日米両政府が、終戦70年を迎えるに当たり、
共同文書を出すことになったとの報道があった。
第二次世界大戦で敵国だった両国が、
戦後同盟関係を結び、その同盟関係を
さらに強固にすることが目的だという。
日本政府はその中で、戦後70年間、
世界の平和のために尽くしてきたことを、
発信したい意向だ。
共同文書においてそれが盛り込まれれば、
アメリカもそれを自らの意思で表明したことになり、
我が国のこれまでの一定の評価につながる。
我が国にとって、歴史認識で攻勢をかけるであろう、
中国・韓国に対して、大きなけん制となる。
韓国にとっては、日米においていかれる、という焦燥感を、
一層深めることになるだろう。
中国にとっては、東南アジアでの対中反発がより際立ち、
我が国への攻勢もそがれることになるだろう。
一方で安倍政権にとっては、念願の憲法改正に、
一定のブレーキがかかることも否めない。
アメリカが日本の集団的自衛権を認めるのは、
あくまでアメリカが主導する事柄のみで、
日本が独自に行動をとることは絶対に許さない。
また、我が国の平和への貢献に対する国際社会の認知は、
憲法で交戦のための軍隊保持を禁じたことも1つであることも、
(護憲派がいうほど大げさではないが)事実である。
その憲法は、いみじくも改憲派がいうように、
「占領下でアメリカが押し付けたもの」ということであれば、
アメリカが、その憲法を変えることをどう思うかだ。
アメリカの狙いは、あくまで日本に対して、
アメリカに対する後方・金銭的支援である。
戦闘参加は望んでいない。
先の大戦で、当時の日本がアメリカに対して、
予想外の長期戦に持ち込んだことに、潜在的に、
日本に再び同じ力を持たせてはならないと恐れているからだ。
共同文書には、当然そのアメリカの意思も入る。
日本が絶対に独自の軍事行動をとることはないと。
であれば韓国にとっては懸念はなくなることになるが、
反日を是としている国家である以上、
その大きな根拠を失うことになる。
中国にとっては、自身の覇権を阻止される、
大きな壁となり、アメリカとうまくやることを、
これまで以上に余儀なくされるであろう。
同時に、アメリカのコントロールが効く、ということは、
安倍政権の暴走を懸念する一部の人たちにとっても、
安心につながるだろう。
安倍政権にとっては、両刃の剣となる恐れもあるが、
逆に変な反発を生まずにすみ、
さらなる長期政権を見据えることができる。
それらすべてを勘案し、共同文書の中身がどうなるか、
大きな興味を持って、その発表を待ちたい。