埼玉県で女子中学生が連れ去られ、
2年間監禁され、犯人のすきを見て逃げ出した事件で、
相も変わらず、無知な被害者たたきが出ている。
「なぜ2年間も逃げだせなかったのか。」
無知だけならまだましだ。
現状の私たちの想像力の欠如を露呈している。
犯人に力づくで連れ去られた。
日常では考えられないことだ。
非常事態に、正常な精神状態など保てるわけがない。
力づくで監禁されたその恐怖の中、
次に何をされるか分からない。
逃げ出して捕まったら何をされるか。
ちょっと考えればそれくらいのことは想像できよう。
しかし、今の日本社会は、そんな余裕がないように見える。
米国では、過酷な状況から帰ってきた「生還者」として、
英雄視される。
なぜこのような違いが出てくるのか。
答えは、先にも言った「想像力の欠如」だ。
確かに、米国の方が日本より犯罪件数は多い。
だから事件を身近に感じるから、想像できる、ともいえる。
しかし件数の差は、10倍とか100倍とかではない。
仮にそうだったとしても、行方不明者の情報は日常茶飯事だ。
北朝鮮による拉致事件もそうだ。
それなのに何か他人事で自分には関係ない、
つまり、「思いやり」の無さが、このような、
被害者を傷つける発言をネットにはびこらせるのだろう。
最近は「おもてなし」が日本人の美徳という風潮がある。
おもてなしの要素に、相手を喜ばせたい「思いやり」がある。
思いやりは相手を喜ばせたい、だけではない。
悪い状況にある相手にも、想像力を働かせ、
相手がどういう状況なのかを思慮することだ。
それが出来なければ、おもてなしも、
いずれは、評価されなくなっていく。
悪いことには目をつぶり、良いことしか見ない。
そんな事なかれ主義から、すぐにでも脱却しなければ、
我が国の未来が心もとなく感じるのは、筆者だけであろうか。