アメリカ大統領選の予備選挙で、
共和党はドナルド・トランプ氏が、
民主党はヒラリー・クリントン前国務長官氏が
党候補の指名獲得に向け、大きく前進した。
ただ、トランプ氏は指名獲得に必要な
過半数の大議員獲得は難しい状況で、
対抗馬のテッド・クルーズ上院議員に、
主流派が結集しつつある。
民主党でも、バーニー・サンダース上院議員が、
予想外の表集めをし、クリントン氏盤石とまでは言っていない。
トランプ・サンダース両氏がここまで支持を集めるのはなぜか。
しかも二人は、両党の党員でも何でもない、いわゆる無党派だ。
特にトランプ氏は、党主流派から総スカンをくらっているのに、
何故1位を獲得できているのか。
双方に共通して言えるのは、その「無党派」ということだ。
予備選挙には、党員以外の人も参加できる所がある。
共和党の大会に民主党員が投票する、逆もある。
だから党内主流派とは違う候補が1位になるのだ。
アメリカの大統領選は、本選だけでも複雑なシステムだ。
今選んでいるのは、「党公認候補」であり、大統領そのものではない。
その公認候補を選ぶ過程も、各州によってまちまちだ。
その間隙をぬって、二人の健闘が続いている。
システムは複雑だが、その背景は至って単純だ。
既存の政治やそれに結び付いている団体(特に金融界)と、
それ以外の層との格差拡大に対する不満だ。
トランプ氏は、移民排斥を叫んでいる。
それを支持しているのは、移民流入によって
仕事を奪われたとされる中間~下流層だ。
サンダース氏は、「民主社会主義」を掲げ、
例えば奨学金返済の免除による、
卒業後の借金返済というハンデを無くすことを公約にし、
若い人たちからの支持を得ている。
いずれも、収入に問題を抱えている人たちだ。
この構図、今恐れられていることの原因に似ていないだろうか。
そう、テロ頻発の遠因である「格差拡大」だ。
テロが生まれる背景として、
社会での格差拡大による、排他被害感情があげられる。
収入が少なくなれば、社会参加の機会がへることは、
詳細は別の機会に譲るが、日本でも顕在化しつつある。
アメリカでは、所得の半分を、
0.1%の人が握っている、とも言われている。
アメリカでも、格差拡大の是正が急務であり、
世界的にみても、それがテロ根絶の遠いようで一番の道であることが、
図らずとも、今回の選挙で見えてきたとも言える。