1997年に起きた神戸連続児童殺傷事件を起こした、
いわゆる少年Aに、週刊文春が路上で
事前の約束なしに取材をし、身柄の写真を撮影し、掲載した。
少年法では、少年犯罪の加害者を、
実名で報道すること等を禁じている。
更生をの妨げにならないためだ。
今回の文春の記事では、顔写真に目線をし、
実名も控えており、その点では問題ないように思われる。
しかし、ぼかしを入れているはずの背景により、、
早くもネット上で場所が特定され、そのネットには、
第三者によって顔を隠さない写真が出回っている。
文春が、この期に及んで掲載に踏み切ったことは、
通常であれば、私人に対してプライバシーの暴露だとして
合法であっても非難一色になるだろう。
しかしこの加害者は、実名を出していないとはいえ、
被害者家族の断りなしに、手記を出版している。
その意味では「私人」とは言い難い。
被害者家族を無視しておきながら自分は印税を手にしている。
それに対して文春は取材に踏み切ったのであろう。
その点では、賛同も得られている。
ただし、掲載した写真によって、
第三者に場所を特定され、特定された情報から、
別の第三者に無断で写真を撮られ公開された。
この加害者がで、仮に100%公人で会ったとしても、
守られるべきプライバシーはある。住所は最重要の私的事項ある。
それを暴くことも、被害者家族は望むまい。
その意味で文春は、過失をしてしまったことになる。
このところ週刊文春は、世間の耳目を集める事柄を、
立て続けに掲載している。
手記を出版した意図を問いただすのが本来の目的なら、
プライバシー暴露を許してしまうような取材・掲載には、
一考の余地があると思われる。
本来の目的は間違っていないとはいえ、
方法を間違えてしまったら、目的も違ってきてしまう。
文春には、勢いのある今だからこそ、
気を引き締めて、無責任な行動を許すようなことを、
引き続きさせないようにしてほしい。