Column139.双方手詰まり?イスラム国の日本人人質事件。 | 打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

テレビ局ディレクター、アナウンサー、国家資格予備校講師、W杯ボランティア、本書き、日雇派遣、不動産飛込営業、コールセンターマネージャ、ITベンチャー人事総務課長という多彩な経験から多角的な独自視点で、今起きているニュースの深層を、徹底的に好き勝手に斬ります。

国際テロ組織・「イラクとシリアのイスラム国」、
通称イスラム国・略称ISISが、
支配地域に入った二人の日本人を人質にとり、
身代金を要求してから、期限の72時間が経過した。


要求をしていながらコンタクトをとってこないイスラム国に、
日本政府の打つ手は限られているように見える、


これまで多くのシビアな交渉をイスラム国と重ね、
人質解放に大きな力を発揮したトルコなど、
外国への支援要請もしているが、事態は進んでいない。


これまでのイスラム国が人質に取った事件では、
解放までは月単位の時間がかかっており、
今回も、そのような状況になりつつある。


となれば、交渉での解放が期待できるが、
問題は、身代金を払うかどうかだ。


身代金を払ってしまったらテロに屈したことになる。
払わなければ、人質の命が危うい。


人質事件の発端は、安倍首相が中東歴訪で表明した、
イスラム国の影響により被害を受けている人たちへの
人道支援に対する反発だ。


その発表直後に支援額同額の2億米ドルを要求したことは、
まさにイスラム国にとっては絶妙なタイミングだった。


そして世界に対して相当なインパクトを与えた。


しかしうまく行ったのはここまでで、
世界中のイスラム教徒を多く抱える国々からは、
人道支援に対するテロに、反発されている。


また要求したのはいいが、それ以降のコンタクトが取れていない。


加えてここで二人を殺害したら、
最大の切り札を失ってしまう。


それに、その反発が既に示している通り、
もし殺害に及んだら、イスラム教徒を抱える国々には、
日本に好意的な国が多いことから、
決定的なダメージを逆に被るだろう。


とはいえ、身代金も取れないまま解放するのも、
これまた切り札を失うことになる。


有志連合の空爆や資金源となる原油価格の下落で、
ここにきて勢力に陰りが出始めているとも言われている。
余計に現金を得たい想いが募っているはずだ。


となると日本としては、交渉の努力は継続しつつ、
一方でイスラム国の崩壊を待つという、
長期的な覚悟が求められる。


そういった意味で、双方手詰まり感が出てきている。


今のところは、まずイスラム国の次の声明を待つしかないが、
そのイスラム国もどのようなないようにするか、
まさか期限延長など言えないし、殺害もできない。


日本政府としては、あらゆるルートを使って
地道に働きかけていくしかないようだ。