北海道新幹線が開通し、九州まで、
新幹線が列島を貫くことになった。
東京から終点である新函館北斗まで、
最速で4時間2分と、4時間の壁は破れなかった。
新幹線にとって、4時間以上か未満かで、
大きな差が出てくる。
4時間を切れば、飛行機との乗客シェアが、
新幹線の方が多くなるからだ。
例えば、東京~の距離が新函館北斗(823.7km)に近い
広島(821.2km)の場合、開業当初は約5時間だったが、
今は4時間を切っており、航空機との激しいシェア争いをしている。
かつて4時間かかっていた岡山 (676.3km) は3時間余りだが、
こちらもシェアを争っている。
両都市とも、最新鋭のボーイング787を就航させた時、
羽田からの最初の路線として投入している。
JR東海も、最高時速を285kmに引き上げて対抗している。
だから新函館北斗も、4時間を切ることが期待された。
だが、それがかなわなかった。
広島で4時間を切れるのに、東北区間での最高時速は320kmなのに、
なぜきれなかったのか。
それは、在来線と共用となる、青函トンネル(53.9km)及び
その前後区間の約82kmにおいて、トンネル内での、
在来貨物列車とのすれ違いで、時速差が大きいと、
貨物列車が横転する危険性が指摘されたことにより、
最高時速を140kmに抑えたことが大きい。
将来、これを克服する策として、新幹線仕様の機関車開発や
トンネルの上下線に遮蔽板を設けるなどの案が出ているが、
いずれも具体的には至っていない。
となると、盛岡以南スピードアップしかないことになる。
しかし整備新幹線は、事実上時速260kmに抑えられており、
盛岡-新函館北斗でのスピードアップは望めない。
東京-大宮は、住宅地の騒音の懸念により、110km以下だ。
おのずと大宮-盛岡間でのスピードアップが必要になる。
(東北新幹線は盛岡以北が整備新幹線である。)
上記区間のうち、宇都宮以南は275km、以北が320kmとなっている。
北海道新幹線に使われている、E5・H5系は、
もともと360kmを目指して開発され、実験はうまくいった。
しかし沿線の騒音がネックとなり、320kmに抑えられた。
ということは、宇都宮-盛岡で360kmを
出すことができるかぞどうかが、
4時間の壁を破るカギになる。
そうなると、同列車を開発したのはJR東日本だから、
JR北海道は、他力本願ということになってしまう。
もっとも、東北新幹線の時間短縮だから、
東日本にとっても、メリットはある。
とはいえ、騒音を抑えるには相当の技術が必要で、
まだまだ先になるだろう。
ただ4時間の壁を破れていないのは、東京駅からで、
全列車が止まる大宮は3時間半余りだ。
東京都内でも、羽田経由より大宮経由の方が
便利な地域はたくさんある。
武蔵野線を介せば、埼玉の広範囲や千葉も同様だ。
その点をもっとPRしてもよいのではないだろうか。
追記:新函館北斗駅は、新幹線開業前日まで、
駅員のいない「渡島大野(おしまおおの)」駅だった。
無人駅がいきなり新幹線のターミナルとなった形だ。
駅名をめぐっては「新函館」を主張する函館市と、
同駅のある北斗市が「函館北斗」を主張し争っていた。
北海道の高橋はるみ知事やJR北海道が折衷案の
「新函館北斗」にしたわけだが、筆者は、
いっそのこと「渡島大野」のままで良かった、と感じる。
理由は、動画サイトなどで、
かつての渡島大野駅をみていただければ、
お分かり頂けると思う。
(ギャップやのどかな風景が観光客を呼び込めるのではないか。)