Column174.アメリカに、足元見られた習訪米。 | 打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

テレビ局ディレクター、アナウンサー、国家資格予備校講師、W杯ボランティア、本書き、日雇派遣、不動産飛込営業、コールセンターマネージャ、ITベンチャー人事総務課長という多彩な経験から多角的な独自視点で、今起きているニュースの深層を、徹底的に好き勝手に斬ります。

中国の習近平国家主席が、国賓として米国を訪問している。


政治・軍事面での利害対立はともかく、
経済では日米・日中より深い結びつきの関係となっている。


なので、国賓としての訪問だから、
中国としては米国との対等ぶりを見せつけたい一方、
米国としても中国を既存の国際社会の枠組みに
取り入れたことを見せたかった。


しかしふたを開けてみれば、
習主席到着の日に、米国のケリー国務長官が、
中国の人権活動家の家族と面会したり、


中国が時期をずらせと要求してい他にも関わらず、
ローマ法王フランシスコの同時期訪問をそのままにし、
正副大統領が夫婦そろって到着の出迎えまでした。


さらに習主席が米国の基幹企業の1つであるボーイング社を訪れ、
300機の航空機を発注したにもかかわらず、
その後にワシントンで開かれた到着歓迎式典では
オバマ大統領からは中国を批判するメッセージが出た。


メンツを重んじる中国に対し、
実利を重んじ普段はメンツにこだわらない米国が、
ことごとく中国のメンツをつぶした。


その後の会談でも、米国からサイバー攻撃や
南シナ海での一連の行動を抗議を受け、
習主席は「内政干渉は受けない。」と返すのが
精一杯だった。


実利を求める米国の中でも、オバマ大統領は
殊更実利を求め、同盟国の日本を昨年訪れた際も、
TPP交渉での実利を上げられることになったからこそ、
国賓としての訪日要請を受けたのである。


にもかかわらず、今回中国に強硬的な態度をとり、
実利を全く得てない、得ようともしていない
オバマ政権のつれない態度に、中国も驚いているが、
反発は出来ない状況にある。


原因は、ここ半年の中国経済の低迷にある。


オバマ政権は、一昨年、アジア太平洋重視に舵を切った。
中国とも一定の良好な関係を築くのも目的の1つである。


中国の太平洋進出を阻む一方、
経済での結び付きをより強固にし、
米国の国際社会での地位低下に歯止めをかけ、
経済面では中国とともに反映するという目論見である。


しかし、南シナ海への野心はより強硬になり、
人民元の変動相場制の移行を拒み続け、
米国としてはいらだちを見せていた。


そしてここ半年の中国経済の低迷が露呈した。


弱り目に祟り目か、中国は、国際会議でも、
経済立て直し要求に防戦一方で、
国内では国民の不満、共産党内での権力闘争が
一層激しさを増している。


米国としては、協調の実利は諦め、
台頭を抑えるという実利に舵を切ったともいえる。
そして中国がそれに反発できないことも。


事実訪米前に、中国が拒み続けていた
サイバー攻撃に対する交渉を再開しなければ、
中国に対する経済制裁もちらつかせていた。


経済制裁に踏み切れば、習訪米は中止せざるを得ない。
中国にとって大打撃である。


そう考えれば、一連の冷遇や強硬主張は、合点が行く。


習主席はこの後国連総会に出席する。
そこには、安保法制を成立させた安倍首相が待っている。


安倍首相には、バイデン副大統領や
ロシアのプーチン大統領との会談も設定された。


米国ほどではないが、日本も、中国にとっては
なくてはならない相手である。


米国にことごとく足元を見られた習主席が、
どのような巻き返しを見せるか、週明けに注目したい。