Column203.経験のない、熊本地震が示すこと。 | 打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

テレビ局ディレクター、アナウンサー、国家資格予備校講師、W杯ボランティア、本書き、日雇派遣、不動産飛込営業、コールセンターマネージャ、ITベンチャー人事総務課長という多彩な経験から多角的な独自視点で、今起きているニュースの深層を、徹底的に好き勝手に斬ります。

一昨日、熊本県で震度7を記録した揺れをはじめとする熊本地震で、
きょう未明に発生した震度6強の揺れが、それまで本心とされていた
当初の震度7の16倍もの規模(マグニチュード)だったして、
そちらを本震、当初からそれまでの揺れを前震とする発表がなされた。


今も震度6以上の揺れが続き、救出活動が続いている。
これ以上の被害拡大がないよう、祈るしかできないことがもどかしい。


今夜からは雨も予想されている。土砂崩れはもちろん、
ちょっとした強風でも建物が崩れる恐れがある。
避難先での安全確保が最優先される状況だ。

(この点、 山本孝二・元気象庁長官が、
 崩壊の恐れがある熊本県宇土市役所の映像を見て、
 風に注意が必要だと、繰り返し伝えている。)


震度7の揺れが前震というと驚かれるかもしれないが、
震源が浅いことを考えると、規模が小さくても揺れは大きくなることから、
意外なことではない。ただ、前震で震度7は珍しいことではある。


それより意外なことは、新しく本震とされた揺れからも、
断続的に余震が続いているが、当該新本震の約2時間後に起きた揺れは、
それまでの震源群とは違うところで発生している。


確かにある揺れが別の揺れに影響を与えることはよくある。
しかし、影響を与えたにしては、同じ震度というのは、
気象庁発表でも聞いたことがないという。


さらに地震学者が関連はないとみられるといっているが、
昨年から噴火が活発となっている阿蘇山が、今日も噴火した。


範囲を広げれば、鹿児島県の桜島、宮崎県の新燃岳、口永良部島の噴火など、
近年、九州中部から南部にかけて、地震と密接に関連する火山活動が活発になっている。


筆者はあくまで気象予報士であり(同じ気象庁管轄とはいえ)
範囲外の地震の専門家ではないが、まだ解明されていない
大きな地殻変動が九州地方を中心として
日本列島で起きている可能性を探る必要があるように感じる。


その推論根拠の1つとして、昨年5月で、北海道から沖縄までの
列島全体が揺れたマグニチュード8.5の地震がある。


8.5といったら通常なら、東日本大震災レベルの災害が起きても
おかしくない規模である。


しかしこの地震は、震源が地下約590kmと深かったため、
最大でも震度5強だった(それでも大きな揺れだが)。


阿蘇山は山頂を大きく取り巻く外輪山が、
桜島は鹿児島湾(錦江湾)全体が、
火山のカルデラ(火口部分のへこみ)と言われている。


いずれも20km四方におよび、富士山の1000倍を優に超える。
それだけ大規模な噴火が起こりうる火山なのだ。
そして今回の震源域は阿蘇山に隣接している。


当面まずはこれ以上の被害を出さないことおよび復旧に全力を挙げねばならないが、
長期的に見て、気象庁が「聞いたことがない」としている以上、
未知の近く変動がある可能性の調査も必要ではないかと感じている。