今週群馬県でおきた、タレントの強姦事件で、
腑に落ちない報道があった。
被害者の容姿に触れていたことだ。
今回は加害者が22歳、被害者が40代ということで、
年齢的な疑問が背景にあったのだろう。
しかし被害者の年齢や容姿は、報道されるべき公益か、
と問われれば、大きな疑問を持たざるを得ない。
このような事件で守られるべき公益は、
「これ以上の被害者を出さない。」ということだ。
つまりまだ犯人が捕まっておらず、
地域で第2第3の被害が出る恐れがあるときに、
「こういう事件が起きた、気をつけねばならない。」という、
いわば呼びかけに必要な情報発信が公益となる。
であれば被害者の属性は、その公益にならないことは明白だ。
その点からして、被害者の年齢や容姿に触れることは、
プライバシーの侵害と言わざるを得ない。
何より被害者の方の心情を察すると、
やりきれない思いが出てくる。
もう1つの観点からみれば、
犯罪とは通常の行為ではない、異常な行為だ。
異常な行為は異常な感覚が伴う。
犯罪を起こさない通常の感覚や常識は通用しない。
被害者が誰でもよい、ということもありうるということだ。
通常の感覚を持って「なぜこういう被害者だったのか。」
というのは、意味をなさない疑問なのだ。
このような事件を報ずることや論評する場合は、
犯罪は異常である、この認識を持って、
自分の感覚では推し量れないことを、
表現の自由が保障されているわが国の国民である私たちは、
強く自覚すべきであると、今回の報道を見て改めて強く感じた。