31日に行われた都知事選は、小池百合子候補が、
有効得票数の半数近くを獲得し、圧勝した。
先週の本欄でも、名前こそ出さなかったが、
筆者は、小池候補の圧勝を予想していた。
数字も書かなかったが、「200万は固い、250万はいくだろう。」
と思っていたが、それをも上回る291万も獲得した。
メディアの世論調査と、
増田寛也候補の演説を聞けば、
小池候補圧勝は容易に想像がついた。
メディアの世論調査は、押しなべて、
「小池氏先行(または「リード」)、増田氏追い上げ。」
この「追い上げ」というのが、実は、
いかようにでもとらえることができる言葉なのである。
追い上げ、とは、一般的に、
「追いつこうとしている状態」を指す。
追いつこう、といしているだけで、
追いつくかどうかはわからない。
また、その時点での間隔に定義はない。
つまり、1%だろうが、90%だろうが、
追いかけて入れば「追い上げ」なのだ。
なので、「追い上げ」と書かれているだけでは、
実際の差はわからない。
加えて、増田候補の演説だ。
本人の口から「勝たせてください。」という言葉が、
終盤になって多くなった。
小池候補も「勝たせてください。」とは言ったが、
増田候補に比べれば圧倒的に少なかった。
「勝たせてください。」は、当選の見込みが薄くなった、
不利な状況にある候補が使う、常とう句である。
この時点で、自民党の選対は、
小池候補が圧倒的優位であることをわかっていたのだ。
投票日前日に安倍首相が応援に入るかどうか注目されたが、
入ることはなかった。
党首が応援に入らない、ということは、
党首の責任にしたくない=敗北ほぼ決定、ということだ。
そしてふたを開けたら、小池候補の圧勝であった。
今後の選挙報道の行方は、
世論調査と候補の演説に注目するとよいだろう。