韓国で、在韓アメリカ大使が襲撃され、
重傷を負った事件で、米韓両国のみならず、
関係の深い我が国でも大きく報道されている。
しかし我が国でのとらえ方は、
米韓両国とは少し様相が違うようだ。
我が国では、普段立場の違うメディアでも、
韓国社会の特異性を強調するような書き方をしている。
産経新聞の記者を、国内に事実上軟禁したり、
「正しい歴史」と言いながら主張する事実が
刻々と変化する従軍慰安婦問題の取り上げ方、
それに朴大統領の発言など、
執拗ともいえる、日本に対する厳しい姿勢が、
他国とは違って映ることから、そのような見方になっている。
直前にアメリカ政府高官が、その異常な
反日言動を続ける韓国をたしなめるかのような発言をし、
韓国内で大きな反発が出ていたことから、
それも事件の遠因ととらえる見方もある。
しかし、それは大きな間違いである。
その理由は後述する。
一方でアメリカでは、非難声明は出すものの、
単なる犯罪としてとらえ、反韓のような動きは出ていない。
逆に韓国の方は、アメリカに申し訳ない、
というような様相を見せている。
朴大統領がすぐに電話を入れるなど、すごい気の使いようだ。
返す刀で、アメリカ政府高官発言に対する反発も収めた。
それとともに、犯行の動機が、
「米韓演習が、南北和解を妨げる」と言うことであることで、
アメリカへの反発から軋みを懸念する世論に変わった。
実はこの犯行動機こそ、
先ほどの「大きな間違い」の理由である。
南北和解を妨げる、ということは、
北朝鮮に親和的であることが分かる。
つまり、米政府高官発言のあるなしに、
そもそも反米の立場なのだ。
日本ではあまり知られていないが、
韓国内では、北朝鮮に親しみを感じる層が、一定数を占める。
一部の調査では、国民の4割に達するともいわれる。
日本人からすれば驚きの結果に思えるが、
元々同じ民族であることからすれば、
自国韓国に対する親和度とは相対的ではなく、
純粋に親しみを感じるのは、当然とも言える。
そしてそれは、北朝鮮政府ではなく、
同じ民族に対してのものであるのが通常である。
ただし、北朝鮮政府寄りの立場の層も、
ごく少数、というわけではない。
国内で、反政府運動を繰り広げたり、国外でも、
韓国のロビー活動を妨害するなどの活動をしている。
今回の事件も、組織的かつ計画的ではないが、
主義的には、同根であるとみてよいだろう。
その意味で、韓国国民でありながら反韓の立場、とも言える。
李明博政権末期からはじまった官民挙げての反日の動きで、
日本人はそれにうんざりし、韓国と聞くだけで、
嫌疑的な先入観を持ってしまっているような気がいする。
しかしここは冷静かつ客観的な視点で捉えることが、
結果として韓国の世界的反日喧伝に打ち勝つ、
最も必要なことだと考える。