・ます調」にして書いてみたけれど、どうも歯がゆいというか、こそばゆいというか、なのでやっぱり“地”に戻すことにした。

 

 さて、本日取り上げるアルバムはTINA TURNERの『Good Hearted Woman』(1974年)である。



 1974年というのは、レコーディングされた年なのか正式リリースの年なのかは不明。私が持っているのは昨年リリースされたリイシュー版である。

 このアルバムは、ティナのソロ・デヴュー・アルバム『Tina Turns the Country On!』のセッション時に録音した未発表曲のコンピレーション・アルバムのようで、過去にも何回かリマスター盤が出ているらしいが、知ったのはこのアルバムを入手してからの話。

 

 若い頃(私が)、ソウル好きな友人がいたがティナ・ターナーだけは好きじゃないと言っていた。何故かと訊いたが理由ははっきりしていない。ちなみに、私は大好きである。

 

 ところで、ティナ・ターナーはソウル・シンガーなのか?

 ソロで成功した頃は「ロック・クイーン」と呼ばれていたことを思い出した。

アイクと組んでいた時期を見てきたのでソウルだと思い込んでいたが、ライブ・パフォーマンスを見る限り、あれはロックだなあと今更ながらに思うのである。

 

 ティナは、ソロ・デヴューする頃は、カントリーで売ろうとされていたようであるが、いずれにしろそんな若い頃の経験が後にソロで大成功を収めた礎になっているのは間違いなさそうである。ソウルであれ、ロックであれ、何でも歌える素晴らしいボーカリストである。

 このアルバムもカントリー調の曲が多いが、今聴いてもまったく違和感ないし、当時から堂々とした歌いっぷりで聴きごたえある。こういう初期のアルバムも自分にとっては貴重で知ってよかったと思っている。レコード会社に感謝したい。

 

 



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