今月開催されるリオデジャネイロ・パラリンピックで、
IPC・国際パラリンピック委員会は、
ロシア選手の参加を一切認めない決定をした。
先月開催された同五輪とは、ほぼ正反対である。
このIOC・国際オリンピック委員会の決定に対し、
WADA・世界反ドーピング機関は、失望の声明を出している。
IPCのクレイバン会長(2代目)は英国籍だが、
創設時のステッドワード前会長は、カナダ国籍である。
まだWADAは、リーディ快調こそ英国人だが、
アメリカやカナダが組織運営を主導しているといわれている、
一方IOCは、もともとは欧州貴族が
ボランティアで運営していた。
今も組織運営において、欧州主導の色が濃く、
米国や日本は、主導権を握れていない。
中国に至っては、仲間外れの感さえある。
(22年北京冬季五輪の決定票数がそれを表している。)
近年でそれを象徴的にあらわしたのが、競技の見直しである。
五輪の肥大化が問題となっていた時期、
幾つかの協議を外すことになった。
野球が外れたのは、日本人にも衝撃だった。
その際、近代五輪初期から存在していたレスリングが、
その外れる競技のリストに入ったいた。
レスリングは、我が国はもちろん、米国やイランなどでも、
根強い人気があり、有数の強国だ。
一方で欧州ではそれほどでもない。
このとき、当然米国は猛反発した。
皮肉にも、政治的敵対関係にあったイランと共闘し、
のちの関係改善につながった経緯がある。
今回のIOCの決定は、
WADAの勧告を無視したといってもよい。
IOCのバッハ会長は、ロシアのプーチン大統領と、
個人的に親しい関係にあるとも伝わっている。
だから五輪からは追放できなかったとも。
こじつけと言われるかもしれないが、
今回のIOC・IPCの対応の違いは、
伝統的な米欧間の対立が背景にあったのかもしれない。