Column141.テロ事件、日本はもっと、冷静に。 | 打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

テレビ局ディレクター、アナウンサー、国家資格予備校講師、W杯ボランティア、本書き、日雇派遣、不動産飛込営業、コールセンターマネージャ、ITベンチャー人事総務課長という多彩な経験から多角的な独自視点で、今起きているニュースの深層を、徹底的に好き勝手に斬ります。

イラクとシリアで活動するテロ組織・ISILによって、
日本人とシリア人の人質が殺害され、
国内外に大きな衝撃を与えている。

特に国内では、安倍政権の対応、それに対する評価が、
その衝撃の大きさを表しているのか、
冷静さ失っているように見受けられる。

筆者もその一人ではあるが、あらゆる物の見方接し、
これではISILの思うツボで、
国際的な信用を失いかねない事態に陥る恐れを感じている。

まずは安倍首相が、事件発生直後に開いた会見で、
断固許さないと発言した。
そして人道支援を続けるとも表明した。

それ自体なんらの問題はなく、支援を表明しようがしまいが、
ISILは、口実を設けて来ただろう。

それに対して野党は、発言の内容を問題視するかのような質問を、
国会で行っている。
生活の党の山本太郎参院議員に至っては、
人道支援自体問題視するという、それこそ問題外の主張をしている。

共産党の吉良佳子参院議員も、安倍政権を揶揄するネットへの書き込みをし、
志位和夫委員長に注意されている。

野党の側も、何が問題かを履き違えてはならない。


安倍首相の会見で問題なのは、その会見を開いた場所だ。

会見場の後ろには、日の丸のほか、イスラエル国旗があった。

アラブ諸国にとってイスラエルは、
同胞のパレスチナを追いやる、いわば敵である。

そのような場所での発言は、イスラエルの味方をする、
と受け取られかねない、不用意な場所であった。

イスラエルに肩入れするアメリカが、
日本を事実上の有志連合の一員としていることとも相まって、
アラブ諸国では、人道支援も、結果としてその資金が、
回り回って軍事費に回されるのでは、という懸念が出ている。

そのアメリカでも懸念されている発言があった。
二人目の日本人人質が殺害された後の発言だ。

発言の中に、償いを受けさせる、という表現があった。

これは当然に、法律に則って、殺人という犯罪に対して、
法令に基づき捜査し、逮捕し、裁判を受けさせる、
という意味ではあるが、英語訳の発表が遅れたため、
アメリカでは、軍事的な報復に参加する、とも受け取られた。

さらに、ISILは国家ではないのに、
集団的自衛権の対象だとの発言もあった。

日本人人質の殺害は、今に始まった事ではない。
しかし報道が、日本の転換期と騒ぎ立てている。

報道する側も、それを報道すれば反響が大きいからだ。

反響する国民の側が冷静にならねばならない。

自民党の高村副総裁が、殺害された人質のジャーナリストを、
蛮勇だと言った。

労働者の安全を守る義務を課されている、テレビ局や新聞社が、
おいそれと行けないから、彼らが行って真実を伝えることに
価値があるのではないか。

朝日新聞が記者をシリアに送ったことに、
他の新聞が懐疑的な伝え方をしている。

新聞は、伝えることが、使命である。
先の安全配慮義務があるとはいえ、
その中で、最大限その使命を果たそうとしている。

それを疑いの目で見るのは、自己否定何者でもない。

このままでは、国際社会において、
日本が頼りなく映り、信用を低下させかねない。

我が国がすべきことは、国民は、今までと同じように生活し、
人道支援は、その内容をつまびらかに明らかにして、
軍事費に回らないと、安心してもらい、

イスラエルとアラブの関係に一層の配慮をし、
人質救出は、警察権または個別自衛権の範疇であることを踏まえ、
諸外国との連携をより一層深めていくことである。

そして批判をする場合は、相手を陥れることを考えず、
間違いを正して、あとは協力する、という視点を忘れてはならない。
反論も、また然りである。