国際テロ組織・「イラクとシリアのイスラム国」、
通称イスラム国・略称ISISが、
支配地域に入った二人の日本人を人質にとり、
身代金を要求してから、期限の72時間が経過した。
要求をしていながらコンタクトをとってこないイスラム国に、
日本政府の打つ手は限られているように見える、
これまで多くのシビアな交渉をイスラム国と重ね、
人質解放に大きな力を発揮したトルコなど、
外国への支援要請もしているが、事態は進んでいない。
これまでのイスラム国が人質に取った事件では、
解放までは月単位の時間がかかっており、
今回も、そのような状況になりつつある。
となれば、交渉での解放が期待できるが、
問題は、身代金を払うかどうかだ。
身代金を払ってしまったらテロに屈したことになる。
払わなければ、人質の命が危うい。
人質事件の発端は、安倍首相が中東歴訪で表明した、
イスラム国の影響により被害を受けている人たちへの
人道支援に対する反発だ。
その発表直後に支援額同額の2億米ドルを要求したことは、
まさにイスラム国にとっては絶妙なタイミングだった。
そして世界に対して相当なインパクトを与えた。
しかしうまく行ったのはここまでで、
世界中のイスラム教徒を多く抱える国々からは、
人道支援に対するテロに、反発されている。
また要求したのはいいが、それ以降のコンタクトが取れていない。
加えてここで二人を殺害したら、
最大の切り札を失ってしまう。
それに、その反発が既に示している通り、
もし殺害に及んだら、イスラム教徒を抱える国々には、
日本に好意的な国が多いことから、
決定的なダメージを逆に被るだろう。
とはいえ、身代金も取れないまま解放するのも、
これまた切り札を失うことになる。
有志連合の空爆や資金源となる原油価格の下落で、
ここにきて勢力に陰りが出始めているとも言われている。
余計に現金を得たい想いが募っているはずだ。
となると日本としては、交渉の努力は継続しつつ、
一方でイスラム国の崩壊を待つという、
長期的な覚悟が求められる。
そういった意味で、双方手詰まり感が出てきている。
今のところは、まずイスラム国の次の声明を待つしかないが、
そのイスラム国もどのようなないようにするか、
まさか期限延長など言えないし、殺害もできない。
日本政府としては、あらゆるルートを使って
地道に働きかけていくしかないようだ。