神奈川県で、中学生の少年が殺され、
知り合いの少年3人が逮捕された。
この事件では、発生した経緯や少年事件であることなどから、
大きな注目を集めた。
その中で、ことさら強調されていたのは、
被害者の実名の継続的報道や普段の生活の様子だけでなく、
被害者の生い立ち等を、興味本位で伝えられていたことだ。
はっきり言って、それが一般市民の利益になるだろうか。
野次馬的好奇心を満たすだけのものが多く、
同じ様な事件を繰り返さないようなものは脇に置かれている。
肝心なのは、容疑者の検挙や、新しいITツールで犯罪に
至るまでの経緯が見えにくいことに対する対策でのはずだ。
つまり、再発防止が、一般市民の利益である。
被害者のプライバシーを暴くことなど、
被害者や親族へのバッシング以外の何物でもなく、
一般市民の利益にも、何ら資さない。
事件解決や再発防止には、被害者や家族の協力が不可欠である。
それを好奇の目にさらされて、一部では、
まるで「被害者の方が悪い」などと言われてしまうこともある。
結果、被害者側が何も言えない状況に追い込まれ、
再発防止に有効な手立てが打てず、一般市民の不利益になる。
犯罪を減らすには、ある事件を通じ、警察庁幹部が
指摘したように、警察力の強化だけでは無理がある。
犯罪を未然に防ぐ取り組みこそが重要だ。
犯罪被害は、受けてみないと本当にその気持ちは分からない。
しかし、少しでもその声を逃さないことが重要だ。
そのためには、メディアの姿勢も大事だが、
意味のない報道には目を向けない、という、
表現の自由を核とする民主主義の主権者ある、
一般市民が、意識を高めることが必要だと感じる。